本文へジャンプ 兼升養魚漁業生産組合
Kanemasu yougyo gyogyou seisan kumiai
和鮎として
 畜産の世界で有名な「和牛」はサシ、シマリ、増肉と優秀な血統の親を掛け合わせて生まれた子牛を人の手を掛け、衛生的な環境で育てることで「うまい高級牛肉」ができあがります。

 魚であるアユは大きくわけて天然鮎と養殖鮎があります。天然の鮎はその川の水質とその水で育つコケを食べることで味と香りが環境によって変わります。しかし、数量的にも少ないため、高価なものとなってしまいます。

 養殖鮎は育てる稚魚が湖産、海産、人工種苗と大きく3つにわけることができます。当組合では安定生産を基本とし、つねに「
定時、定量、定質」な供給のため人工種苗による養殖を実施しています。

 そのため各河川より「味の良い親魚」、「形の良い親魚」、「香りの強い親魚」を選択し、掛け合わせた稚魚を育てることで、天然の鮎とは違った養殖ならではの「食べ応えのある旨い鮎」を目指しています。

 また、育てる環境と出荷鮮度向上、記録を蓄積することで履歴のわかる
安全安心なアユであることを徹底しています。

兼升養魚漁業生産組合は「
定時、定量、定質、安全、安心、新鮮」なアユを「和鮎」と命名しています。
和鮎の概念(魚、エサ、環境、鮮度、記録)
  • 人工種苗、育成、出荷履歴の公開
  • 育成水質の定期的な検査と日々の水質記帳
  • 生産履歴としての給与明細記帳、投薬履歴の完備
  • 給与飼料(特種原料ホワイトミール使用)の内容証明、品質確認
  • 外部機関による残留検査の実施
  • 出荷施設の清掃(清掃記録の完備)


育てる5つの拘りと様々な取り組み

水に拘り(カネマスの使う水は・・・)
昔より天竜水系の伏流水が地下より豊富に湧き出す地域であり、その水質の良さから酒造業者が純米酒を作るため利用しています。渓流のような水の美しさと冷ややかな水温から鮎の身を引き締めます。
また、稚アユを主に育成する伊良湖分場では塩分を含む水をくみ上げることが可能であり、成長につれ海から川上へ遡上するアユの性質に合わせた水質に調整し、自然に近い環境で育成ています。
 
餌に拘り(カネマスが与える餌は・・・)
配合飼料メーカーと取組みビタミン、ミネラル、カルシウムを強化した飼料を専用にブレンドしております。水と飼料により淡白で芳醇な肉質の食べ応えのある魚に仕上げております。
配合飼料写真 各成分について
中心:配合飼料(仕上げ用)
画面左より
・緑茶抽出物(カテキン):
・ハーブ:
・ポリフェノール:
・海草粉末:
・イースト酵母:
・小麦粉:
・ホワイトミール:
環境に拘り(カネマスの池は・・・)
昼夜の水温差を軽減するためオールハウス化ております。魚に極力ストレスを掛けずスムーズな発育を促すとともに、野鳥などの害獣の進入を防ぐことで外部からの病原の進入を防ぎます。
 
種苗に拘り(カネマスの稚鮎は・・・)
種苗場との提携により、病気のない湖、ダムからの親魚を導入し、掛け合わせた縄張り意識の強い(釣れる)魚系です。また、稚鮎には自然環境に近い状態で育成するよう生物飼料(ワムシ、ミジンコ等)を多く与えて導入しております。
 
出荷に拘る(カネマスが出荷する鮎は・・・)
網を極力使わず取り上げることで魚体への傷、ストレスをなくし、一昼夜半暗室で餌切り後、活魚出荷、又は温度制御された加工場で氷詰め致します。加工場内の冷蔵庫から直接出荷することで鮮度を維持し、日持ちの良い魚として売り場へ送っております。

鮎への取組(定時、定質、安全、安心、新鮮)
トレサビリティーの取組

衛生・管理
水産用医薬品について



和鮎としての取組みと研究
緑茶抽出物給与による成長比較と官能検査の実施
試験方法
 同尾数、同日令の鮎に対し緑茶抽出物を含む飼料を給与したものと給与しない区育成しました。その後、主婦20人に試食頂き「香り、臭み、味」などについて官能検査を実施致しました。

結果
 緑茶抽出物を与えた区は増肉に若干劣るものの、斃死数は少ない結果が得られました。
 また、官能検査においては緑茶抽出物を与えた区は香りが強く、臭みが少なくなったとの結果が得られました。
緑茶抽出物給与区 無給与区
香り 11
臭み 14
(上記数値は検査で良いと判定した数値、わからないと答えた数値は含まない)



マンセル表色系活用による鮮度調査



緑茶抽出物を給与した鮎を下記内容にて保管し鮮度推移を確認致しました。

試験方法
 当組合で常時実施する出荷前の蓄用池にて餌切を実施した区と未実施区に分け氷〆し、82時間後までを測定した。
 また、出荷後魚市場に到着する約6時間後を想定し、一部を低温区に分け流通環境と同様の条件で色彩色差計にて測定した。

結果   
解剖写真 写真上:取上後即割腹したもの
写真左上:餌切保冷区 写真右上:餌切未実施保冷区
写真左下:餌切低温区 写真右下:餌切未実施低温区
解剖 餌切保冷区が内臓状態が最も良く、形状を留めていた。
餌切実施せず低温化で保管された魚は内臓の形状を留めることできなかった。
明度 色彩色差計で鮎の背、腹部位の明度を測定。
数値からも餌切保冷区がもっとも明度の差が低く、体表の変化も少ない結果であった。
上記結果から当組合の商品が出荷からその後の流通に至るまで最も鮮度を維持する蓄養と保冷方法であることがわかりました。(K値においては別途検証中)
           
  明度推移グラフ(測定機器:ミノルタ 色彩色差計CR-330)





特殊水による蓄用と〆氷水の使用
鮮度向上の為、氷〆実施時の水温と出荷作業経過に伴う〆氷の溶解について試験実施致しました。

試験方法
 同量の鮎に対し同量の水と氷を入れた区と特殊水と氷を入れた区にて水温を測定。
 また、作業経過時間に1時間掛かったことを想定し常温に放置し、〆氷の溶解について観測。

結果
 〆時の水温は特殊水利用した区が利用しなかった区より1.5度程低い結果となった。
 また、1時間放置後の氷の溶解も少なく(写真右)、吐血量も少ない結果となった。
当組合で実施する〆方法は最も鮮度維持に優れているものと考えます。

写真 水と氷のみのダンベ 特殊水と氷のダンベ


鮮魚用出荷ダンボールの改良による品質向上
流通において保冷性(氷の溶解抑制)を高めるダンボールを使用しました。
試験方法
表ライナー、中芯、裏ライナーを改良したものと旧来のダンボール(茶)へ氷詰めした木箱を入れ約84時間放置し比較しました。
結果
当組合使用ダンボールは氷の溶解性が少なく保冷性に優れていることがわかりました。また、氷解け水による破損も少ないことも確認できました。
遠距離のお客様への流通において、中継ポイントで乗り継ぎ間の鮮度劣化も抑制できるものと考えます


企業との研究コラボレーション
異業種との研究のコラボレート
上記研究以外にも鮎の食育、消費拡大のため随時研究を実施しております。

研究内容、研究機関、研究企業等についての詳細は控えさせて頂いております。






ロハス的な流通について考える
 近年、地球環境に配慮した事業活動のあらゆる面において、環境負荷の低減が求められており、最終販売先においても循環型の社会性が求められています。
 それは大量生産・大量消費・大量廃棄システムを見直し、ゴミの発生を抑え、限りある資源を循環して利用し、環境への負荷をできるだけ少なくしていく社会です。当組合としても地球環境問題への対応を考え、生産、物流などあらゆる業務を通して環境負荷の低減を一層推進するとともに、企業の社会的責任を果たすために、法令遵守、社会貢献などを積極的に進めていく方針であります。
 現在使用している木箱に関しても森林保護の観点から間伐材の使用が求められておりますが間伐材を切り出す人材不足から使用できていないのが現状であり、また、流通後の使用済みになった木箱は防疫上の問題から再利用は出来ず廃棄されている状況にあります。発泡スチロールはリサイクル特性に優れ、生産から再利用までのプロセスでエネルギー消費も少ない循環型社会に適応した素材です。
 

耐水ダンボールの放熱温度測定

試験方法
 地熱を想定し、ホットカーペットの上に鉄製桶をのせ、その上に耐水ダンボール(氷9枚、魚入1枚、通常梱包)を置き周囲温度変化と氷の溶解を測定を実施した。(使用ホットカーペットの設定は100Vで暖かさ「中」、最下段には10尾サイズ(傷等による次品)1kgを入れ鮮度確認実施)

試験結果(即定時外気温10度 夏場の早朝を想定)
試験前 試験後 差異
材質 スチロール 木箱 スチロール 木箱 スチロール 木箱
中箱重量(10枚) 1.2 4.7 1.2 5.5 0 +0.8
外箱重量 0.8 0.8 2.2 6.8 +0.2 +0.5
小計(kg) 2 5.5 2.2 6.8 +0.2 +1.3
上段5枚重量(氷) 5.3 7.3 5 6.8 -0.3 -0.5
下段5枚重量(氷+魚) 5.9 8.3 4.8 6.5 -1.1 -1.8
小計(kg) 11.2 15.6 9.8 13.3 -1.4 -2.3
合計(kg) 12 16.4 11 14.7 -1 -1.7
氷溶解量 9 9.9 8.3 8.5 -0.7 -1.4
 スチロール区は木箱区に比べ氷の溶解速度が遅いことが確認された。
 氷の溶解も層毎に比較しても最上段、下段4層の氷残量は明らかにスチロール区が多かった。しかし、擬似地熱設定温度、測定時間が長すぎたことにより最下段(魚を含む層)での詰め氷はどちらも残らなかった。また、最下段の魚の開腹からも内臓の劣化はスチロール区が優位であった。
左:木箱

 結果的に中継ポイントにおける放置時間が極度に長すぎない限り地熱による氷の溶解抑制ははスチロールが優れていると考える。
 子持ち鮎出荷の抱卵基準
 子持ち鮎を出荷シーズンを向かえ、出荷開始するために当組合の製品規格を満たしているか毎年開腹し調査を実施しております。その調査方法をご紹介します。

試験方法
餌切、蓄用後ランダムに
4検体を採取し、重量、抱卵の重量を測定し、抱卵率を算出しました。

  
 

検体

個重量

抱卵量

抱卵率(%

1

119.5

24.5

21

2

113.5

18.5

16

3

119.5

13.5

11

4

96

11

11

合計平均

112.1

16.9

15.1

試験結果

 当組合では固体重に対してある一定量の抱卵したものを(抱卵率何%以上)を子持ち鮎として出荷するよう心がけております。

 試験対象ロットの検体は目視による外観判断から、抱卵されていなさそうな個体でも約10%抱卵していた。
 結果的に商品化率を高めるため、数日間の抱卵処理を実施することとした。