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地球の島
2003・5・31


女性飛行士満天が宇宙から観た地球の美しさ(NHKドラマ)は記憶に新しいが、伊良部島でもその美しさは満喫できる。

断崖から見下ろすエメラルド色の海は陽光と共に刻々息づいている。シュノーケルをつけて観る珊瑚礁は、青赤黄紫そして白、原初の色のきらめきを伝えてくれる。海が深みに入ると大岩が深い割れ目をみせ、大昔からの物語を語りかけてくる。

陸でも森に入ると突然驚くべきアブ(穴)に出会う。暗く深く四〇b地下に下りている。直径二〇bの円筒となり地底が穏やかな赤みを帯びている所もある。地底から見上げると天空の島が浮かぶがごとき所もある。牧山公園の亜熱帯原生林は神秘的な奥深い空間である。

五〇〇bの白砂が続く渡口の浜は神々しいほど美しく、走ったり、つかったりして親しんできた。かつての入江は蟹や蝦や海ぶどうの宝庫だったときく…

満天は宇宙から観た地球の傷みも伝えていた。
「昔の浜は目があけられないほど白かった」と島の人は言う。「浜に砂がなくなっているさ」「入江もよどんできている。」「珊瑚礁も心配…」

これは沖縄の多くの海辺でもある現実ではないだろうか。
島の事を悪く言うつもりはない。
本土復帰以降の近代化により失われてきたものを省み、原因を明確にする事こそ、島の今後につながると思う。
護岸、浚渫、堤防や道路の新設による潮流の変化、排水のたれ流し、温暖化による珊瑚の白化現象…

先に書いた陸の深い穴も周りは大規模な土地改良の只中である。穴とその周囲の森は点々と文化財として守られている事は郷土の叡智と思った。しかし、このまま土地改良が続くと町鳥サシバがおりる森もなくなる…

まだまだ美しい自然を保全し、失われた自然を回復する公共事業を興す。これこそ、国県町と我々の責務ではないだろうか。自然は地球の財産である。

本土の教員の友達から短歌のメール。この花の生命感が島で紅く燃えるデイゴに重なった。

  水は病み人は争う星の上に
      りんりん真白く木蓮ともる