(45)予言者の契り(**)

ファラミア20歳(13歳) アムロス20歳(16歳)

「ひとつ聞いてもいい?」

僕はアムロスから唇を離し、顔をじっと見た。

「言葉で何を聞く?俺の考えはお前には読めているはずだ」
「それでも君の口から聞きたい。どうして武器を持たずにオークの前に出て行ったの?あの時はもう死を覚悟して・・・・」
「それもあるかもしれない。わかっているだろう。俺の瞳にうつる未来には自分の姿がない」
「・・・・・」
「それがいつなのか、どんな死に方をするのか、考えれば考えるほど怖ろしい。俺の父親は狂い死にした。お前の母もそうだ。体に同じ狂った血が流れている俺達が、獣のように言葉も使わずに一緒にいたらどうなるか。しまいにはきっとどちらかがもう一方を殺してしまう。それが誰だかわかるか?」
「僕が君を殺してしまう・・・・」
「そうだ、ファラミア、泣かなくていい。それが運命ならば俺は受け入れる。それでも時々その日が来るのが怖ろしく、その前に何もかも終わりにしたくなる」
「君の感じる未来、そこで僕は君を殺しているの?」
「はっきりと見たわけではない。でも感じている」
「だから君はわざわざオークの前に・・・・・」
「それだけが理由ではない。ああすればお前の力が目覚める。そこにかけてみた」
「僕知らない間にオークを倒していた。それが力・・・・」
「そんなものではない。お前の力が真に目覚めれば、お前はこの世界を滅ぼすことも救うこともできるであろう」
「それほど怖ろしい力を持っている僕から、なぜ君は逃げないの?」
「もう遅いさ。お前を愛し、その心を感じるようになった。今離れれば一人でさ迷って狂い死にするだけだ。だから最後までお前と一緒にいる」
「未来を変えることはできない?」
「奇跡が起きれば、お前は俺を殺さない」
「それならば奇跡を起こす。決して君を死なせたりはしない」

僕はもう一度彼の唇に自分の唇を押し付けた。

「大丈夫か?お前の体はまだ完全に大人になってはいない。ヌメノールの血がお前の成長を遅らせている。心と体のバランスが崩れれば、お前は狂って途方もない力を出してしまう」
「僕の心はもうとっくに大人になっている。体も、人を愛することを知っている。オークを倒して、僕は悪夢から解放された。もう何もできずに怯えている弱い子供ではない。今ならば、奇跡を起こせるかもしれない」
「ファラミア、本当にいいんだな」





僕達は薄暗い洞窟から外へ出た。1日森を歩いて獲物を捕え、それを短剣で小さくわけて火に炙った。食事を終え、川で体を清めてから、また元の洞窟に戻った。平らな場所を選び、アムロスは身につけていた毛皮を下に敷いた。森で暮らして数ヶ月、2人とも最初に着ていたいた衣服はボロボロになり、毛皮をまとうことが多くなっていた。

「せっかく体を洗っても、毛皮の上で寝たら同じかな」
「この臭いが今では懐かしく感じる。君と一緒に獣を獲り、皮を剥いで肉を食べた。草の上で眠り、小川の水を飲んだ。僕は長こと悪夢にうなされていたけど、それでも君と一緒のこの臭いがうれしい」
「ファラミア、もう悪夢など見るな。俺がお前の苦しみは全部飲み込んでやる」

彼の手が、僕の毛皮を脱がし、生まれた時の姿にした。

「きれいだ、ファラミア。お前にどんな力があろうと、俺はお前を愛している」
「ああー・・・・ふううー・・・・」
「感じているなら声を出せばいい。お前の体はちょうど今目覚めたばかりだ。感じるままに声を出し、微笑めばいい。気持ちいいか」
「ああー・・・・ううーん」

大きな手が僕の胸をつかみ、ゆっくりと揉みほぐした。僕は体をくねらせ、今までに上げたことのない声を出した。

「ああー・・・・ふふふ・・・・だめー・・・・そんなにやったらくすぐったい・・・・ふふふ・・・・あー、だめ、アムロス・・・そこは・・・・アハハハ・・・ふふふ・・・おかしくなりそう・・・・」
「いい顔している。お前がこんな幸せそうな顔をするなんて・・・・」

彼の手は僕の下半身にも伸び、巧に敏感な部分を刺激した。体の中心が熱くなり、そこに向かって血が激しく巡っている。胸の鼓動も早い。今にも爆発しそうになって硬くなっているその場所にそっと手を触れた。自分の体ではないみたいだ。

「ファラミア、お前の苦しみと悲しみは俺が全て飲み込んでやる。安心して全部吐き出せ」
「ああ、やめて、そんなこと・・・・・」

外は日が沈んだのだろう。洞窟の中は真っ暗になったが少しも不安は感じない。アムロスは僕の硬くなったものを口にくわえ、舌で刺激している。

「やめて・・・・ああ・・・・」
「安心して吐き出せ。俺が全部飲み込む」

なおも強い刺激が続いた。僕の体中に血が駆け巡り、熱くなったそこが弾ける音がした。体中の力が急に抜けた。

「ああ、ごめん・・・僕は・・・・」

彼は長い間僕のそこを飲み込んだままだった。力が抜け、だらりとなって体液が滴るそこに口をつけ、最後の一滴まで舐めとっていた。そして僕の足はもっと大きく開かれ、腰を持ち上げられた。

「今度は俺の番だ。辛いだろうけど、我慢してくれ」
「ああー・・・・ううーん・・・・」

彼の舌が僕の下半身をゆっくり下り、最も敏感なところにきた。その場所をさぐると、彼は指に唾液をつけてゆっくりと差し込んだ。

「ああー・・・痛い・・・・」
「少しだけ我慢してくれ。お前を傷つけたりはしない」

体の中を指が這う感覚、初めての経験ではない。それでも僕は苦しくて体をずらした。彼は一度指を抜き、僕の体を回してうつ伏せにしてから、もう一度指を差し込んだ。

「ひいいー・・・・ああー・・・・・うわああー・・・・」

僕は体をくねらせて、霰もない喘ぎ声を出した。ボロミアとの時とは明らかに違う。なぜ、今兄のことを思い出してしまったんだろう。

「ああー・・・・・痛あああああー・・・・ひいいいいー・・・・やめてー・・・・・」

体を貫かれる痛みは初めての時と全く変わらない。

「ファラミア、愛している・・・・今だけでいい。俺の恐怖を忘れさせてくれ・・・・お前と共に生きていく夢を・・・・お前の中で俺は生きる」

彼の声が聞こえているのか、心の中の言葉なのかはわからない。自分の姿がうつらない未来を何度も見てしまう彼の恐怖・・・・僕と同じ見たくもない未来が見え、人の心を感じ取ってしまう予言者、ヌメノールの血を持つ彼、二人きりで生きれば、もう誰も傷つけなくてすむ・・・・僕は狂って彼を殺したりなどしない。僕には彼が必要なのだから・・・・

「ああー・・・・ひいいー・・・・」

体を貫く痛みはますます酷くなった。彼はオークを殺す時と同じように全身の力で僕の内部に剣を突き立ててくる。体の中は血だらけになっているかもしれない。

「ああー・・・・助けて、ボロミア・・・・・」

体の中にねっとりとした体液が注ぎこまれたのを感じた。僕の意識は遠くなっていく。最後につぶやいてしまった言葉が気に掛かる。取り戻さなければ・・・・・もう遅い・・・・彼に聞こえてはいけない。知られてはいけない・・・・でも僕が愛しているのは・・・・



                                         −つづくー



後書き
 互いの心がわかり、未来が読めてしまうのはなんて残酷なことだろうかと思いました。わかってしまう相手とはわかりあえない相手以上に共に暮らすのは難しい、でも離れても生きていけない、そういう相手にめぐり合ってしまったら、それはものすごく不幸で、また同時に幸福なことでもあるのか、ちょっとわからないです。この話はかなり先の方まで作ってあったのですが、それでも書いているうちに少しずつ変わってしまい、自分でも先が読めなくなっています。
2007 9 11



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