V-28 3年経過SPケーブル更新
V-24の続編になります。例年のケーブル端末部の磨きと、2〜3年に一度位は端末の酸化した部分をカットしていたら、次第に短縮して最近は自由なセットができません。アンプ・ラックを斜め置きでしのぐ実情、今回は前回メンテ以降3年放置したまま経過し、止むを得ずケーブル更新を決断。
理想のケーブルと云えば、ortofon SPK-8000、5000を思いつきますが、可能性としてはSPK-2000あたりまで。現実はさらに後退、財政事情によりSPK-500を20m 弱入手しました。Wスピーカー併列駆動に必要な長さで、現状はμ-S1+ac rotec 6N S-1030(単線)3m×2と、orto SPK-300+acrotec 6N A2200(マイクケーブル用途か?)3.5m×2。この複数異種ケーブルを、orto SPK-500で統一、3.6m と4.2mとすると果たしてどうなるか?
一方をYラグ端末でハンダ処理、他方はバナナプラグ処理し、プラグ類は旧ケーブルから転用(当時6Nレベル端子は高価だった)。まず、前者でSX-900 Spirit を繋いで仮試聴。旧結線では、低域のパワー感と中域の張りがボーカル系に最適。交換後は低域が幾分アンダーとなり高域優勢、全帯域の瑞々しい統一感。低域については、FX-9とW駆動で解決できると読む。
翌日FX-9 結線交換、W駆動試聴開始。アンプ・ラックは、従来の斜め置きから一列に並びますが、操作性のため少しだけ角度を付けたセット。はて…? かつての切れ込みの鋭さと、広帯域HiFi調の音は影を潜め、低域が膨らみ、ゆったりメロウで、瑞々しい美音。音楽的表現になった……とは云える。しかし、スピード感が失われ、ネムイ音だ。これは、ミドルクラスortofon 導体の音質特性で、それが再生全体を支配しては音楽の愉しさを減じる。μ-S1 の中音ボーカル帯域の張りと輪郭に、acro単線のドスの利いた低域とが幸せなコラボして生まれた音は、やはり素晴らしかった。
鈍さを感じる美音要因は二つか。一つは導体素材そのものの音質傾向、第二は長さか。ケーブルの酸化端末を10回カットしても余裕ある長さとしたが、これはまずかった。やはり、結線は出来るだけ短くが鉄則。しかし、既に旧ケーブルは端子プラグの付け替えでハンダ部カットで短尺となり再利用はNG、後戻りは出来ない。余剰の長さを再カットして、acro A2200で低域を絞めてみよう。セットの余裕と音質上ぎりぎりの妥協点として、 SX-900Sp.は、SPK-500 +acro A2200、3.4m、FX-9は3.95mとした。編線シースは、試聴結果によって最終化粧用です。
W結線で音出し当初は腰高に感じらたが、6時間ほどで夕刻には落ちつき、以前のメリハリ感に変わって、爽やかな音場感。聴感スピードは低下したように感じますが、実に自然なアナログ再生。中低域がしっかりしたボーカル再生の良さに変わって、高域の繊細感と分解能が上がった。MC-2000で R-Chの音圧が低く感じてチェックしたら、ヘッドシェルが左右方向僅かに傾いていました。旧繋ぎではケーブルの音質支配力の強かったのが、より信号に素直でシビアに反応するようです。セットから4日、コーナーの状態変化にあわせて定在波対策と、SPユニットの増し締め。高域の硬さがほぐれ、しかし優勢な高域の張りだし感により以前よりHiFi感は強まり、若干聴き疲れる音質傾向です。
今回の作業中、標題テーマを断片的にあれこれ考えました。導体素材と音質、同じ銅でなぜこれほどに違うのか、疑問を持ったことは一度ならず、過去にも仮説をさまざまたて、詰まるところ、電流の本質根源たる『電子動態』に影響を与える要因のすべて、と結論しました。電流(電位差、またはフレミングの法則で励起)は、電子移動の逆方向に生じ、導体の導電率、純度、電子配列、夾雑物の存在、同位体構成、温度条件等々、影響を与える要因を数え上げれば切りがない。
微弱電圧・電力(MMは高電圧、MCは高電力)を扱うシェルリード線の場合、導電率と純度を最も重視しますが、実用ではAg>Cu>Alに限定されるでしょう。DL-1000でAl を使用したのはなぜか、という疑問が頭の隅にあります。可動コイルの軽量化が目的とは思われますが、あるいは音質上の価値もあったのかも知れない?
最近、それらの要因に加えて、素材中に『電子を励起する物質が存在する』ケースも意識します。つまり、電子動(電流)をより大きく励起するには、ごく微量で効果を発揮する、触媒作用の様な夾雑物の存在に関してです。砂漠に砂粒1個を探る様な、限りなく微少な妄想ばかり、音質に拘る愛好家自体、皆そのようなどうでも良い矮小な存在ではないか、と自虐指向に陥る。これオーディオ凋落の今日的情況か ^_^;
27th. Sep. '15