随想
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無加温温室の温度管理
 
 2006.4.27
,  加温できる温室では、暖房の強さを調節して、植物の生育適温にすればよい。ところが、無加温温室では、そんな芸当はできない。先ず、栽培可能な植物を選び、後は工夫によって乗り切るしかない。
A)冷温対策
  冬季、極早生ストック、透百合、LA百合、高冷育苗スターチスを栽培している。私の住む地域では、無加温の二重張りビニールハウスで、12月下旬まで室内温度をなんとか5℃以上に保つことができる。ところが、昨年の11月、12月、寒波が襲来して装備の不十分なハウスでは花が障害を受けた。
 良く保温できたハウスは、他のハウスに比べて最低温度を通常でも2〜3℃高く保てる。この温度差が植物の成長に影響を与えていると思うが、保温の悪いハウスでは、たやすく適温限界を下回って大きな被害を受ける。
 対策の第一は、熱が外に逃げないように、外から冷やされないように、ハウスを包むことである。寒くなって人間が衣類を着込むのと同じである。(a)〜(c)は通常、(d)〜(f)は強度の防寒対策である。 
(a) 二重張りにする。古ビニールをハウス外部から溝に垂らして埋めておく。排水目的であるが、下部保温になる。内張りの開閉操作が正確に出来るように調整しておく。歪みが原因で、下に隙間が出来ることがある。
(b) 塩化ビニールを厚くする.。ポリエチレンは保温性が乏しい。ビニール代をケチると冷えやすくなる。厚ければ破れにくく隙間もできにくい。
(c) 隙間を粘着テープで完全に密閉する。「腰巻」(土地との境)を念入りに密閉する。ドアのレールとドアの間に隙間がある。付近を広いビニールで覆う。.
(d) 内部に発砲ポリなど断熱性の高いシートを張る(保温カーテン)。滑車等を使い、日中には覆いが取り除く。
(e) 夜間、外部に巻き上げ式のシーツを垂らし、断熱外套になる。
(f) 冬の北風にそなえ、防風網などを設置する。
 第二に、冬季には早めに(午後三時ごろ)にハウスを閉じて、出来るだけ多くの熱量をハウスに閉じ込めておく。無加温温室では、夕方以降熱源がないから温度が上がることはない。外気温度の下降に対応して室内温度が下降する。ハウスを閉めるとき、温度計を見る。中が通常より既に冷えていれば(例えば5℃)、朝方には何度になるか。
 第三に、温室ごとに正確なデータを取って、時間経過に伴なう温度下降の傾向、規則性を知っておく。前日の天気予報の予測温度から、最低温度5℃を保てるかどうか判断できれば、より強度の防寒対策が取れる。駄目であれば暖房を使うしかない。
(B)高温対策
 変な話であるが、温室は暖めるための施設であるのに、温室の失敗は、暖めすぎにある。寒冷期は2ヶ月に過ぎず、それの3倍、ほぼ6ヶ月、温室の暖めすぎに悩むのである。
  高温のため室内が乾燥しやすく、若い苗は葉の先端に枯れを生じたり、萎れたりする。乾燥を防ぐための水撒きによって、往々にして湿気過多になる。高温下の乾燥又は過湿によって、病虫害が蔓延しやすくなる。虫や病原菌が勢いを得てからでは薬剤散布も効果がない。
 高温対策として実施されているのは、先ずは遮光(入ってくる熱エネルギーを食い止める)、次に換気(温度の低い空気との入れ替え)である。熱を奪うために散水も一時的には効果がある。
@ 冬季での保温カーテンの断熱材を寒冷紗に変えて遮光カーテンとして使う。屋根の上に寒冷紗を被せる。
A ハウスに入る前の日光の量を減らせば効果が非常に大きい。冬季の巻き上げ式の外套を寒冷紗に変えて使える。日傘のように、屋根との間に少し隙間を空けておけば、風の流れが出来て効果大であるが、強風時には除去しなければならない。
C 早朝、早めに温室のドアやサイドを開ける。熱膨張を使って、戸の開け閉めが出来る装置が紹介されていた。作れないかと考えている。
D 風がないときは、温室内外の空気を入れ替える工夫をする。大きな羽根の付いた扇風機をゆっくり回す。
Eホースから水を勢いよく出して屋根にかける。
 ガラス温室のようには、ビニールハウスは自動開閉装置、換気用扇風機などの装備を取り付けられていない。装備がないと諦めないで、少しでも多くの工夫をして使いたい。
  
風にゆれる草花 
 2008.2.26
 出荷がほぼ終わって僅かに残った花を傷つけないようにフラワーネットをはずすと、花卉がぱたっと真横に地面に倒れる。
 ネットなしでも茎は真っ直ぐ上に伸びるが、きわめて強い風を受けて茎が曲がる危険がある。この被害を防ぐために草花の茎をネットの網の目で囲っている。
 自然の状態では、茎が曲がっていることはあっても、草花が地面にぺたっとくっついて倒れているのを見たことはないだろう。
 植物は、光合成で得たエネルギーを、鉛直上方に伸び葉を茂らせていく地上部とそれを倒さないようにする地下部に配分して、厳しい環境を生き延びるためには、微小のエネルギーも無駄にしてはいけない。エネルギーを有効に使う観点からいえば、茎が保持されて倒伏の危険がないことが確実であれば、「手抜き」工事が最も合理的な選択である。このように、自然にはない、人工的な状況に対応するのであるから、一般的に植物の成長戦略は、生まれる前から、例えば遺伝子によってあらかじめ決定されているというより、環境に応じて変更されることを示している。
 植物を網で保持している場合も、葉や茎頂部は絶えず揺れている。この小さな揺れでは根は補強されなかった。自然の状態でも、茎が揺すられておこる細胞の微小な変形は無視されるであろう。しかし、強い風による変形が弾性限界に近づくとき、つまり元の形に戻れなるほどに大きく変形したとき、倒伏の危険が察知されて補強工事開始のスイッチが入る。このはたらきかたは 四六時中作動するより効率がよい。
 簡単に言えば、植物は自分の揺れ具合で自分が安定な体勢を知って最善の対応策を取っている。
 植物が傾いたとき真上に伸びようとして茎の曲がる性質を「重力屈性」というが、これが補強機能に関係しているかもしれない。
 植物に現われる重力屈性の時間的変化、また重力屈性の極大値を認識して、植物は成長の実行計画を立てていると考えられないだろうか。
 風にゆれる草花は、ゆれながら自分安定度を調べて、自分の姿かたちを整えている。
極小規模コメ作り
2007.10.17
 水田二反の極零細コメ農家であるが、来年、半分を花と野菜に転換する予定である。
 二反のとき若干の収入があったが、一反になるとほぼ自家消費だけのための生産である。稲作を放棄し、コメを購入した方が賢明かもしれない。
 コメ作りは少ない労働時間と少ない労力でできるが、多種の高価な機械を使って可能なのである。田植え機、コンバイン、乾燥機はコメ専用、しかも年一回しか使用しない。最新の機械となると高価になり、広い面積がないと採算が取れない。小規模農家では機械を使えばコストがかかりすぎるのだが、機械なしの重労働には耐えられない。小規模農家は中古を買ったり、共同で使用したり、他農家に依頼してやりくりをしている。私も、大半の作業を隣家に頼っている。最近は廃業が多く、作業を頼むこともままならない。
 一反規模にしてしまえば、大型機械を小型に変えたり、昔ながらの作業に戻して、稲作が続けられるのではないか。まず、場所を占める巨大な乾燥機を使わない。昔ながらに刈り取った稲を田圃で天日干にする。田植えは歩行用田植え機、稲刈りはバインダーを使う。バインダーは草刈機と結束機の結合した簡単な機械である。昔の足漕ぎの脱穀機を使って、一日の作業で完了する。手に入らなければ、中古のコンバインかハーベスターを使う。籾摺りをせず皮付きで保管し、食する直前に、モミから精米する。
 市販の機械は中古でもかなりの金額になる。最新の機械と昔の機械を折衷して使いやすく安価な機械を開発できないかと思う。
 一反のコメ作りは困難と考え多くの小規模農家が、農業公社や大規模農家に依存したり、耕作放棄してしまう。安価な小型機械が容易に手に入り、極小規模の米作り技術が向上すれば、コメ作りの継続が可能になる。小規模水田の「簡単にコメ作り」ができれば、農業を始めようとしている人々にも朗報になる。

コメ自給と農家の大規模化
 2007.10.20
 コメは、日本人にとってかけがいのない主食であった。何を食べるかは個人の好き嫌いの問題で、コメを押しつけるべきではないとの主張がある。生物学的に言って、人間は炭水化物を多量かつ継続的に摂取しないと活発な生命活動を維持できない。大量栽培が容易な穀類が主食になるのは自然である。東南アジア及び日本ではコメ中心の食生活があり、この食生活を土台にした文化と伝統が形成されてきた。外国スタイルの食生活を選ぶのは自由であるが、日本の風土に合致し、かつ優れた穀物であるコメをたやすく捨てないほうがよい。外国でもコメ中心の和食が評価されてきている。
 日本のコメ農家の大規模化が達成し、コメ輸入が自由化されるとどうなるか。まずは、日本の大規模農家や更に大規模な外国の農業主から安いコメが供給されるだろう。消費者は喜び歓迎するかもしれない。
 富が偏在し、食料は先進国の方に潤沢に行き渡っているが、世界全体で見れば食料は不足している。人口爆発、地球温暖化によって、遠からず深刻な水不足、食料難に直面する。先進国においても食料問題はやがて解決の難しい政治的難問となろう。.長期的に考えてみると、安いコメをいつまでも外国から買って食べ続けることはできない。
 短期的に見ると 海外や国内の大規模コメ農家がコメ供給を独占すれば、政治的経済的不定要因の影響が直接的になり、米価が乱高下し、供給量さえ不安定になるだろう。今年、石油のバイオ燃料転換が小麦、トウモロコシ、菜種油、家畜飼料などの大幅値上げをもたらした。コメは小麦より大きな変動に晒されるであろう。コメを外国に依存すれば、コメ危機の可能性は大きい。
 加えて、食の安全性の問題がある。コメ農家の大規模化とグローバル化によって、生産者は消費者からは遠い存在となる。食の安全性を確かめようがない。国家機関による検査もご存知のように「偽装」に対し無力だ。地産地消で実現しているような「食のトレーサビリチイ(生産者と生産過程の追跡)」は不可能である。
 政府の後押しもあって、北海道、東北の平野部では大規模化や集約化が実現している。関税が下げられ、コメが「自由化」されると、これら日本の大規模農家さえ広大な農地を持つ外国の超大規模農家には太刀打ちできない。穀物農家の能力は土地の面積の広さで決まるからである。日本の大規模コメ農家も保護がなければ破綻すると、日本政府も承知している。だから、全ての農家にばら撒かれていた補償を大規模農家に集中する政策を推進している。
 大規模農家のみ保護して、中小コメ農家を切り捨てるのは、公平性から言って道理に合わないが、政策としても誤りがある。
 大規模農家があっても良い。しかし、同時に膨大な数の小規模農業が存続してこそ、食料危機へも対応でき、コメ供給の安定性が保証される。

バッタとコオロギの襲撃
   2007.10.10
 この夏はバッタとコオロギが多かった。
 ナスやアズキの茂みを叩くと、頭が尖った大小のオンブバッタが飛び出してくる。稲田から畑にやって来たのか、目ん玉が前に飛び出たイナゴが飛び交っている。8cm近くもあるショウリョウバッタやイナゴより大きいトノサマバッタもいくども見つけた。放置したビニールや箱を持ち上げると必ずそこにコオロギが群れている。
 八月、盆を過ぎて、24個の育苗箱に極早生のストック50dlの種を播いた。八重鑑別をして最終的には3000本の苗を作る予定であった。九月中旬に大根の種を播くまで、ストックしか畑で幼い苗を育てていない。
 これまでも、ストックの苗は一部バッタに食われていた。せいぜい100本程度であって折込済みとして気に留めなかった。ところが今年、2枚の子葉が出揃ったころに苗の被害が大きいのに気づいた。幅1.5mの防虫ネットを育苗箱に巻きつけた。上と下は開いていていたが、この程度で防げると思っていた。
 数日たったある日、見渡すと殆どの苗の葉が無くなって、小さな茎だけしか残っていなかった。無事に残った数十本の苗を捨てるのも無念であるから、これだけでも育てたいと、育苗箱から畑に植えつけた。あっという間に全部食べられてしまった。畑の広さの中でも僅かの苗をバッタは見逃さなかった。
 育苗箱は、底から順に軽石、川砂を入れ、堆肥とたねまき培養土ともみがらクン炭を混合した土をいれて作った。大変な労力を要したのに全滅である。ハウス一棟分、植え付けのための畝も作っているのであるから、ここで諦めるわけにいかない。
 9月の中ごろ、中生品種に代えてストックの種を再び購入した。
 如何なる対策をとるか。
 まず、バッタの住処である雑草を取り払うことにした。9月になっても今年は暑かったが、毎日のように草取りをした。スベリヒユの柔らかい葉が一面に食べられている場所がある。バッタは雑草も食べているのがわかる。
 草取りをしながら、目の前を飛び跳ねるバッタやコオロギを捕まえる。むやみに追いかけてもバッタの敏捷さに適わない。飛んできて着地した瞬間をねらえば確実に捕まえられる。コオロギはすばしっこく走るから、隅に追い立てて掴む。バッタを餌にする蜘蛛や蟷螂もどこからかやって来ている。バッタと戦う仲間のようで彼等にいとおしさを感じる。
 蜘蛛や蟷螂と私でバッタをやっつけても焼け石に水、畑にはまだ無数のバッタとコオロギが跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)している。
 苗を守る対策としては、苗をまるごと防虫ネットで完全に覆うしかない。育苗箱は風通しが必要で地上50cmの台においてある。細竹に支柱を差し込んで土に差し込み、背を高くしたトンネルをつくって、その中に育苗箱を入れた。
 対策の効あって、ストックの苗は被害をほとんど受けないですんだ。畑を飛び跳ねるバッタの数はかなり減った。草のなくなった畑で、私を含む天敵から身を守るため、バッタの色は緑から灰色に変ってきた。涼しくなってバッタの飛躍力も衰えてきた。食欲も少しは衰えたであろう。
 10月始め 苗をネットから出して畑に植え付けた。畑でむき出しになった苗がバッタやコオロギに食われないわけにはいかないが、翌日の被害は7,8本、それ以後は減少している。
 高温になって雑草が繁茂し、雑草はバッタやコオロギに充分な餌となり、よい住まいを与える。温度が高ければバッタやコオロギの体調も良くなり繁殖に好条件なのであろう。この夏の異常な暑さでバッタやコオロギが多くなったに違いない。
 テレビで、野菜が虫の被害を受けて、植え替えにより出荷が遅れ、高値であると報道していた。被害を受けているのは私だけではなかった。
 地球温暖化が進めば,毎年のようにバッタとコオロギに悩まされねばならなくなるのか。