5,divine punishment
僕はマノロ神父に連れられて懺悔室に入った。
「お前たちが何をしていたか、ここで正直に話しなさい」
「エンリケはどうなるのですか」
「彼はみんなに悪影響を与える。退学処分だ」
「エンリケは悪くありません。悪いのは僕です。僕を退学にしてください」
「お前は何をしたのだ」
「僕が誘惑して、エンリケと二人、いけないことをしました」
「お前はそれを罪だとわかっているのか」
「もちろんです。だから退学にはしないでください」
「罪とわかっていて罪を犯すこと、それは知らずに罪を犯すことよりももっと罪深いことだ。だがお前はまだ救いがある。自ら自覚してここで話そうとしている。心配なのはエンリケだ。彼は罪を自覚せず、正す道も見つけられず、堕ちていくだろう」
「エンリケを助けてください。ここにいて許される方法を教えてください」
「彼を救いたいか」
「はい、彼を救うためならどんなことでもします」
「彼に代わってお前が罰を受ける覚悟はあるか」
「はい、どんな罰でもうけます」
「神が与える罰は時として非常に過酷なものとなる。主、イエス・キリストは全ての人間の罪を背負い十字架に架けられた。他人の罪を背負うことは大きな苦痛を伴うがそれでもよいか」
「はい、どんな苦痛でも耐えられます」
僕はためらいなくそう答えた。悪いのは僕なのだから・・・・エンリケを利用して、フアンから逃れようとしていたのだから・・・
「それならばその長いすの上に裸で横になって目をつぶりなさい。途中どれだけ苦しくても決して目を開けたり、声を出してはいけない。釘で手足を打たれ、槍で体を貫かれた主、イエス・キリストの苦痛を思いなさい」
「はい、神父様」
僕は言われたとおりに服を脱ぎ、横になった。マノロ神父が低い声で何かつぶやいていたが、何を言っているのかよくわからなかった。それから突然体の中心に槍で貫かれたような激しい痛みが走った。僕は思わず悲鳴を上げた。
「声を出してはいけない」
「すみません」
「主、イエス・キリストを想い、祈りの言葉を唱えなさい」
「はい」
最初、僕はあまりの痛みに自分の体に何が起きたかもわからなかった。唇をかみ締め、懸命に声をこらえた。僕の下半身、お尻の穴に棒のようなものを突き刺されていた。それは容赦なく僕の体の奥に入り、泣き叫びそうになった。唇から血が流れ嗚咽が漏れそうになった。神の与えたすさまじい罰、僕は自分の罪深さを考えた。何度も何度も激しい痛みに襲われ、僕は意識を失いそうになった。
「イグナシオ、あれだけの苦痛をよく我慢した。もう着替えて立ってよい。神はお前を見ている。エンリケはきっと救われるであろう」
「本当ですか、エンリケは救われますか」
「ああ、お前が救ったのだ」
「ありがとうございます」
「礼は私にではなく、主、イエス・キリストにいいなさい」
「はい」
この時、僕はまだ神様もマノロ神父も信じていた。
僕は信じていた。信じていたからあんな苦痛にも耐えた。だけどエンリケは退学にされてしまった。この学校を追い出され、祈る場所を失った彼はどうやって罪を償えばいいのだろうか?僕が校長先生のマノロ神父にそう訴えるとまた前と同じ懺悔室に連れて行かれた。
「どうしてエンリケを退学にするのですか!」
「エンリケはお前に悪影響を与える。一緒にいては罪を重ねるだけだ」
「でも彼はこれから・・・」
「彼の将来は悪の誘惑が多く非常に危険で険しいものとなるだろう。また罪を犯し、最後には地獄に落とされ、永遠に苦しむかもしれない」
「どうしたら彼を救えるのですか」
「お前がまた代わりに罰を受ければ、救えるかもしれない」
「僕が罰を受けます。彼を助けてください」
僕はまた前と同じように服を脱いで長いすの上に横になった。そして受ける厳しい罰。他の子が決まりを破ったり、悪いことをしたということで、鞭で打たれたり、手を叩かれたりしているのは何度か見た。でもこれほどの罰は誰も受けていないに違いない。悲鳴をこらえ、歯を食いしばるが、それでも最後には泣き叫んでしまった。僕達が犯した罪はそんなにも重いのだろうか?僕達はただ愛し合っただけ・・・子供の悪ふざけのようなことしかやってないのになぜこんなに厳しく・・・でもキリストはもっと厳しい罰を受けた。僕もエンリケを救うためには・・・何かがおかしい・・・・まちがっている・・・エンリケは本当に救われるの?そして僕はどうなるの・・・こんな罰もういやだ・・・耐えなければエンリケが・・・愛している・・・
−つづくー
後書き
だまして犯すなんてこの神父は映画よりもっと酷いかもしれない。でも彼には彼なりの言い分があると思います。
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