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ローゼルの魅力
2004・3・31

   

宮古のアルカリ土壌は、芳香系のハーブに適しているといわれるが、事実、ローズマリー・フェンネル・セージ・レモングラス・ミントの香りはしばし、言葉を失うほどだ。

その中でも、一番よく育っているものがローゼルだ。
五月に種をまいて、オクラ状の枝が伸びて、十一月には、芯が紅の白い花が畑中満開になる。見惚れるほど美しい。
花が散ったあと、ホウと呼ばれる実がふくらんできて、畑はルビー色に染まっていく。短日性のため、冬に咲き、しかも、霜がおりると枯れるので、沖縄以南が栽培適地なのだ。

台風に耐え、無農薬で育つ。昨年はアブラムシも全くつかなかった。
はさみで収獲し、中の種を取り出し、まわりのホウとガクを食する。
ローゼルティー・ジャム・酒・漬物…どれも、美しい色で、美味である。
クエン酸やミネラルを多く含み、からだによい。東京オリンピックではマラソン金メダルのアベベ選手はローゼルティーを飲んで走っていたと言う。
また、アフリカでは、甘くしたローゼルティーを凍らせた氷果が子どもの一番のおやつと聞いた。昨年畑でローゼル狩りをやった時、子供たちが群がって飲んでいたのが、甘くしたローゼルジュ‐スだった。大人が飲んでも、ホット・アイスティーいずれも充実した時間を楽しめる。宮古産として、たくさんの店のメニューになったらいい。

ローゼルは葉も酸味のあるお浸し等になる。
また、茎には良質の繊維を含み、糸や紙や炭を作る事が出来る。ミキサーで細かくし、枠で漉くと、美しい紙になった。台所の漂白剤を加えると純白のものも出来た。名刺や葉書にしてもいいし、書をかいてもいい。卒業証書や色紙等を、自分で漉いた紙で作るのも楽しい。

地元の自然にあった作物を育て、加工して、その恵みをいただき、世界に届ける。そんな地場産業を育てていきたい。