屈辱と栄光の絆(10)
レオニダス 18歳
ディリオス 13歳
ボロトス(ディリオスの兄) 19歳
デネソロン(ディリオスの父) 59歳
セロン 17歳
ペリクレス(セロンの父) 55歳
スパルタでは王の権限はそれほど強くはない。国の政治を左右するのは議会であるし、王といえども暮らしぶりは非常に質素である。戦いの時の優秀な司令官、それが王に求められるすべてであろう。まして成人の儀式を終えたばかりで王位についてないレオニダスにはなんの権限もなく他の者と一緒に軍隊での訓練に励む日々が続いた。だが、レオニダスは王族の権限を使ってただ一つだけ頼み事をした。ディリオスをセロンのいる訓練所から他へ移したのである。同じ場所にいる限りセロンからの嫌がらせは続くであろう。別の訓練所に入れ、それを誰にも教えないよう教官に固く口止めをした。自分の訓練が早く終わった時、レオニダスはこっそりディリオスの様子を見に行った。そこの教官に少しは手加減してもらえるよう頼み込んだのだが、それでも不器用な彼は罰を受けることが多い。
「なんだ、あの新入りまた盗みに失敗したのか?」
「ほんと、だめなヤツ。今までよく生きていたよ」
「でも、いい家柄かもしれないぞ。わざわざあの年で別の訓練所に移るなんて」
「あいつのおかげで俺達が多少失敗しても目立たなくなった。運がいいぜ」
「終わったらやさしい言葉でもかけておこうか。今に役に立つかもしれない」
「そうか、あいつはここで死ななくても、成人の儀式が危ないんじゃないか」
近くへ行かなくても少年達の話しで誰が罰を受けているかわかった。建物から鞭の音が聞こえ、レオニダスはその場に立ち止まった。悲鳴は聞こえない。ディリオスは顔を歪め、唇を噛み締めてじっと耐えているのか。レオニダスは足早にそこを離れた。
「少しは手加減するよう話しておいたのだが、相変わらずひどい体だな」
祭りの日、ディリオスを隠れ家に誘って中に入るなりレオニダスはつぶやいた。ディリオスの細い体には無数の傷跡がある。歯を食いしばり、唇を噛み締めているのだろう。口も赤く腫れていた。
「家には帰らないのか」
「こんな体で帰ったら、父に何を言われるか・・・・」
「そうか、だがお前はよくがんばっている」
「時々、見に来てくれますよね」
「いや、俺も自分の訓練が忙しくて中々お前のところには行かれない。今度は大丈夫か。まさかまたセロンのようなヤツはいないだろうな」
「大丈夫です。みんな親切にしてくれます」
「何かあったらすぐ俺に言え。一人で抱え込むなよ」
「はい」
レオニダスの手は座り込むディリオスの背中を滑った。蚯蚓腫れの痕に触れるたび、ディリオスは顔をしかめる。
「どうして罰を受ける?盗みに失敗するのか、それとも他のヤツに無様に負けてか」
「両方です」
「ヘイロタイは殺してもいいんだぞ。なるべく体の弱っているヤツを狙え。今のお前の力なら・・・・」
言いかけてレオニダスは途中で止めた。ディリオスが人を殺せるとは思えない。
「殺すのが無理なら、誰もいないところを狙うとか頭を使え。俺だってそういつもお前に食べ物をやれるわけではない」
言いながらもディリオスの手にパンを握らせた。
「早く食べろ。俺はもう待ちきれない。ここをくわえているぞ」
「ああ、レオニダス様、何を・・・・」
レオニダスは慣れた手つきでディリオスの腰布をほどき、まだうっすらとしか毛の生えていない股間に顔を押し付けた。
「ああ・・・・はあああー・・・・待ってください。僕は・・・・」
「早く食べろ、待ちきれないと言っているだろう。お前もだんだん感じるようになってきた」
「お願いです、口を・・・・僕は自分では・・・・ああー・・・・」
「すぐに出すな、辛抱しろ」
ディリオスは体をよじって逃れようとしたが、レオニダスの大きな手で足をがっしり押さえられていた。舌で丹念に舐められれば、彼の小さなものもたちまち膨らんで質量を増した。
「ああ、もうだめです。我慢できない・・・・」
「辛抱しろ」
ディリオスがパンを口に押し込んで急いで飲み込むと、レオニダスが抱えるようにしてベッドへ運んだ。
「やめてください、レオニダス様、そんなところまで」
レオニダスはディリオスのものの線にそって舌を這わせ、ゆっくり下にむかった。恥ずかしさで身をよじるが、さらに足を大きく広げ持ち上げられてしまう。
「ああー、レオニダス様・・・・」
「体を楽にしろ、ディリオス、感じるままに、もう我慢しなくていいぞ」
レオニダスが両手で包み込むようにして構えた。白い精液で手がべっとり汚れると、それを自身のそそり立つ先に擦り付けた。
「まだ、痛むかもしれない。それでもお前は俺を受け入れられるか」
「はい」
ディリオスは頷いて四つん這いの姿勢をとった。レオニダスのゴツゴツした手が体をこじ開け、入り口には彼のものがピタリと構えた。ディリオスの体がビクンと痙攣した。入り口は侵入を拒むかのように固く閉じられている。
「ああー・・・・・うわあああー・・・・」
かん高い悲鳴が聞こえた。こじ開けられると同時にディリオスの体は悲鳴を上げ、裂けた後腔から血が流れた。だがレオニダスは動きを止めず、真っ赤な血がベッドの上を赤く染めた。
「ああー・・・・レオニダス様、・・・・お願いです・・・・もうやめて・・・・ひいいー」
ディリオスの声は一段と大きくなった。セロンに暴行された恐怖がディリオスの体を極限まで固くさせ、ちょっとの刺激で血が流れるようにしていた。ほんの少し内壁に何かが触れるだけでも激痛を感じ、血が噴出した。ディリオスは泣き叫んだ。
「声を出すな、ディリオス。お前はスパルタの男だろう」
レオニダスの攻撃は激しさを増してきた。ディリオスは四つん這いの姿勢を保ってはいられず、ベッドの上に崩れた。血の染みはますます大きくなる。レオニダスとて今ディリオスが感じている苦痛をわからないわけではなかった。彼はディリオスが鞭で打たれる姿を直視できず、音を聞くのも耐えられないほど彼の痛みには敏感になっている。だが、それ以上の思いがレオニダスにはあった。
「ディリオス、苦しいか」
「はい・・・・どうかもう・・・・」
「それでいい、もっと苦しんで泣き叫べ。お前はよく夢を見てうなされると聞いた。誰に襲われてうなされるのか、その相手はセロンだろう?そんな男のことはさっさと忘れて、俺の夢を見ろ」
「・・・・・レオニダス・・・・さま・・・・」
「俺は嫉妬深い男だ。悪夢でさえ他の男が出てくるのは許せない。俺の夢を見てうなされろ。相手が俺なら、お前はどんなことでも耐えられるはずだ」
「ああー、ひいいー・・・・」
泣き叫ぶディリオスは言葉を返すことができなくなっていた。激しい痛みに大きく体をのけぞらせ、意識を失った。
「これでいい。きれいに拭いてやった。ディリオス、セロンのしたことなどさっさと忘れて俺の夢を見ろ」
レオニダスは意識を失って寝ているディリオスのすぐ隣に横になった。荒い息使いも心臓の音もはっきり聞こえる。ディリオスが無意識のうちに手を伸ばしてきた。レオニダスがその手を自分の体に巻きつけると、強い力でしがみついてきた。
「ディリオス、お前は生まれてすぐ、こうやって母親にしがみついて生きたいと意志を示したのか。生まれてすぐ殺されてもいいと思うヤツなんて一人もいない。俺と同じ時に生まれたもう一人だって・・・・」
レオニダスには生まれた時双子の兄がいた。スパルタに双子はめったにいない。二人同時に生まれれば大抵どちらか、あるいは二人とも栄養不良で体が小さく殺されてしまうのだった。名前をつける前に殺されるので、ほとんどの者は双子の兄弟がいたとしてもその存在も気付かずに過ごすのだが、レオニダスはたまたま王家の家系図を見て双子であったことを知ってしまった。同じ時に生まれ、同じ母の中で数ヶ月を過ごしたもう一人の自分、だが、兄と話すことは決してできない。生まれてすぐ殺されていた。
「ディリオス、お前は俺の兄の生まれ変わりなのか?そんなことはわからない。でも俺にはお前が必要なんだ」
「・・・あ・・・・レオニダス・・・・さま・・・・」
体にまわした細い腕が力いっぱい抱きついてきた。レオニダスはその手のひらに口付けをした。
「お前が必要だから、俺はどんなことをしてでもお前をスパルタの男にする。痛みや空腹に耐える時、屈辱や恐怖で怯える時、いつでも俺を思い出すがいい。俺はお前に甘い快楽だけは与えない。恐ろしい苦痛も悪夢も全て与えてやる。俺だけを見て生きろ、ディリオス」
レオニダスもまたディリオスの体に手を巻きつけ、強く抱きしめた。意識を失ってウトウトしているディリオスの顔に柔らかな微笑みが浮かんだ。
−つづくー
後書き
夢にまで他の男が出てくるのは許せないと言い張る独占欲の強いレオニダス、でも常に愛する人の顔を思い浮かべて痛みに耐え、意識を失うほど激しく攻められ、さらに夢にまで出てきてうなされるなんて、最高に幸せなことかも(?)と思いました。今回は珍しく夜中の更新なので、いつもの時とテンションが違っているかもしれません。
2007、8、12
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