ミエザの熱い夏(4)

アレキサンダー 15歳
ヘファイスティオン 15歳
カッサンドロス 17歳
フィロタス 17歳
プトレマイオス 20歳
アリストテレス 45歳
レオニダス 50歳

「なぜ僕はカッサンドロスに魅かれるのだろう?」

ヘファイスティオンの足はカッサンドロスの部屋へと向かっている。

「やめろ!これはアレキサンダーに対する裏切りだ。今ならまだ間に合う。自分の部屋に戻って鍵をかけてしまえば、カッサンドロスだってそれ以上何もしない」
「もう遅い。僕はカッサンドロスと抱き合い、不道徳な行為をしてしまった。カッサンドロスがそれをアレキサンダーに話したら何もかもおしまいだ」
「カッサンドロスがそんなこと話すわけがない。彼は頭がいい。自分の身を破滅させるようなことするわけがない」
「アレキサンダーはすぐにも戻ってくる。カッサンドロスに抱かれてすべてのことを望むなら今夜しかチャンスはない」
「違う!僕はそんなことは望んでない!」

小声で独り言をつぶやいていたのだが、最後の言葉は大きな声になってしまった。ヘファイスティオンは慌てて松明の明りがもうほとんど消してある暗い廊下を見回した。誰もいない。ほっとしてまた歩き出した。1つの部屋の前で足を止め、小声で中に呼びかけた。

「カッサンドロス」
「遅かったな。まあ、中へ入れ」

カッサンドロスに言われ、ヘファイスティオンも彼の部屋へと入った。部屋の明りが目にまぶしいくらいである。

「カッサンドロス、もう少し暗くしてくれないか」
「暗いとお前の顔がよく見えない。何かやましいことでもあるのか?」

ヘファイスティオンは小さく頷いた。その肩をカッサンドロスは抱きすくめた。ヘファイスティオンは背は高いが体はかなり華奢である。

「お前の考えていることは、手に取るようにわかる。これはアレキサンダーに対する裏切りだ、そう思って葛藤しているんだろう」
「僕は、今夜君の部屋に来なければ君に何を言いふらされるかわからない。だからここへ来た」
「そう思えばいいさ。それをお前は言い訳にするがいい。俺を愛してなどいない、ただ、秘密をバラされるのが恐いから・・・・」

カッサンドロスの整った唇がヘファイスティオンの顔へと近づいた。ヘファイスティオンは目と唇を固く閉じた。甘い髪の匂いと唇が触れる感触・・・

「そう固くなるな、初めてじゃないだろう」
「君とこんなこと・・・・」
「俺はお前達の仲を裂こうと思っているわけじゃない。手助けしてやるだけさ」
「どうしてこれが・・・・」
「お前達、まだ何もしてないんだろう。初めての相手がアレキサンダーでは無理だ。俺で経験しておけ」
「・・・・・」

ヘファイスティオンは頭の中が真っ白になり、言葉を返すことができなくなっていた。口元をゆるめれば、舌が差し込まれ、ねっとりと絡みつくように動かされる。知らず知らずのうちにヘファイスティオンもまた舌を動かしていた。目から涙がこぼれ落ちた。

「ヘファイスティオン、お前がアレキサンダーを愛していることはよくわかっている。でも、無理なんだろう」
「カッサン・・・・ドロス・・・・なぜそれを・・・・」
「ずっとお前が気になって見ていた。お前は無理をしている」
「無理などしていない!」

ヘファイスティオンは顔を離した。目が涙でぼやけている。

「アレキサンダーは特別な存在だ。王の子であるというだけでない。何もかもが特別だから、お前はそれに合わせようと無理をしている」
「無理なんか・・・僕はただアレキサンダーを愛し、少しでも彼に近づこうと・・・・」
「イカロスの話を知っているだろう。空を飛んでいる時、太陽に近づき過ぎて翼が溶け、海に落ちてしまった。アレキサンダーに近づこうとすればするほどお前は自分を傷つけてしまう」
「それでもいい!僕は彼を愛している。自分が傷つこうと、そんなことはどうでもいい」
「じゃあ、せめて俺の愛を受け入れてからにしろ!わかっていれば、それなりに対処できるだろう。お前に教えてやる!」

カッサンドロスはヘファイスティオンの体をベッドに向かって激しく突き飛ばした。驚いて振り返ると、カッサンドロスは松明の火を消し、部屋の中は真っ暗になった。激しい勢いで手足の動きが押さえられた。カッサンドロスもまたレオニダスからの厳しい訓練を長年受けている。体つきはヘファイスティオンと同じように細身で華奢でも素早く相手の動きを封じ込めることができた。

「やめて、カッサンドロス。僕は自分からここへ来たのだから・・・・」
「それじゃ、お前の言い訳ができないだろう。万が一アレキサンダーに知られたら、俺に騙されて無理やり犯されたとでも言え。それでお前の立場は守られる」
「カッサンドロス、君の立場は・・・・」
「やられるヤツが、人の立場まで心配するな。いいか、お前は俺に魅かれてこういうことをするわけではない。そこをしっかり覚えておけ・・・・だけど・・・・お前の体はもう反応しているぜ」

ヘファイスティオンの顔が真っ赤になった。手足の動きを押さえられているだけで、もう薄いキトンと下着に隠された自分のモノがしっかりと立ち上がり、そこに熱が集まっているのを感じる。

「力を抜け、ヘファイスティオン。悪いようにはしない。俺はお前を愛している。もう泣くな」

カッサンドロスの手がヘファイスティオンの頬に触れた。暗闇に目がなれ、カッサンドロスの顔がぼんやりと見えた。いつの間にか彼はキトンも下着も脱ぎ捨て、白い裸体を露にしていた。

「お前も楽になれ、ヘファイスティオン」

カッサンドロスの手が肩に触れ、ゆっくりとヘファイスティオンのキトンをずらしていく。彼はもうされるがままになっていた。






キトンと下着をカッサンドロスに取られ、サンダルも脱がされて、今自分は何も身につけずに横たわっているとヘファイスティオンは思った。戯れにアレキサンダーと裸で抱き合って眠ったことなら何度もある。同じことであるはずなのに、カッサンドロスの手が体に触れる度に体はピクリと反応した。カッサンドロスの手が胸に触れているのを感じると、ヘファイスティオンはその上に自分の手を置き、強く押した。

「ここが感じるのか?」
「違う!もっと強く押してメチャクチャにして欲しい」
「望むところだ」

カッサンドロスはヘファイスティオンの胸を揉みしだき、乳首に吸い付いた。

「ああー・・・・ふうーん・・・・」
「感じやすいんだな」

さらに下の方に手を伸ばせば、もうすっかり固くなって立ち上がったヘファイスティオンのモノを感じた。

「ああー・・・・ううーん、・・・・ふうー・・・・」

やさしく根本を舌で刺激すれば、体を捩じらせ、喘ぎ声を漏らす。火を消してしまったことをカッサンドロスは後悔した。こうしている間、声だけでなくヘファイスティオンはどれほど扇情的な表情をしているのだろう。

「初めての時は無理しない方がいい」

カッサンドロスはベッドから立ち上がり、机の方へと裸足で歩いた。手探りで香油の瓶のふたを開けると官能的な香りが部屋中に漂った。次に何をされるか悟ったヘファイスティオンは顔を赤くし、うつ伏せになった。暗闇で互いの表情は見えないはずなのに胸の鼓動が異常なほど早くなっている。

「ああー、・・・・ううーん」

期待通りの行動をカッサンドロスはとった。ヘファイスティオンの腰を持ち上げ、秘部を指でこじ開けて香油を注ぎ、自らの指にも絡めてゆっくりと中へ差し込んだ。香油も指の挿入もヘファイスティオンには初めてだが、先ほどからの愛撫と部屋に漂う官能的な香りが彼の感覚を痺れさせていた。アレキサンダーにさえ見せたことのない恥ずかしい部分は大きく開かれ、何本もの指を受け入れている。

「ああー・・・・うーん・・・・だめー・・・・」

内壁に指がぶつかるたびにヘファイスティオンは喘ぎ声を漏らした。異様な感覚ではあるがけっして不快ではない。むしろもっと強い刺激が欲しくなり、知らず知らずのうちに腰を動かしていた。

「いいか、ヘファイスティオン」

指は抜き取られ、うつ伏せになった体の秘部が強い力で押さえつけられた。

「ああああー・・・・ひいいいいー!・・・・やめて・・・・うわあああー・・・・」

一瞬何が起きたかわからなかった。信じられない強い痛みが体を貫き、なおも奥へ進もうとしている。指とは比べ物にならない硬さと太さをもったものが体の中心をこじあけ、無理やり進もうとしていた。

「カッサン・・・・やめてー!・・・・いやあああー」

片方の手で口を押さえられ、さらに激しい痛みにヘファイスティオンは襲われた。体は中心から強い力で引き裂かれそうである。体を捩り、声にならない悲鳴をあげ、なんとか痛みから逃れようとした。だが、カッサンドロスは強い力で体を押さえ、激しく腰を叩きつけてきた。

「やめて!・・・・カッサン・・・・お願い・・・・」

ヘファイスティオンはもう半狂乱になって叫んでいた。心地よいという感じは全くない。体を貫く鋭い痛みでいてもたってもいられない。それにもかかわらず、自分自身は熱い熱を湛え、今にも爆発して流れ出しそうになった。

「やめて!・・・・ああ・・・痛い・・・・だめ・・・・もう我慢が・・・・」
「力を抜け、ヘファイスティオン!」

ヘファイスティオンは体が宙に浮くように感じた。痛みは消え、楽になっている。背中にカッサンドロスの重みを感じ、外側にも内部にもドロリとした体液が溢れ出ているのを知った。目を閉じた。今自分は満たされているとヘファイスティオンは感じた。背中に手を回し、カッサンドロスの肌に触れた。

「愛している、カッサンドロス」
「それを言うな。お前は俺に犯されたんだ。頬を殴り、俺を睨みつけてこの部屋から出て行け」
「どうして?」
「まだわからないのか。言われた通りに早くしろ」
「君を殴るって・・・・」
「目立つくらい力を入れて殴れ。そしてこれを着てさっさと出て行け!」

カッサンドロスは部屋に明りをつけた。険しい表情でヘファイスティオンに服を渡すと頬を向けた。言われたとおり、ヘファイスティオンは彼を殴り、素早く服を着てその部屋を後にした。






ヘファイスティオンは自分の部屋に戻ったが、カッサンドロスのことが気になり、また彼の部屋の前に来てしまった。耳を近づけると中からすすり泣きが聞こえる。

「これが最初で最後だ、わかっているだろう、ヘファイスティオン。それなのになんであんなこと言うんだ。もっと思いっきり殴ればいいものを・・・・こんな痛み、すぐに消えてしまう・・・・ヘファイスティオン・・・・」

ヘファイスティオンはそっとその場を離れた。もう明りがなくても廊下は歩けるほど明るい。それなのに足元がふらついて、なかなか自分の部屋まではたどり着けなかった。





                                           −つづくー




後書き
 夏も終わり、ちょっと悲恋ぽくなってしまいました。ヘファイスティオンにとってあくまでも本命はアレキサンダーであるので、他の人物は浮気相手か強引に迫るか片思いでいるかのどれかになってしまいます。でもヘファイスティオン自身にも本当に自分なんかが相手でいいのかという葛藤があります。将来の大王はきっと子供の頃からなんでもずば抜けてよくできてカリスマ性もあったことでしょう。その大王、次回にやっと登場させるつもりです。

2007、9、7





目次に戻る