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島の宝

2007・4・19

   

伊良部島で暮らし始めて、2月で、丸10年になった。つくづく、この島は宝の島だと思う。 

島の人に誘われて毎月1回のいらぶ探険隊を始めて、この4月で17回目になる。
自然の中に溜まったゴミを拾って、場が蘇っていくのもうれしいが、奥深い自然の場に立ち会う時の感銘は格別だ。

島に来た時から、縁に恵まれて、まわってきたが、探険隊では毎回皆と新たな発見を共有する。
洞窟の無垢の白い鍾乳石・引き潮の時、眼前に観る蒼く美しい海の池(下地島)・新たに見つかったエメラルドの海が直下に広がるスペース・下地島南海岸を歩いて、2〜4時間のハイキングコ−スが貫通。変化に富んだ地形が楽しく、一箇所の切れ込んだ浜には限りない懐かしさを感じた。
今度は再び、大潮の干潮時にしかいけない白鳥大龍門の大洞窟に行く。ここは地球の原初の姿に出会える島だ。それ故、世界有数のダイビングスポットでもある。

昨年11月から5ヶ月間、ハーブの加工品作りに集中して取り組んだ。
離島資源活用産業育成事業の一環。睡眠時間5時間以外は働く日が続いた。
世界の製品を調査し、ハーブ・砂糖・塩・チーズ・ピーナッツ等を比較研究し、栽培法・加工法・殺菌法を工夫し、本物の味を追求した。
結果、宝石のような瓶詰め製品たちが出来上がった。ローゼルの実(苞・萼)で作った、ルビー色のコンフィチュール(ジャム)・粉末ソルト・シロップ、バジルペースト、パルダマペースト、5種の香りが楽しめるドライハーブ等々。
保健所の許可もいただき、体験滞在交流施設(下地島)でじっくり研究・製造できる事も有り難い。
物作りの方法は体験プログラムにもなる。
ローゼルの切り花も東京大阪の花材会社や花き市場で高い評価を受けた。冬でも豊かに育つ、香り高く美しいハーブは宮古島の宝である。
農産加工品は多数農家・事業所でも各種出来上がり、島の宝を内から掘り起こした事業のあり方が成功した。
島外の人に任せきってはいけない。製品として、地場産業として成り立たせていく事がこれからの勝負だ。
この所、かぼちゃコンフィチュール・かぼちゃス−プ・ムースの素も開発した。

すでに宮古島地場産業として成り立っている物のひとつに鰹節がある。
佐良浜の工場で、その場でかいてもらった鰹節の味は最高だ。味噌汁は極上だ。鰹節酢醤油アロエベラも美味く、ヘルシーな一品料理だ。
今後、シーラの冷燻生ハムやマグロの塩干し卵のカラスミ作り等も期待したい。

宮古島産の泡盛は最高のスピリッツ(蒸留酒)だと思う。各種ハーブティー割りやハーブ酒も香り味わいよく、ドライハーブと島酒は素敵な宮古島産セットになると思う。

この4月から、下地島−那覇航空便も就航したが、来島される方を、豊かな自然体験・食材・宿でお迎えしたいものだ。その宝はこの下地島・伊良部島にも宮古島にも豊富にある。潜在力をさらに生かして、農業・漁業・加工業・観光業が連携していければいい。いい食堂・宿も出来てきている。本物志向でいこう。

近頃、再び下地島空港軍事化の話が聞かれるが、2年前、住民が爆発的に立ち上がった通り、平和こそ、この島の心だ。優しい心。これこそがこの島の一番の宝だ。
隣国に刃を向ければ、隣国からも刃を向けられる。誰がそんな関係を望んでいよう。死の商人の誘惑を心から追い出そう。まともなもの作り・仕事に徹し、共存共栄していこう。大自然の素晴らしさを共に感じよう。
平和行政への無理解も市議会に見られるが、平和は島の根幹だ。戦争中、韓国の軍夫や慰安婦の方が宮古島でも大変な苦労をされている。その史実を確かめる事も必要だ。そして、一人の人の人生を思う事だ。軍国主義・武力主義が国内外の民衆にした事・している事を見極める事だ。それでこそ、真の平和をお互いに築いていけるのだと思う。

島内外の様々な交流を深めていきたい。宝に恵まれたこの島を誇りに思う。2年前の伊良部住民説明会で響いた一住民の発言である。「あんたは、下地島の畑を守ると言って、議員になったはずだ。」
下地島の海岸線の県立公園案・下地島残地の平和利用条例制定も重要である。
覚悟をして、官民力をあわせて、島を守り、島をおこしたい。