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北海道における農協政策から農業政策へ

抄録
北海道の「食と農」の基幹となる農業は農業者のための農業政策というよりは、農業者が主体の運営とされている農事組合法人のための農協政策と評価されることがあったのである。農協は農事組合法人であり、非営利法人(ボランタリーセクター)である。農業者を支援する団体の支援サービスが、管轄する地域の農協に独占的あるいは寡占的なことが弊害をもたらしていることが指摘されていたことがある。農業政策の課題解決には、ウェルフェアミックス理論、福祉レジーム理論の応用が有効と思われ、分析と考察を試みる。

公取委が士幌町農協に警告 資材購入を条件に融資、不公正取引の恐れ  2006/07/22 08:11

 十勝管内士幌町の士幌町農協(森本勝組合長)が、組合員農家へ融資などをする見返りに、農協からの農業資材購入を義務付けていたとして、公正取引委員会は二十一日、独占禁止法違反(不公正な取引方法)の恐れがあるとして、同農協に警告した。

 政府は今年三月、独禁法違反に該当する恐れがある農協の行為に関し、ガイドラインを作成する規制改革・民間開放推進三カ年計画を閣議決定している。公取委は、今回の警告は農協の行為に対する公取委の考え方を示し、他の農協での類似行為の防止と、農協の公正な競争を促す意味合いがあるとしている。

 公取委によると、士幌町農協は、農協組合員が「畜産事業勘定」「営農貸付金」と呼ばれる短期貸付金制度を利用する際、同農協から配合飼料などを購入することを融資条件としていた。この結果、二○○四年度の組合員の資材購入では、総額の85%を同農協からの購入が占めていた。

 また、肉牛農家に対する土地や牛舎などのリース契約では、同農協以外からの農業資材購入や、民間業者などへ肉用牛を販売した場合は「(農協は)無条件で契約解除できる」と契約書に記載していた。

 一九四七年施行の独禁法は、農協を経済的に弱い農家の集合体と位置付け、漁協や信用金庫とともに同法の適用から除外している。ただ、不公正な取引をすれば、同法を適用すると定めている。

 公取委は昨年十月、資材購入の義務付けが不公正な取引に当たる疑いがあるとみて、同農協などに立ち入り検査を行い、書類などの提出を受け、組合員から事情を聴いた。別の融資制度を使って民間業者から資材を購入していた農家もいたほか、今月上旬に同農協が改善策を申し入れてきたことなどから、従わない場合は罰則が適用される排除勧告ではなく、強制力のない警告にとどめたという。

 農協の不公正な取引をめぐっては、熊本県八代市のJAやつしろが昨年三月に公取委から独禁法の警告を受けたほか、同十一月に京都府亀岡市のJA京都が立ち入り検査を受けている。


北海道新聞より抜粋
 : 農家、住民一体で環境保全 農林水産省が300億円で助成
  2006/07/29 21:42

 農林水産省は、農家と住民、民間非営利団体(NPO)などが一体となった農村環境の保全活動への支援を、2007年度から本格化させる。生産者の高齢化などで農地や水の環境保全が難しくなっており、地域ぐるみで担ってもらう。2007年度予算の概算要求に総額300億円を盛り込み、11年度まで5年間実施する方針である。

 支援を受けるには、地域の生産者がまとまり(1)地域住民参加型(地域住民、自治会などが参加)(2)地域内交流型(学校、PTAなどが参加)(3)都市・農村交流型(NPO、都市住民などが参加)−の活動組織をつくることが条件。助成するのは、用水路や農道の維持管理などの地域活動で、水路の補修や生きもの調査、農道への砂利の補充などが想定されている。

1.農業系ボランタリーセクターの改革
ボランタリー・グループ(voluntary group)は、自発的結社、自主的集団ともいう。特定の利害、関心や欲求の充足を可能にするため、自発的に形成された集団である。政党、労働組合、職業集団、文化集団などはこれに含まれる。ひとたび形成されれば集団目標の維持、達成のため持続的な忠誠を要求するが、本来、集団への参加、脱退は任意に基づくものであるから自発的に脱退できるのが建前である。こうした集団が発生した背景には、近代市民社会に入って、人々が身分や共同体の拘束から解放されたという歴史的事実、さらに第1次集団の機能分化などがあげられる。ボランタリー・グループは巨大化、官僚制化、指導者の寡頭制化が進行して、集団を結成した初期の意図や目的が形骸化する傾向にある。特に巨大化した労働組合や政党などにそれがみられる。
北海道農村における「系統農協」とは、日本独特の農業協同組合の組成で、その前身である産業組合から農業会を経て設立されたものである。第2次世界大戦中から戦後にかけての食糧などの統制を通じて全国組織がつくられ、今日にいたっている。その構成は、ピラミッド型3段階制といわれるもので、全国市町村にある総合農協と末端の専門農協を底辺に、その上に都道府県段階の連合会(県信用農業協同組合連合会、県経済農業協同組合連合会、県共済農業協同組合連合会、県農業協同組合中央会)があり、これらの頂点に全国段階の全国農業協同組合連合会、全国農業協同組合中央会、農林中央金庫、全国共済農業協同組合連合会などが形成されている。
北海道農村のボランタリーセクターである農業系ボランタリズム組合改革は内外からの批判が増し、農業系ボランタリズム組合の在り方に対する各方面からの抜本的な見直しが指摘される。農民の利益を独占的に代表し、最強の圧力団体ともいわれてきた農業系ボランタリズム組合だが、アメリカからの農産物自由化要求という外圧を背景に国内に高まる農業・農政批判に立っている。特に1988年に公表された政府の農協行政監察報告は、従来関係者の間では指摘されてきた農業系ボランタリズム組合の問題点を全国民に示し、農業系ボランタリズム組合改革の世論を一気に盛り上げることとなった。その一方で、農民の農協離れが進む中、とりわけ不満が大きい専業農家を中心に内部での批判・改革の動きが起こりつつある。農協全体の組織の在り方は、農協は市町村段階にある単位農協を基盤として、都道府県段階および全国段階の各事業別連合会、中央会によってピラミッド型の組織に束ねられている。この複雑な中央集権的組織は「系統農協」という組織体制は、組織維持のために中央の統制のみが目立つ束縛としてしか感じられず、そうした不満が単位農協や組合員の復権を唱え、活力ある農協組織への脱皮を求める動きを促している。
農業ボランタリズム領域にある農業系ボランタリズム組合は、自らを圧力団体として位置づけ、農産物を販売する際に大量ロットで圧力をかけて高く販売することで、その存在意義を高めてきた。ところが、北海道農村における農業は、牛乳の生産過剰による1000トン(1リットルの牛乳パック100万本相当)もの牛乳を廃棄処分にするなどの現象は、圧力団体としての販売機能が充分に果たせなくなりつつある。むしろ、組合内部の組合員である農家に対し、圧力団体としての機能を発揮する場合があり、「各種組合による担い手追い込み機能」とも位置づけられることがある。その圧力機能は、クローズドショップ制度という機能を発揮させて、各種組合や職員(有給のボランタリースタッフ)の方針にあわない農家は組合員から除外する行為をとる。その実践方法は多様化しており、各種農業組合を定年退職したスタッフが相談にのって助言したり、買掛金を請求しないようにするから組合員を離脱するようにとの助言をする場合がある。こうした行動に、本来は都道府県農政部あるいは、各種農業改良センターは農家の立場に立った農業政策や提案をすることが望ましいと思われるが、公的機関は必ずしも農家の立場に立ったアドバイスをするとは限らないのである。このため北海道農村における農業の普及改良業務は、公的機関が独占あるいは寡占するのではなく多元的に供給されるのが望ましいとの考えから、特定非営利活動法人などのボランタリーセクターや先進的な農家などのプライベートセクターが農業の改良普及に参画するなどの動向が見られる。こうしたなかで、北海道庁、14からなる各支庁、北海道農政部、農協組織は、解体的な再構築が推進されつつある。

2.農協と郵政事業の共通論理
郵政事業と同じように、自己改革が指摘される企業体として農協がある。農協(JA)は国営ではないが、ある意味で官庁色の強いボランタリーセクターである。この農協は当初、農業者の組合団体として発足し、農林水産省が推進する食糧管理法を維持運営する組織として機能してきた。農林水産省にとっては、食糧管理法を維持していくためになくてはならない機関であり、また政治家にとっては農村地帯の巨大な集票資源として、政・官双方に影響力を持つ組織になっていった。特定郵便局と全逓が、郵政省と郵政族議員の双方に影響力をもつ存在に発展したのと同じ構図である。
本来は、農業者のために発足したはずの農協は、組織が肥大化するにつれて、当初の目的とは違う方向に進みはじめる。たとえば、農協有力幹部の親族を農協に就職させる、あるいは市町村有力者の親族を情実採用するなどである。やがて組織は次第に肥大化し、その農協組織の維持こそが、農協にとっての最優先課題となっていく。その結果、肥料・飼料・農機具などを農業に必要な生産資材を農協から購入すると、一般販売店から買うよりも高い価格で購入することになる。一般販売店は市場原理の影響下で合理化努力を試みたり、農機具店であれば利益の圧縮をしつつも積極的に販売するのに対し、農協は定価販売を貫徹するのである。
それでも農協が維持できたのは「農業者にとっては年一回の米の収穫時に支払いをすれば良い」という食糧管理法運営機関特有の特典があったからとの分析もあるが、北海道農村における酪農部門では、「牛乳を全部購入することを支援するのだから、多少高価な肥料や飼料、農機具の購入はやむをえないであろう」という事情があった。ところが金融機関の整備が進むにつれ、小規模な一般販売店でもローンが可能となった。また事実上、米市場が自由化されるにつれ、農協を通じて米を売らなくても、農家自身が自由に現金収入を得られるようになった経緯がある。農協はその組織を維持するために金融業をはじめ、保険代理業、旅行代理店的な仕事にまで範囲を広げていった。「農業者のため」と称して、じつは肥大化した組織の維持が主目的となってきたのである。
このようにして、農協は肥大化した組織を維持するために、自ら商社化していくことになり、結果としてアメリカに巨大な穀物倉庫を作り、総合商社と同じようにシカゴの穀物相場にまで介入するまでになる。農協は、一方で農業者の保護・育成を強調しながら、もう一方では、国内農業者の生活を悪化させる海外からの穀物導入あるいは農産物導入を行っている。本来は「農業者のため」を目的に設立された組織であるはずの農協が肥大化していくうちに、いつしか農業者に犠牲をもたらす組織になった。これ同じように「国民のため」を目的を起源とする郵政事業は、本来の目的を離れ、郵政省と郵便局員のための組織になったとも批判され、郵政事業は国営でなければならないのかといった検討結果は、解散総選挙(2005年8月8日解散、2005年9月11日開票)となり、その結果、民営化関連法案が成立した。そして、「郵政事業の株式会社」という巨大なベンチャービジネスが誕生した。



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