屈辱と栄光の絆(4)

               レオニダス 17歳
               ディリオス 12歳
               ボロトス(ディリオスの兄) 18歳
               デネソロン(ディリオスの父) 58歳

「いいか、ディリオス。盾はこう持って構えるんだ。この盾1つで弓、槍、剣と敵のあらゆる武器から身を守り、さらに隣にいる仲間も守らなければならない。左手で自由自在に操れるようにしろ」
「はい」
「そうじゃない!その位置では首が狙われる。もっと高く盾を上げられないのか!」

スパルタの街から少し離れた山で、レオニダスの怒鳴り声が響いた。祭りの夜、普段は訓練所で暮らす少年達も特別に許されて家族が待つ家に戻る。だが、ディリオスが家に戻ることはなかった。それを知ったレオニダスは祭りの夜にディリオスを誘って山に行くようになった。月明かりの下、訓練所で習ったことをまずは一通りディリオスにさせてみた。不器用な彼は教官に言われたようにうまくやることができず、よく鞭で打たれている。

「足はもう少し開いて、左手、盾の高さはこの位置だ。短剣はこう構える。いいな」
「はい」

全裸にさせたディリオスに盾と剣を持たせ、手足の位置を定めて守りのポーズをとらせた。ディリオスの手首、足首を掴むたびにレオニダスの胸は高まり、腰布で隠した彼自身は固くはちきれそうになったが、そうした気持ちを抑えて冷静な声を出した。

「いいだろう。俺の攻撃から身を守れ」

レオニダスは長い木の棒を手に取った。盾の上から棒の一撃を加えれば、ディリオスの左手はすぐに下がり、次に棒の先で胸を押されて突き飛ばされた。尻を地面につけたディリオスが反射的に体を丸めて後ろ向きになれば、背中を棒で激しく叩かれた。

「何をやっている!お前は殺されていたぞ。転んでも敵に背は向けるな。常に剣を持ち、次の攻撃の態勢を整えろ。早く立て!」
「ま、待ってください」
「敵は待ってはくれない。隙を見せればやられる。倒れてもすぐ起き上がれれば負けではない。早く立て!」

よろよろと立ち上がったディリオスは、レオニダスの目から見れば全身隙だらけであった。小柄な少年を情け容赦なく棒で突き飛ばし、そしてまた立ち上がらせた。ディリオスの呼吸は荒くなり、目は涙で潤んできた。

「よし、いいだろう。少し休憩だ」

レオニダスの声にディリオスは崩れるようにして座り込んだ。





「お前はトロイの話を知っているか」
「あ、はい。少し巻き本で読んだことがあります。訓練所に入る前、家に置いてあったので・・・・」
「7歳前にイリアスを読んでいたのか。さすがデネソロン議長の子だ」
「でも父は僕が本を読んでいるとすごく怒りました。これはボロトスのために買ったものだ、お前は跡継ぎではないのだから本を読む暇があったら体を鍛えろ、そう言われました」
「これを見てみろ」

レオニダスは持ってきた巻き本を広げた。槍と盾を持つ兵士の絵が細かくびっしりと描かれている。

「トロイ戦争の時、ギリシャ兵はこういう武器を使っていた」
「こんな昔から、同じような武器を使って・・・・」
「そうだ。武器に大きな変化はない。だがスパルタ人は訓練を重ね、同じ武器でも最大限の効果を発揮できるようになった」
「この本はどこから」
「アテネから来た商人から買った。アテネなどどうせ屁理屈ばかり言って、男色家の哲学者が権力を握っているような国だが、巻き本はたくさんあり、次々と写されて世に出回っている」
「素晴らしいです。こうして絵に描いてあると、トロイの戦いの様子が目に浮かぶようです。この本は・・・・」
「いや、これはその、お前のような子供が見る本じゃない!」

もう1冊そばにあった巻き本にディリオスが手を伸ばすと、レオニダスは慌ててそれをひったくり、自分の足元に置いた。

「もう少し訓練を続けるぞ。次は槍投げだ。お前の場合はまず棒を遠くに投げてみろ」
「はい」

また訓練が始められた。夜は長いのだから、まずは義務を果たして楽しみはその後だ、こうレオニダスは小声でつぶやいた。全裸のディリオスが棒を構えて投げようとすれば、月明かりの下でその姿を見るだけでもレオニダスは興奮した。何度も投げさせては棒を取りに走らせれば、ディリオスはもう汗びっしょりになっていた。スパルタではどんな時でものんびり歩くことなど許されない。移動する時は常に走るか、会話などできないほど早足で歩かなければならないのである。

「いいだろう。最後の訓練だ。ここに横になって目をつぶれ」

ディリオスは従順だった。レオニダスの命令には全て素直に従った。





レオニダスは慌ててさっきディリオスから取り上げたもう1冊の巻き本を広げた。男同士、様々な格好で体を絡めている簡単な絵と説明文が出ていた。

「こんなにいろいろな方法があるのか。アテネの哲学者は体を鍛えたりはせず、こういうことばかり・・・・」

ディリオスには聞こえぬよう小声でつぶやいた。中身を詳しく見ず、商人の話だけで誰にも見られないように急いで買ったものだったが、正直これほどの方法があるということに驚いた。レオニダスの手にはふたのついた小さなポットも握られていた。巻き本と一緒に商人が特別にくれた香油が入っていて、ふたを開けると薔薇の花のよい香りがした。

「スパルタの男、それもこれから王となる男にこんなものは似合わないが、せっかくもらったのだ、試してみよう」

ディリオスは背中を向けて横たわり、静かに目を閉じていた。レオニダスの手が触れるとビクン!と大きく足が動いた。

「あ、もっと腰を高くした方が・・・・」
「そのままでいい。楽にしていろ」

楽にしろと言われてもディリオスには以前の記憶が残っているのだから、手足を伸ばして四つん這いになり、腰を高く上げた。まだ何もしていないのに歯もしっかり食いしばっている。レオニダスは笑いを噛みしめながら香油を塗った指をディリオスの後腔に差し込んだ。

「あ、何を・・・・」
「声は出すなと言ったはずだ。しっかり体を支えていろ」
「はい・・・・・ああ・・・ううんー・・・・」

歯を食いしばったディリオスは思わず嬌声を漏らした。痛みは耐えられても、油でねっとりした指で敏感な場所に触れられるなんともいえない感触に声を抑えることができずにいた。

「声を出すなと言っただろう。罰としてベルトで打つぞ!」
「ああーん・・・・・やめて・・・・ひいいー・・・・」
「そんなに感じてしまうのか。耐えられないなら、たっぷり罰を与えるしかないな」
「いやー・・・・やめて・・・・」

ディリオスはもう腰をふり乱していた。まだ自身が射精することはない幼い官能は抑える術を知らない。レオニダスの指は巧にディリオスの内部で感じやすいところをみつけ、そこを何度も刺激した。香油の薔薇の香りがあたりに広がり、なんとも言えずよい気分になる。

「ああ、どこかに薔薇の花が・・・・」
「薔薇など今の季節には咲かない。お前の気のせいだ。こんなに中を濡らして腰を振り、喘ぎ声を出すなんて、お前はアテネ人か」
「違います、スパルタ人です」
「アテネの少年は年寄りに抱かれ、喜んで嬌声をあげるという。今のお前のようにな・・・・なんて淫らな顔をしている。お前はアテネ人と同じだ」
「違う・・・・スパルタ人・・・・あああー・・・・ひいいいー・・・・」

声を堪えることなどできないでいた。レオニダスは指を内部から抜き取り、足を組ませて巻き本に出ていたポーズの1つをさせた。そのような本は見る者を興奮させるために、実際にはかなり体に負担がかかる無理なポーズが多い。だが生まれて初めてそのような本を見るレオニダスにそんなことがわかるわけもない。ディリオスに無理なポーズをさせたまま、自分の腰布を取り、勢いよく後腔に差し込んだ。

「ああー・・・・ぎゃあああー・・・・」

人が殺されたかと思われるようなものすごいかん高い悲鳴が山中に響き渡った。無理もない大人と同じ体格のレオニダスが小柄なディリオスの体に全体重がかかるようなかかるような角度で刺し貫いたのである。

「声を出すなと言っただろう。どのような攻撃をされてもそれに耐えうる力を持て」
「は、はい」

ディリオスは歯を食いしばった。激しい衝撃に全身を貫かれ、息をすることもできない。悲鳴を上げれば、さらに無理な攻撃が続いた。体をよじり、泣き叫ぶがレオニダスの勢いは増すばかりである。先に塗られた香油と混ざって、ディリオスの後腔はグチャグチャと異様な音をたてはじめた。ディリオスは手を握り締めた。鋭い痛みがあるのに自分の体が溶けていくようである。

「ああーもうやめて、助けて・・・・あああーん」
「お前はスパルタ人だ。声など出すな」

レオニダスの無理な要求は続いている。ディリオスの体はグチャグチャになり、わけのわからない悲鳴を上げて意識を失った。





目を覚ますと頭の上に冷たい布を当てられ、寝かされていた。

「大丈夫か、ちょっと無理をさせたかな」
「・・・・・・」
「だが、アテネではあれが普通なのかもしれない。お前も辛抱が足りないぞ」
「アテネって・・・・」

ディリオスは目をぱちくりさせた。レオニダスが何を言っているか巻き本のことなど知らない彼にはまったくわからない。

「スパルタ人が、アテネの年寄りにできることができないのはくやしい。もうすぐ俺は成人の儀式で山に行かなければいけない。その前に必ずあれぐらいのことはできるようになってみせる。お前も覚悟しておけ」
「は、はい」

わけがわからなくても、ディリオスは頷くしかなかった。レオニダスは非常に激しく負けず嫌いな性格である。よくわからないが、とにかくアテネに負けたくないのだろうと自分なりに解釈して納得するしかないとディリオスは考えた。貫かれた場所はまだビリビリと異様な痛みが残っている。だがその痛みさえ、心地よいことかもしれないと、彼はふっと考えた。すぐ近くで木の葉が動き足音がしたが、二人はそれぞれの考えに夢中でそれには少しも気付かないでいた。



                                           −つづくー


後書き
 レオニダスのスパルタ式調教は続きます(笑)今回はアテネのエロ本と香油を小道具にして・・・・その時代、そういう本があったかどうか詳しくは知りませんが、多分あったと思います。そういう本は大抵無茶なこと書いてあって、血気盛んな若者をさらに煽ったり。実験台にされているディリオスが気の毒です(笑)
2007、6、26



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