冬の朝








ローハンは何という美しい国なのだろう。


ファラミアは凍てつく荒野を窓から眺めながら、感嘆したように溜息をついた。

冴え冴えとしていいる寒さの中にあっても尚、命の輝きに満ち溢れているこの国は

まるで奇跡のようだ。

ファラミアの脳裏に己の生まれた国が浮かび上がる。


何処か悲しげな色を乗せた白い国。

美しいが何処か儚いゴンドールという国をファラミアは愛していたけれど。

ローハンの地面に足のついた逞しさに憧れるのもまた事実である。




「ファラミア殿……そのような薄着では風邪を召してしまいますよ」

そっと背中に触れる温かい感触。


「エオメル殿…」


抱き締める腕の持ち主は、この国の持つ優しさ雄々しさそのもののような人物である。

そっと頭をその人に摺り寄せてみれば、ふっと笑んだ気配がして腰を抱いた腕に力が篭った。


「冬は好きです」

エオメルはファラミアに話しかける。

ファラミアは瞳を閉じて、エオメルの言葉に耳を傾けている。



雪で覆われた凍てついた大地には、春の訪れを待ちわびる新しい命が眠っている。

辛抱強く、健気にじっと耐えて、耐えて。

そしてやがて。

雪の隙間から美しい花を咲かせるのだ。


まるで腕の中に居る愛しい恋人のようだ。


エオメルはそう思ったが、ファラミアには何も言わずにおいた。



「冬がお好きなのですね?」

柔らかいファラミアの声が耳に心地よい。


「春も好きです。夏も、秋も……貴方が其処に居てくれるのであれば、どんな季節でもどのような場所でも

構いません」

シレッと言ったエオメルの言葉に、ファラミアの全身が桃色に染まった。

絶句して パクパクと金魚のように口を開閉させている恋人の幼い表情を堪能しながらエオメルは楽しそ

うに笑う。



「でも、やはり冬が一番好きなのやも知れませぬ」


貴方の温もりが一番感じられる季節だから。




エオメルは幸せそうに腕の中の温もりを抱き締めた。












後書
NIMAさまのリクで「雪が降って寒い日だけど、とてもラヴラブなメルファラ」でした……すすすみません!!
暦の上ではもう春になってしまいました……!!!(土下座)あわわNIMAさまには物凄く早く素敵小説を
頂いておりましたのに、遅くなってしまい本当にスミマセンでした。
こんな私ですが、どうぞ宜しくお願い致します。



こむぎ様にリクエストしていただいたお話しです。真っ白な雪のようになんて純粋で清らかなメルファラ、感激しました。
ありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします。

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