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美しき岩戸
2003・4・2
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島には美しい「岩戸」がある。
沖縄市の比嘉ハツさんが、五〇年前から開かれてきた自然の神様を敬う空間。
天の神様、地の神様、海の神様を敬う洞である。沖縄の島々で三千、伊良部島で一二〇開かれてきた。
伊良部島では浜川シヅさん・伊計ハルさんが守られてきた。私の心をうつ自然の神秘を記したい。

鮫口の海には禊の壷がある。

花の岩屋―琉球石灰岩の海岸にぽっかり直径八bの穴。底を、離れた海から洞を通し透明な波。白い砂・赤い岩・碧い水が陽光にさざめき呼吸する。

七福神―畑に陥没地帯の森。鍾乳石の神秘的な割れ目。大岩をつたって迫る幾十もの気根。天からまっすぐ地に結ぶ気根。

鍋底―海岸を三〇b下る。直径一bの穴。産道。三bくぐる。眼下に透明な海水。真っ赤な岩、お産の血。水は徐々にそして急速に深くなり真紺。底は海につながる。ぽっかり浮かび、たゆたう。羊水・産湯。ぽちゃーんと波の音。ここは人が生まれかわる所。生命の源。

天の橋立―岬に大穴。つるつるの柱をのぼる。奥をろうそくで照らす。三b四方の鍾乳石の白い世界。幾十もの細い棒からあまつゆ。透明な水たまり。中は、甲羅の模様に幾千の小花。

青き水をくぐって白き龍宮城。いだきのぼり真水にひたる真水を浴びる。時間はなくなる。

五年前、故ハツさんに、お会いした時、「玉泉満々洞にいきなさい」と言われた。満々洞に立ち下って母体に白きしたたり滴る。地に足がつく。長髪を切る。

通り池―直径六〇bの二つの池。底は海につながる。世界のすべてを見通す「龍眼」。その意味がわかってきた。

牧山に天主降臨台。翠玉の海、宮古、大神、池間、来間の島々、眼下に亜熱帯原生林を望む。

天から降り注ぐ雨・光。うけとめる大地・海。自然の恵み。

ハツさんの息子さん一行来島。新たに二つの岩戸に光がともる。神様は戦争を観る。「勝敗の問題ではなく、憎悪が深まれば、今後世界中でさらに深刻な戦争がくりかえされる。神業を通す。天地海の恵みに感謝し、生命を尊重し、人類は平和共存する。」