屈辱と栄光の絆(1)
                レオニダス 17歳
                ディリオス 12歳

訓練所の奥の方から鋭い鞭の音とかん高い悲鳴が聞こえて、レオニダスは顔をしかめた。ここスパルタでは市民の男子は7歳になると1人の例外もなく全員が母親と引き離され、訓練所に入るのが決まりである。7歳から12歳まで基礎訓練を受け、12歳になると別の訓練所でより実戦的な訓練をしなければならない。スパルタ二王家の一つアギス家に生まれたレオニダスも同じであった。この国では成人の儀式が終わるまで王家の子も王子という尊称では呼ばれない。儀式を終え、生き延びた者だけが王位継承者と認められるのである。鞭の音は続き、泣き叫ぶ声も聞こえる。

「あれは誰だ?」

レオニダスはそばにいた仲間に聞いた。スパルタでは言葉はなるべく短く簡潔な方がいいとされている。

「ディリオスだ。この前来たばかりの」
「ああ、あの新入りか」

尋ねるレオニダスも聞かれた仲間も同じ坊主頭で粗末な服、敬語など使わず必要最低限のことだけ話す。知らない者には、この訓練所にいる数十人の少年のうち誰が王や将軍家の子なのか決して見分けられないだろう。

「ディリオスか・・・」

つい先日基礎訓練を終えてここへ来た、小柄で痩せていて目だけが大きい12歳のディリオスを思い出した。

「レオニダス、外での演習が始まる。行かないのか」
「俺はちょっと新入りの様子を見てくる」
「あいつはだめだな。18までもたない。今までよく生きてこれたよ」
「そうかもしれない」
「あんなに声出して・・・鞭の回数が多くなることわかってないのか」
「わかっていても耐え切れない。弱いやつだ。スパルタの男じゃない」
「ほおっておけ、お前が来ないと張り合いがなくなる」
「他に相手ならいくらでもいるだろう。行ってくる」





レオニダスは薄暗い訓練所の奥の方へと歩いた。数十人の少年が寝て食事をするこの建物は広いがほとんど区切られてはいなく殺風景だった。鞭の音と悲鳴は止み、怒鳴り声が聞こえた。あの小柄なディリオスが倒れ、意識を失ったに違いない。レオニダスは背中に痛みを感じて腕を組んだ。こんなことは初めてだ。ここでは鞭打ちの罰などありふれたことで、彼自身数え切れないほど打たれているし、人が罰を受けている様子など気にも止めないでいた。

「なんだ、もう気を失ったのか。情けない」
「これではとうてい最後まで持たないだろう」
「あ、レオニダス。いいところに来た、手当てをしておけ。やり方はよく知っているだろう」
「はい」

鞭を床に置いた教官に言われ、レオニダスは裸で鞭打たれ倒れていた少年を肩に担いだ。ディリオスは驚くほど軽く、楽々と担いで歩くことができた。薬やベッドの置いてある部屋まで運び、粗末なベッドの上に寝かせた。背中は血が滲み、目の下には涙の跡があった。あの声からしてかなり泣いていたに違いない。急に憐れみを感じて静かに頬をなでた。丸坊主で頬は痩せてくぼんでいるがディリオスはかなり整った顔立ちをしている。知らず知らずのうちに、レオニダスの唇はディリオスの頬に触れていた。

「お願いです、許してください!助けて・・・・」
「大きな声を出すな!」
「ここは・・・・」

ディリオスが目を開いた。青く大きな目が顔立ちの美しさを際立たせた。レオニダスはツバを飲み込んだ。今までに何度も仲間とキスしたり、互いのものを握って自慰の手助けをしたり、足の間に挟んでその行為を真似するということはあった。だがスパルタでは真似事は許され、むしろそれを励みにするようにと奨励されていたが、実際の行為だけは固く禁じられていた。もしそれが見つかれば挿入された者は訓練所ではなく街の広場でさらし者にされ、死ぬほど鞭で打たれるのだから、そこまでする者はほとんどいない。だがディリオスの青い眼がレオニダスの欲望に火をつけた。熱い血が集まり、固くそそり立った彼自身は容赦なく次の行為を命じていた。レオニダスは体を起こしたディリオスに口付けし、舌を押し込んだ。意外にも少年はされるままに口を開き、自分からも舌を絡めてきた。これ以上痛い思いをしたくないと必死でされるままになっているのだろう。レオニダスは彼の下半身に手を伸ばした。まだ成熟していない性器はいくら握っても固くなることはない。彼は体を丸め、静かに涙を流した。年上で力の強い者に抵抗はできないが、これから行われることを体は敏感に感じ取り、小刻みに震えていた。

「いい子だ。恐がらなくてもいい。おとなしくしていればすぐに終わる」

泣きながらも小さなディリオスは小さくうなずいた。レオニダスは憐れみと欲望の入り混じった複雑な感情で彼を抱きしめた。骨がゴツゴツとあたる。おそらく盗みもうまくできずに満足に食べられないのだろう。そして自分の方に背を向けさせてベッドに寝かせ、足を折り曲げさせた。背中は血が滲み、触れると小さな声をあげて顔を歪めた。ディリオスの片足を大きく広げさせ、小さな後腔に指を差し込んだ。

「ああー、止めて!」
「声を出すな。見つかればお前は死ぬほど鞭で打たれるぞ」
「お願いです。それだけはどうか止めて・・・・ああー」
「静かにしろ!」

レオニダスはもう片方の指をディリオスの口に入れた。

「耐え切れなくなったら俺の指を噛め。お前がどれほど強く噛んでも、俺は途中で止めたりはしない」
「やめて、おねがいだから」

ディリオスの口から唾が垂れるのを感じた。レオニダスは少年の小さな尻を片手で押し広げ、固くそそり立つ自分のものを入り口に当てた。指は彼の口に入れたままである。レオニダス自身実際の挿入は初めてであるし、そうしたやり方もほとんど知らないでいた。ただ本能の命じるままに、標的に槍を突くように鋭く貫いた。

「ああー、ひいいいー!」
「静かにしろと言っただろう」

恐怖を感じて先に口から指を引き抜いたのはレオニダスの方だった。ディリオスの体は激しく痙攣し、悲鳴を上げた。だが、一度槍を突き立てた獲物の体のさらに奥深く刺すように、彼は腰を激しく打ち続けた。激しい悲鳴と痙攣した体は彼を興奮させた。どれだけ激しく動いても、彼自身が衰えることはなく、ただディリオスの悲鳴だけが次第に小さくなり、聞こえなくなった。





「随分大きな悲鳴が聞こえたようだが、また意識を失ったのか」
「はい、薬がかなりしみたようで、ずっと叫んでいました」

見回りに来た教官にレオニダスは冷静に答えていた。

「こいつは18までもたないだろう。だが、男として屈辱と苦痛を限界まで感じれば、変わるかもしれない。しっかり面倒見てやれ」
「あの・・・・俺は・・・・」
「ここまで生きてきただけでも奇跡のようなやつだ。生き延びればお前やスパルタに奇跡をもたらすかもしれない。大切にしてやれ」
「はい」

教官は部屋を出て行った。スパルタ人は多くのことを語らない。見逃してくれたのか、それとも気付いてないのかはわからないが、彼が自分のためにより過酷な罰を受けるということは免れた。涙に濡れた頬をもう一度撫でた。

「ここで生き延びるために、お前は全てを受け入れろ。俺自身も含めて・・・・」

意識を失っているディリオスが小さく頷いたように見えた。



                            −つづくー



後書き
 初めて書いた「300」、レオニダスは随分酷いことしています(笑)鞭打たれてフラフラになっているディリオスを、見つかれば罰を受けると知っていながら強姦し、危険にさらして・・・・限界まで苦痛と屈辱を与えて彼の生きる力を目覚めさせる、それが彼の愛し方なのです。と言い訳して、単に欲望を満たしただけかもしれませんが・・・・映画を見た感想では結構批判もしていますが、二次小説を書くにはおいしいネタが満載の「300」でした。
2007 6、18


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