ゲストで参加したアルバムは星の数ほどあろうかと思われる御大ですが、実際にはキャリアの長さに比例せず、
さほど多くの音源を残しているわけではありません。しかも30年以上に及ぶ活動の中で残したソロ作はわず
か二枚。ソロ作と言えど粗製乱造を許さぬ職人気質のなせる業なんでしょう。ゲスト参加も厳しく厳選した
結果が今につながっていると思われます。
んで本作。「記念すべき」というより永らく「唯一」として存在した1stソロ。と同時にロック史に燦然と輝くコンセ
プトアルバム名盤中の名盤なのです。徹頭徹尾の美旋律、ガッツィーな音像と泣き。豪華すぎるゲスト陣。
内容の素晴らしさとは裏腹に過剰に知名度が低い本作ゆえ、いつも以上に強く宣言しておきますよ。
最強。
楽曲の素晴らしさが異常なレベルなので豪華ゲストはオマケ程度に有名どころだけ紹介しておきますが、
TRAPEZE、PHENOMENA関連でメル・ギャレー、COLOSSEUM
Uからの長い付き合いゲイリー・ムーア、
互いのソロ作に顔を出すコージー・パウエルは全編での参加、BLACK
SABBATH繋がりでベースは全てロー
レンス・コットル、WHITESNAKEのニール・マーレイからの推薦でしょうVOW
WOWから人見元基、メタル畑で
はないにせよクリス・トンプソン、コリン・ブランストンなどの大御所も大々的にフィーチュアされてます。興味深
いのはゲストそのものではなく、各楽曲がゲスト陣にマッチした・・・と言うかゲストが所属する各バンドを強く
意識した作曲が為されている点です。実はバリバリ歌が上手いメル・ギャレー参加の#3はTRAPEZEを思わ
せるプログレッシヴでファンキーな逸品、ゲイリー師の真骨頂「泣き」のみで構成された慟哭のインストチュー
ン#5、「VよりB」っぽい人見先生の激熱ハードチューン#13などなど、卵が先か鶏が先か、とにかくコンセプト
があってゲスト人選があったのか、コンセプトがあって楽曲を作り、その後ゲストが選ばれたのか、はたまたゲス
ト決定が先行していたのか、ともあれ時系列に沿って考えると楽曲の質や方向性はパラドックスと言えるほど
の完成度。コンセプトアルバムとはいえ必要以上に固有名詞を登場させることもなく単独で存在価値を主
張できる楽曲ばかりですので、結果から考えれば「コンセプトアルバム風な普通のアルバム」として考えること
もできるでしょう。なのでいちいち内容を把握、あるいは勉強しなければならぬような難しさもなく、この点でも
名盤たる条件を備えておられます。
それでもコンセプトの内容を簡単に。タイトル通り世界第二位の標高を誇るK2(山の名前です)で実際に起
こった遭難事故についてのアルバム。登頂に成功したものの下山途中でアタック隊5人のうち3人が死亡する
という事故だったそう。#5および14、#11のJ.T.および12はそれぞれその事故で亡くなった登山家アル・ルース
とジュリー・テュリスだと思われます。モノが悲劇ですから音もそれに相応しい悲しみに満ちており、特に#12は
悲し過ぎてむしろ美しいという超名曲。そこから続く#13の激しさとの対比が壮大で美しく、しかし容赦ない山
の恐ろしさを具現化したアルバムのハイライトでしょう。
名盤です。リリース当初から影が薄いアルバムでしたが、久々の新作ソロが出ることで本作の価値が再評価
されることを願っておりますよ。私個人は一生モンのアルバムとして捉えております。
BEST
TUNE:澄み切った叙情と悲しみの極致。東洋的な美的感覚が涙腺を断ち切る#12、JULIE
by
たけ