「朝日新聞2003.7.3」 春日・市道整備 森前首相が用地買収仲介
党幹事長時代 補償4億円増
福岡県春日市の都市計画事業に絡み、自民党の森喜朗前首相が党幹事長時代、予定地に土地と賃貸マンションを所有する神戸市の不動産会社会長と井上澄和市長の間を仲介し、市は最終的に当初提示額より4億4千万円上積みして土地を取得するなど異例の対応を取っていたことがわかった。会長は森氏の関西地区の有力後援者で、森氏は地元出身の山崎拓・現自民党幹事長にも仲介を依頼していた。
関係者によると、森氏は99年5月ごろ、井上市長に直接電話して会長を「親しい人」と紹介。山崎氏側は森氏の依頼で市長との面会の場を設け、会長はこの場で早期買取を市長に要望した。
市長は当初、財政難を理由に消極的だったが、01年1月から価格交渉を始め、翌月、コンサルタント会社の大まかな見積もりをもとに土地代と建物の移転補償費などとして計12億6470万円を提示。しかし、同意を得られなかったため、徐々に上積みし、同年9月、約17億円で契約した。
事業の都市計画決定は交渉開始後の01年8月で、県から事業認可を受けたのは契約成立後の02年12月だった。
国や自治体による用地買収では、補償基準に基づき価格を算定してから買収に臨む。国土交通省は「相手の要望で額を変えることはない」とし、福岡県用地課は「確定した補償額が出ていない段階で額を相手に提示することはあり得ない」としている。
柴田利行・助役は「特別な事情があり、あらかじめ低い金額を提示して駆け引きせざるを得なかった」と話している。
この不動産会社は契約成立後の01年11月に森氏の資金管理団体からパーティ券を40万円分購入した。森喜朗事務所は「会長を市長に紹介したが、土地などの購入を働きかけた事実はない」としている。
山崎拓事務所は「秘書が同席した時は市長に断られた。その後は森事務所が働きかけたと聞いており、用地買収には一切関係していない」と話している。
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