ファラミアとファラミア
〜 小さな訪問者 〜
1.
扉を叩く音がした。
「父上、お茶が入りました。」
そう言って入ってきたのは一人息子のエルボロンだ。
「お前が持ってきてくれたのか?ありがとう。」
ファラミアが笑顔で言った。
エルボロンも嬉しそうに笑う。
「お忙しいのですか?」
エルボロンが机の上の山積みの書類を見て尋ねた。
「ああ、そうだね。」
「父上・・・」
エルボロンが呼掛けた。
「もうすぐ休暇だな。早いところ片付けてしまおう。」
「では・・・失礼します。おやすみなさい。」
エルボロンはそう言って頭を下げた。
廊下に出てきてふっとため息を吐く。
色々話したかったのに・・・・
ベレゴンドに会ったこと。
父上の兄上だったボロミア様の話をベレゴンドから聞いたこと。
「父上は、お忙しすぎてお話も出来ないのですね。」
でも・・・もしかしたら・・・
父上のように賢くない自分のことをあまり好きではないのかな・・・
母上に話すと「何を馬鹿なことを言っているの?」と笑われた。
でも・・・でも・・・
エルボロンは大きなため息を付いた。
ファラミアは部屋を出ていったエルボロンの後ろ姿が気に掛かった。
何か話したかったらしい。
いつもこうだった。
イシリアンのこの屋敷にも月に半分いればいい方だ。
いつ寂しい思いをさせているのは解っていた。
この屋敷に居る時は出来るだけ相手をしてあげたかった。
だが、ここにいれば、また領主としての仕事がある。
聡いエルボロンは、ファラミアが忙しそうにしていると決して邪魔はしない。
いつも今日のように寂しそうに部屋を出ていく。
もともと子供と接する機会の少なかったファラミアはそんな時どうしていいのか解らなくなってしまう。
もっと・・・もっと解ってあげられればいいのに・・・
兄上が私を解ってくださったように・・・
手紙にはこう書かれていた。
「お知らせ頂いた頃は、私は丁度イシリアンで休暇の最中です。
是非とも『小さなファラミア』と一緒に遊びにいらしてください。」
ピピンはため息を吐く。
「ファラミアはうちのファラミアの事を知らないから・・・。」
まあメリーやサムに言わせると「ピピンに似ているだから自業自得なんじゃない?」ということになるのだが。
とにかく好奇心旺盛で知りたがり、覗きたがり、やってみたがり。
それを総て実行するのだからたまったものではない。
ピピンの妻ダイアモンドはとても大らかで「子供なんて、悪戯が仕事なのよ。」と小さなファラミアの
悪戯にもあまり目くじらは立てない。
ま、しつけだから・・・と言ってお説教は忘れないが。
ピピンはその大らかさにいつも救われていた。
「とにかく行ってくれば?」
ダイアモンドがこともなげに言った。
連れていくのは僕なんだけどなあ・・・・と心の中でこっそりとため息を吐いた。
「あんまり立派すぎる名前を付けちゃったかなあ・・・・」
だが、ファラミアには会いたかった。
会って「小さなファラミアは悪戯坊主だけど、元気に育っています。」と知らせたかった。
それに・・・ボロミアにも。
ゴンドールに行けば、きっとボロミアにも伝わるような、そんな気がした。
「父ちゃんと旅行に行くかい?」
ピピンは小さなファラミアに尋ねた。
「うん。」
クリッとした大きな眼がピピンを見てにっこりと笑った。
えーい、ままよ。出発してしまえ。
色々考えていても始まらない。
こうして、ピピンと小さなファラミアはゴンドールに向けて旅立った。
「殿。お見えになりましたわ。」
エオウィンの弾んだ声が聞こえた。
ファラミアは急いで玄関に行った。
そこには小さなピピンと、それよりもっと小さな男の子が立っていた。
「ファラミア、元気だった?」
ピピンが言った。
「父ちゃん、ずっと一緒だったじゃないか?。」
すかさず小さなファラミアが答えた。
ファラミアが笑いだした。
「こんにちわ、小さなファラミア。私の名前もファラミアなんだ。」
ファラミアが屈んで、小さなファラミアと目線を合わせてから言った。
「あー、あれ、なーに?」
だが、小さなファラミアは庭の池と噴水を見つけてそっちに走っていこうとする。
「こら、ファラミア、そっちには行かない。挨拶が先だよ。
ほら、ファラミアとエオウィン姫にご挨拶して。」
ピピンが怒った顔で小さなファラミアに言った。
「ごめん、父ちゃん。ちゃんと挨拶するから。」
小さなファラミアはピピンを上目遣いで伺うように見ながら言った。
「解ったならいい。」
ピピンは笑顔になって小さなファラミアの髪をくしゃと撫でた。
小さなファラミアが笑顔になってピピンに抱きつく。ピピンも笑顔で小さなファラミアを抱き上げた。
ファラミアはそんな二人の様子をじっと見つめていた。
「こんにちわ、ファラミアおじちゃん。」
お、おじちゃんって・・・ゴンドールの鬼の執政殿だぞ・・・
そうは思ったが自分も「ファラミア」と呼んでいる手前、何も言えなかった。
その時、ファラミアとエオウィンの向こう側でこちらを伺う少年がいた。
金の髪、碧の瞳。
(ボロミア・・・)
その容姿はボロミアを思い出させた。
「エルボロン、こっちへいらっしゃい。」
エオウィンが気付いて手招きをした。
「大きくなったね、エルボロン。もう背を追い越されてしまった。」
ピピンが笑いながら言った。
「こんにちわ、ピピン。」
そう言ってにっこり笑った笑顔。
やっぱりボロミアに似ている・・・と思った。
「星の砦」の1000のキリバンを踏んで。リクさせていただきました。
で、その御礼に・・・ということで、「星の砦」のNIMA様に1000打
お祝いに何か書きましょうか、ということでリクを頂きました。
それなのに・・・間もなく2000打に届いてしまいます。
すっかり遅くなってしまってごめんなさい。
今回は書き始めてから書き直しが多かったのでなかなかUPできなくて・・・
リクは「小さなファラミア、執政家ファラミア宅をご訪問」ということで・・・
年表を見て大体ピピンの子供とファラミアの子供は9〜10歳違いぐらいではないかと
推定し、ファラミアの子供エルボロン13歳ファラミア4〜5歳という設定です。
でも話の中心は執政家ファラミア親子になっています・・・
微妙にリク、外しているかも・・・(汗)