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2008年10月22日
二つの十兵衛さん(魔界転生3)

ところが、かなり時がたった2003年、新たな魔界天生の映画ができあがりました。
ただし1981年版の続編ではありません。まったくの別物、リニューアルです。
やはり1981年版の印象が強かったのでしょう、この2003年版でも、魔界衆のリーダーは天草四郎です。四郎役には、当時人気のあった窪塚洋介さんが演じています。マンションから落ちちゃう事故を起こしてから、すっかり見かけなくなりましたが、今、どうしているのでしょうか?
それから、復活する魔界衆も、ほぼ1981年版と同じ。但馬守、槍の宝蔵院、武蔵。そこに荒木又右衛門が追加、それからなんと徳川家康まで復活します。そうです、江戸幕府を開いた、あの家康です。
今回の柳生十兵衛は佐藤浩市さんが演じており、魔界衆を倒すために、10人ほどの弟子を連れていくのですが・・・ハッキリ言って、何の役にも立ちません。なぜなら、全員、魔界衆に倒されてしまうのですから。こんなに魔界衆は強いんだ、ということを証明するためにいるだけ、と言っても過言ではありません。
そもそも原作がそうなっているので、その部分だけを忠実に再現したと言えなくもありません。もっとも私は、原作を読んだ時から、この設定が嫌いでした。魔界衆に倒されるのが、最初から予想できるので、なんだかしらけてしまったのです。
その点、1981年版は、弟子など出てきません。むしろ登場する人物を絞って、剣豪たちの対決に焦点を当てた、娯楽大作という気がしました。
それに対して、この2003年版は、弟子たちもそうなのですが、なんだか多く盛り込み過ぎた、という印象を受けます。
例えば、最初に十兵衛と四郎が会った時・・・四郎は魔法を使って、十兵衛に「島原の乱」の地獄絵図を見せるのです。十兵衛も、その悲惨な状況に言葉を失います。復讐に燃える四郎に対して、重い何かを背負ってしまった十兵衛・・・という展開にはなりません。この地獄絵図も、結局、後半への伏線でも何でもなく、ただの1場面で終わってしまっています。
また、先程の徳川家康にしても、出てきてから、意外とすぐに十兵衛に倒されてしまいます。これでは、何の目的のために家康をよみがえらせたのかわかりません。
ところが、かんじんの剣豪同士の戦いは、意外とアッサリしています。特に槍の宝蔵院と戦った時。槍を真っ二つにした十兵衛に対して、それを恥じて宝蔵院は自害してしまいます・・・えっ、十兵衛さんが斬るんじゃないの?とビックリしてしまいました。また自害するくらいなら、折れた槍を拾って戦え!とも思ってしまいました。
それから武蔵との戦いも、アッサリとしていて、意外と印象にのこりません。何のためによみがえらせたかわからない家康を出すくらいなら、もう少し剣豪の戦いに時間を割いてもいいのでは?そんな感想を持ってしまいました。
結局、あれもこれもと盛り込みすぎたのではないでしょうか?地獄絵図を見せちゃえ、家康をよみがえらせちゃえ・・・などなど多く盛り込みすぎたために、それぞれが中途半端に終わってしまい、結局、収拾がつかなくなったような気がします。
こうなると1981年版は、よくできた映画だったのだと、あらためて感心してしまいます。
 
  〔これが2003年版。ちょっと悪く書きすぎたでしょうか・・・〕

Posted by kazenoko at 23:01 | Comments (0) | TrackBack (0)


2008年10月18日
二つの十兵衛さん(魔界転生2)

そして、山田風太郎原作の「魔界転生」を基に、巨匠・深作欣二監督がメガホンを取ったのが、1981年版です。
この映画では魔法使いは出てきません。代わりに、沢田研二さん演じる天草四郎が、転生の術を使うリーダーになっています。蘇らせたのはの柳生但馬守と宮本武蔵、槍の宝蔵院。それから原作にはありませんでしたが細川ガラシャと若い忍者(真田広之)と、意外と少人数です。
島原の乱の恨みを持つ天草四郎は、妖術を使って、幕府の要人を暗殺。また、民衆の心を操り、煽動して、江戸に乗り込みます。最後の方では、江戸城も燃えてしまう・・・と、時代考証も完全に無視。逆に、そこが「何が起こるかわからない」というスリルを感じる要因なのかもしれません。
過去に縛られるのが、時代劇。例えば、徳川家は豊臣家を滅ぼした・・・これは歴史上の事実。だから、本来であれば豊臣が徳川を滅ぼす時代劇は作れないはずなのです。
しかし深作監督は、時代考証を無視することで、次に何が出てくるかわからない。もしかしたら、幕府は滅びてしまうのか・・という期待感を持たせることに成功したと思うのです。
また、物語自体も、実にシンプルな構成です。よみがえった魔界衆に、柳生十兵衛(千葉真一さんが演じています)が挑む、という単純な話。しかも、トーナメント方式。
ちょっとネタバレになるのですが、幕府要人として狙われる柳生但馬守。しかし、襲ってきた宝蔵院を返り討ちにします。ハイっ!ここで但馬守は決勝戦に進出・・・なのですが、息子の十兵衛と戦うために魔界に落ちてしまうのでした。
一方の十兵衛は、魔界衆の武蔵(つい最近、お亡くなりに緒方拳さんです)を巌流島で倒す。ハイっ!ここで十兵衛は決勝戦に進出。
そして決勝戦は、燃え盛る江戸城。そこで父と息子は、剣を交える・・・と、ストーリーは複雑なように見えて、意外とわかりやすいです。
また、山田風太郎さんの原作は、あちらこちらにエロが転がっていて、しかもドギツイのですが・・・この映画では細川ガラシャ役の佳那晃子さんと、クノイチの飛鳥裕子さん(ジャスピオンの奥さんなんだって?)の二人だけに(他にも、ほんの数秒の人はいるが)任せているせいか、それほどドギツイとは感じません。それとも、最近の過激なアダルトになれてしまったせいでしょうか?
それはさておき・・・歴史に名を残した剣豪たちが、実際に戦ったら誰が勝つのか?
原作が持つ、この主題を、わかりやすい構成で実現した映画。本当の意味での「娯楽大作」という感じがしました。
むしろ、わからなかったのは、十兵衛VS四郎。この映画では、刀を切断するのではなく、電撃能力を持つ髪切丸を操るのですが、それがなぜか十兵衛には効かない。しびれもしなけれは、苦しむこともない十兵衛に、あっさりと切られてしまう四郎・・・なぜ?
なぜ十兵衛には効かないか?今回、あらためてDVDを見てみると、なるほど!つまり十兵衛の体中に書かれた「お経」の力で、四郎の技を封じた、ということだったのね。
ちなみに、結局、四郎は切られながらも逃げることに成功します。また戻ってくるぞ、というセリフを残して。続編を期待させる内容でもあったのですが、すでに深作監督もお亡くなりになってしまいました。
きっと、このまま続編も作られることもなく、娯楽大作の貴重な1本として、後世に伝えられていくのだろう・・・そう思っていたのですが。
 
〔これが1981年版です。今なら特別プライスで買える・・・かな?〕

 
 
 

Posted by kazenoko at 22:57 | Comments (0) | TrackBack (0)


2008年10月11日
二つの十兵衛さん(魔界転生1)

この間、テレビで「柳生一族の陰謀」のドラマを放映していました。ついつい見てしまいましたが、柳生但馬守が、家光を将軍にするために、あの手この手の陰謀を巡らせる。それに疑問を抱きつつも、従っていた息子の十兵衛。だが、父親の非情な仕打ちに嫌気がさした十兵衛は、逆に家光と但馬守に挑むのであった・・・というのが、おおまかな内容です。
だいたい、十兵衛さんは「良い人」で描かれることが多いです。この「柳生一族の陰謀」でも、最初は悪でしたが、結局、正義の人に終わっています。古いところでは「江戸を斬る」や「家光暴れ旅(だったよね?)」でも、脇役ながら世の中の平和を守るため、その剣を振るっています。
そんなワケで、今回は、その柳生十兵衛が活躍する物語の一つ「魔界転生」です。この「魔界転生」は、山田風太郎さんが原作の、いわゆる忍法モノです。
宮本武蔵や宝蔵院胤舜といった剣豪たちがよみがえり、江戸幕府の転覆を画策。その陰謀に立ち向かうのは、バツグンの剣の技を持つ柳生十兵衛・・・というストーリーです。
映画の印象が強くて、魔界衆のリーダーは天草四郎と思われがちですが、原作では生き返りの技を使う魔法使いが指導的立場にいます。天草四郎は、その魔法使いがよみがえらせた1人に過ぎません。
そもそも原作は、かなりの数の剣豪をよみがえらせており、私が覚えているのだけでも7人はいます。ちょっとネタバレになりますが、天草四郎は、オンナの髪を束ねた「髪切丸」というムチのようなモノを使います。その威力は、剣をも切断してしまうので、さすがの十兵衛も勝てるハズはなかったのです。しかし、十兵衛を愛してしまった敵のクノイチが、自分の切り取られた髪が「髪切丸」として使われようとした時、自らの命を絶つことで術を封じてしまうのです。結局、十兵衛の剣にまとわりつく、ただの「髪」となってしまった髪切丸。これは、何のつもりなのだろう?・・・切り捨てた四郎と、まとわりついた髪を見ながら、首を傾げる十兵衛のシーンがあります。意外と、あっけない最後です。
だいたい、魔界転生で最後に戦うのは宮本武蔵です。少し頭が狂ってしまった武蔵は、自分をよみがえらせた魔法使いを切ってしまい、十兵衛に巌流島での決闘を申し込むのでした。
そんなワケで、原作では、四郎は、ただの「やられキャラ」に過ぎなかったのですが、それをリ−ダー格にしてしまったのは、映画です。

Posted by kazenoko at 22:46 | Comments (0) | TrackBack (0)