五山の送り火

三ヶ月前に死んだ夫、二吉の
葬式代の支払期日が迫っていた
今夜夜なべして内職をすれば
明日の期日にはなんとか間に合うと
お芳は思った
一条通りから小間物屋の
横道に入ると
あとは暗い夜道が続く
初盆に二吉は
家族に会えたのだろうか
家路を急ぐお芳の背後に
左大文字が
輝いていた


  お盆の大阪出張

ホテルに帰って部屋でシャワーをあびると
テレビで京都の五山の送り火の
生放送がはじまっていました
近畿圏で見る五山の送り火は何故かなまなましく
記念に使い捨てカメラで
テレビに映った左大文字を撮りました
その夜 夢の中に
今年亡くなった親しかった人が出てきました
その人と何か話をしましたが
夢からさめると
何も思い出せませんでした
後日、現像した写真には何故か
テレビは写っていませんでした
しょうがないので
翌週の大阪出張で同じホテルに泊まり
写したのがこのテレビだけの写真です


2007.9.10