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理想の一日
2003・10・14

                            
九月五日は理想の一日だった。
朝九時、伊良部に来島している学生・賀屋さんと堀さんを迎えに行く。次に、作業所にのぶを迎えに行く。午前中いっぱい、四名で働くのだ。

仲地恵福さんの牛小屋に行く。仲地さんは馬車も馬具もつくる宮古で有数の職人である。
二名が糞をかきだし、二名が一輪車にのせて、運び、積む。有用微生物菌と糖蜜をまぜて発酵させて希釈した液をかける。牛小屋には、下地島空港からいただいてきた枯草を敷く。積んで三ヶ月たって上等に醸成した堆肥を袋に詰め、車に積む。木陰で、ほっとする。

畑に向かう。三週間前、のぶと採ったアロエベラの中株を、畝に一b間隔で、さらに穴を掘り、牛糞堆肥を入れ、一人が支え、一人が埋めていく。完成!学生は株の写真撮影。

さぁ、海へ、大龍門上の断崖にいく。歓声がおこる。人工衛星から観たようなエメラルド色の海の広がり。遠くに大神島。地球ってこんなに美しいいんだ…

次に、公園の芝生へ。浮き玉を使った三角ベースボール。二組に分かれて興じる。試合内容は濃かった。ボールが優しいので、老若男女で、楽しめる。全国大会もある。

みんなで、よく働き、よく遊び、ほっとできる理想的な時間だった。こんな将来でありたいと思っている。教員時代から、「障害」者との共生共学を追いかけていた。

午後は身重の妻が丹精してつくったハーブ・ローゼルの袋詰めをもって、桟橋の金曜市に出向いた。皆と島の特産品を売った。

終わって、陸上競技場へ。明日明後日の町の運動会で、伊良部長距離会でそろえたランニングをつけて、仲地部落代表として誇りをもって、一万と五千を走るのだ。一ヶ月前から覚悟して走りを重ねてきた。

「ノマダーブライン!」(夜、部落の打ち上げの時のかけ声。一人ずつ、口上を話し「オトーリをまわします」と言う度に全員で拳を上げて叫ぶ。「これを聴いて飲まずにいられるか」の意)

自然と人に恵まれて、今日も、理想の一日を送る事ができた。
水に含まれるミネラルの故かとおもわれるほど、人々の心は穏やかである。