(9) A creature made by a educator
どんなに驚くべきことでも、それが繰り返されてしまえば日常の出来事になる。校長先生は僕に罰を与えた。神の前、最も神聖な懺悔室で・・・・
「ソドムとゴモラの街の運命は知っているだろう。最も汚らわしき行為にふけった者に神は怒り、どのような罰を与えたか」
「はい、知っています」
「エンリケとお前は同じ罪を犯そうとした。それがどれほど神にそむくことになるか・・・エンリケを学校に残すわけにはいかない。彼は退学だ」
「すみません。どんな罰も覚悟しています。どうか彼を退学にだけは・・・」
僕の願いは聞き入れられず、罰だけを受けた。罰だと信じていたその痛みが、どれほどおぞましく罪深い行為か知ってしまったとき、僕はもうそれなしでは生きていけなくなっていた。
「イグナシオ、ここには誰も来ない。辛いなら声をあげても・・・」
「これは罰です・・・・僕に与えられた・・・」
そう言いながら僕はそっと腰を上にあげた。中に入れられた指が内壁をこするたび、体中を白い液体が駆け巡った。体を震わせて喘ぎ声を漏らしながらも、僕は清純な少年の振りをした。白い体液は僕の体の中心に集まり、僕自身を立ち上がらせ、さらなる刺激を求めて音を立てる。我慢できなくなって手を添えようとするが、わずかに残された理性がそれを邪魔する。これは罰なのだから、感じてはいけない・・・僕ばかりかエンリケまでも道連れにして地獄に落とすことになる。僕の体も心も引き裂かれるほどに大きく開かれている。もう考えるのはやめよう。暗闇の中、白い体だけが浮かび上がる。僕は体を捩じらせ、貫く痛みを逃そうとする。ぎりぎりに巻かれた体の中から、なおも白い液体が搾り出され、足元をべっとり濡らした。
「イグナシオ、愛している。お前は何も心配しなくていい」
声がして、始めて今僕の体に絡み付いているもう一つの体があの厳格な校長先生のものだと意識する。毎日僕は校長先生の前で歌を歌う。ミサの時も歌い、神を称える言葉を述べる。それなのに今、白い液体にまみれ、どろどろになって溶けている。神聖な懺悔室で・・・神はこんな僕を決して許しはしないだろう。
「イグナシオ、聞いて、新しい歌を習ったんだよ」
「そう・・・・」
休暇で家に戻ると、相変わらず弟のフアンが僕にまとわりつく。彼はまだ僕のように高音をうまく出せない。出そうとすると擦れた声になってしまう。
「じょうずになったね」
「そっちの学校はどう。エンリケとは仲良くやっているの」
「彼はもういないよ」
「いないって、どうしたの?学校をやめたの?」
「うるさいな!あっちへ行け、ほっといてくれ!」
思わず弟を突き飛ばしてしまった。彼の目に浮かぶ涙、悲しそうな顔・・・
「ごめんなさい・・・ゆるして・・・・」
「ごめんなさい・・・もうゆるして・・・何でもいうことを聞くから・・・やめて・・・」
「最初から素直にそう言えばいいものを・・・本当は欲しがっていたんだろう・・・イグナシオ・・・」
「まさかお前を犯せるとは・・・こんな幸運めったにないぜ。まあ、ゆっくり飲め。これ以上乱暴はしない」
夜道をフラフラ歩いていた僕は、突然数人の男に襲われた。僕より2,3歳年上だろうか。まだ20歳前の彼らは学校を出ても仕事にも就かずブラブラしていた。同じ村で顔は知っていたが、それ以上話をしたことなどなかった。逃げようとしたところを殴られ、半分壊れた空き家につれてこられた。裸になれと命じられたのを拒否すると、また何度か殴られ、僕は泣きながら許しを請い、急いで身につけていたものを脱いだ。
「綺麗な体だ。どこにも汚れがない」
「ああ、いきなりやるのはもったいないくらいだ。おい、あれを持ってこい」
「かわいそうだから、意識を朦朧とさせてやるのか」
「ばか、俺達を忘れられなくさせてやるんだよ・・・これだけのやつ、滅多にいるもんじゃない。長く楽しまないとな」
「そんなによくなるのか」
「お前じゃもう無理だ・・・・ハハハ・・・まあ、楽しめ・・・・」
「俺、そろそろ切れそうだ・・・早く入れてくれ・・・」
「まてまて、まずはこいつだ・・・」
僕の両腕は押さえつけられ、白い粉を鼻の穴に入れられた。激しいくしゃみをして目からも涙がこぼれた。暴れようとしても手足は強く押さえられている。やがて床の上に四つん這いにさせられた。
「おい、本当にこれで意識は朦朧となっているのか?」
「わからねえ、抵抗しなくなった」
「いい体だ、ああ、もう我慢できねえ・・・」
「そうあわてるな、こいつは初めてだ、気をつけて扱わないと・・・」
意識ははっきりしているが、気分が悪くて吐き気がする。部屋の中は異様な匂いで満たされている。目隠しをされ、何本もの手が僕の体に伸びた。ぬるぬるとした液体が丁寧に塗りこまれ、体の中を白い液体が駆け巡った。僕の体はその瞬間を待ちわびてさえいる。伸ばされた手の刺激に喘ぎ声を出す。僕の体ではない。声も僕のものではない。体を流れる液体が僕にことさら淫らな格好をさせ、全身の筋肉をひくひくと動かさせた。そのことを全て知っている。僕の体は一体誰に作られたのだろう。
「思ったとおりだ、こいつは最高だよ」
「我慢できねえ、早く代われ」
「口にでも入れとけ」
口の中にも欲望の塊は押し込まれ、僕はそれを難なくくわえた。体の後ろを貫く痛みと口の中のむっとするような固い塊。僕の中心もまた欲望の塊となって激しく何かに向かって叩きつけていた。神が火の雨を降らしたソドムとゴモラの街、そこはきっとこんな光景に違いない。口の中のものが取り除かれると、僕の口からは信じられない叫び声が聞こえた。体中を駆け巡る白い体液と中心を貫く鋭い槍。それはなんと心地よい瞬間なのか。体中の穴から血が流れ、白い液体が噴出しながら、僕は笑い声をあげていた。神の怒りの炎はすぐそこまで来ている。ソドムとゴモラの街に住む者は、けっしてそこから逃げ出したりはしない。
「神学校に行ってから、彼の才能は一段と磨かれたようだ」
「本当になんて美しい声でしょう」
「イグナシオのような子がこの村にいるなんて、これはまさしく奇蹟ですわ」
「神に感謝しましょう。この天使が、我々のすぐ近くに舞い降りてきてくれたことを・・・」
村の教会で、僕は一人で歌うように言われた。自分のものとは思えない美しい声が出た。体中を流れるあの白い液体はどこに行ってしまったのだろうか。今僕の体は清められ、聖なるもので満たされている。一点の欲望も穢れもないこの体を作ったのは誰なのか。澄んだ声は空へと響いている。すすり泣きの声が聞こえる。僕は今、どこにいるのだろう・・・・
−つづくー
後書き
この話、わかりにくいですよね。自分でも何を書いているのかよくわかっていません。ただ浮かんだイメージをそのまま書き写しているだけで・・・そういう想像を可能にするこの映画、やっぱり傑作だと思います。それぞれの場面を切り取って絵にしても物語が成り立つ美しさがありました。その衝撃を10分の1も表現できていませんけど・・・
2006、10、10
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