屈辱と栄光の絆(8)

               レオニダス 18歳
               ディリオス 13歳
               ボロトス(ディリオスの兄) 19歳
               デネソロン(ディリオスの父) 59歳
               セロン  17歳
               ペリクレス(セロンの父) 55歳

「あいつまだうなされているのか」

12歳から18歳までの少年数十人が寝泊りしている訓練所では、夜は与えられたたった1枚の布を敷いて適当な場所で雑魚寝している。議会の有力者や王族の子であっても、特別扱いは全くない。王以上にスパルタの政治を動かす議会の次期議長候補と言われているペリクレスの子セロンも同じであった。少年達の間では互いの身分や父の名前は一切知らされないという決まりであったが、セロンは父のライバルともいえるデネソロンの子ディリオスに前から目をつけていた。1年前、レオニダスが同じ訓練所にいたころはいつも彼がそばにいたため手を出すことはできなかった。夜、こっそり2人の後をつけて情事の証拠をつかみ、告げ口をしたのもこのセロンである。今、レオニダスは成人の儀式で山に行った。残されたディリオスは鞭打ちの罰を受けてから数ヶ月過ぎたというのによくうなされている。彼自身それがわかっていて、みんなから少し離れた場所に寝るのだが、セロンの耳にはその泣き声がよく聞こえた。

「かわいそうなヤツだ。だが、あいつを潰さなければ俺が議長となる機会は永久に失われる」

セロンは小さな声でつぶやき、立ち上がるとディリオスの寝ているそばへ行った。冬になり夜はかなり冷えるというのにディリオスは汗びっしょりになり、時々呻き声を上げる。

「悪い夢を見ているのか。だが、お前の悪夢はこれで終わらない。議長の子でありながらレオニダスにも愛されるとは・・・・フフ、こんなかわいい顔して生まれてくるのが悪いのだぞ。この顔がさらなる痛みと恐怖でひきつるとどうなるのかな?」

そっとディリオスの頬に手を乗せた。無意識のうちにディリオスの小さな手が伸びてきた。

「レオニダス・・・さま・・・助けて・・・」
「ハハ、間違えてこの俺に助けを求めてくるとは・・・・レオニダスはもういない。今頃お前の兄が息の根を止めているはずだ。真実を知ったお前はさらに泣き喚き、うなされるのか?かわいそうなディリオス・・・その時は俺がたっぷりなぐさめてやろう」





レオニダスとボロトス、どちらが死んでも自分には大きな得になるとセロンは考えていた。レオニダスは訓練所にいる時からずば抜けた才能とカリスマ性を見せていた。もし彼が王位につけば議会から王に権力が移る可能性がある。ボロトスもまた長生きすれば間違いなく議長になるだろう。そう考え、セロンはディリオスを陵辱した男の名をボロトスに伝え、その憎しみをかりたてた。だがボロトスはレオニダスを殺すことはせず、自分も無事戻ってきた。そうなると今度はレオニダスが戻ってきた時に自分の立場が危うくなるかもしれない。立場だけではない。命とて、もっとも危険で暗殺される可能性の高い成人の儀式を自分はまだ済ませていない。

「落ち着け、落ち着くんだセロン。あの純情なディリオスは兄やレオニダスのためならどんなことでもする。あいつを利用すればよい。それに、フフフ・・・・あの顔と体だ。山にこもる前のいい慰みになるぞ。レオニダスでさえ思い出して自分を慰めていたのだろう。味わってみるのも悪くない」





数日後、祭りのために少年達がみな家に帰る日を狙ってセロンはディリオスに声をかけた。今まで同じ訓練所で生活していてもろくに話したこともなかったが、父デネソロンがいる家に帰る気もせず、ずっと訓練所で過ごすつもりでいたディリオスは喜んでセロンについていった。セロンの家もディリオスの家と同じほど大きく、たくさんの奴隷が働いていた。年上の先輩に勧められるままワインを飲み、久しぶりにおなかいっぱいになるほどご馳走を食べたディリオスはそこで寝るようにと案内された部屋が他の部屋からは遠く離れ、壁も特別に厚く作られた部屋だということにまったく気付かないでいた。柔らかなベッドの上は心地よく、ディリオスはすぐに眠りについた。

「気持ちよさそうに寝ているな。お前の家だってこれぐらいのベッドはあるだろう、なぜ帰らない?」

セロンの声にディリオスははっとして目を開いた。

「そう驚いた顔するな。人の家にノコノコついてきたということは、お前もそのつもりだったのだろう。レオニダスが山に行ってもう1年近くになる。お前も欲しくてたまらないんだろう」

セロンの手がディリオスの下半身に伸びた。その手をディリオスが慌てて掴んだ。

「やめてください。こんなこと」
「おや、抵抗するのかい?お前は12歳で早くも男を経験した。それもレオニダスというスパルタでも稀に見る屈強な男を受け入れたのだろう」
「やめてください。帰ります」
「おや、そんなこと言っていいのかい。力ずくで襲ってもいいが、できれば跪き入れてくださいと懇願するお前が見たい」
「そんなことはしません。もし僕に何かすればどうなるか、あなたならよくわかっているはずです」
「俺の身分がわかっているのか」
「知っています。あなたの父が僕の父とライバルだということも・・・あなたは前から僕のことをチラチラとよく見ていました」
「そこまでわかっていながらなぜついて来た?危険とは思わなかったのか」
「僕はあなたより力ではずっと劣っています。でも、知恵比べならあなたに勝つかもしれません」

ディリオスはセロンの目を睨みながら真っ直ぐ立ち上がり、腰巻の布を外した。

「言ってください。兄に何をしゃべってレオニダスさまを殺させようとしたのですか!言わなければこの短剣を・・・・」

腰布の中に隠し持っていた短剣をセロンの首に近づけ、ディリオスは夢中でしゃべった。

「おお、こんな物まで持っていたのか?子供だと思って油断していたが、なかなかやるじゃないか。だがな、俺を殺してどうする?お前の兄がレオニダスを殺そうとしたこと、俺の友達数人が知っている。俺が殺されればそのことはすぐ議会の話題となる。俺を殺したお前、そして王族であるレオニダスを殺そうとしたボロトス、お前達兄弟のどちらも死罪は免れないぞ。そしてデネソロン議長もスパルタから追放され、失意のうちに死を迎える。すべてお前のためにな」
「僕が何をすれば、あなたは兄のことを言わずにいてくれるのですか?」
「やっぱりお前はかしこいな。ではまずその剣をしまうがいい」
「はい」

ディリオスは短剣をセロンの首から離し、鞘に入れた。

「こんなものを使おうとして、子供のくせに・・・・フフフ・・・俺に貸せ」
「はい」
「何をすればいいかわかっているだろう。俺の言うとおりにできるか」
「はい、どんなことでもします。だからどうか兄の命だけは助けてください」
「俺はレオニダスではない。もっともっと長くかかる。苦痛だぞ。こんな危ない物を持ってきたこと、後悔させるぞ」
「覚悟しています」
「ならばまずはこのベッドの上にうつぶせになれ。そうそう、腰布は外したままでいい。まだ腰は上げるな。子供のくせに、レオニダスに教え込まれたのか。だが俺のやり方はちょっと違う。暴れたり、大声を出されては困るからな」

セロンはディリオスの手足を伸ばし、細い布でベッドの枠にくくりつけた。続けて目と口も布で覆った。ディリオスの体に熱がこもった。中心に今までに感じたことのない強い力が集まっている。

「縛られただけでもう固くなるとは・・・・レオニダスも毎回こうやってお前を愛したのか?」

セロンの手がディリオスの後腔に触れた。ディリオスは自分の固くなった部分をベッドカバーに押し付け擦りつけた。レオニダスとの行為の時、まだ幼い彼が射精することはなかった。だが、今はもう大人と同じように勃起し、次の刺激を無意識のうちに求めている。セロンはにやりと笑い、ディリオスの口を覆った布を外した。

「入れて欲しいのか、ディリオス?」
「いやだ、こんなこと。どうかもうやめてください」
「そんなこと言えるのか?何を言えばいいんだ、ディリオス?かしこいお前ならわかっているだろう」
「はい、入れてください」
「名前もつけろ。レオニダスとやる時、名前も呼ぶのか」
「名前は言いません。僕はそんな・・・・ただあの人を・・・・」
「泣いているのか、ディリオス。泣いて許されるとは思うな。俺の名前を呼んで懇願しろ。精一杯の愛情を込めてな」
「入れてください。セロンさま、愛しています。だから・・・・」
「いい子だディリオス。だが、すぐには終わらない。苦痛は長引くぞ」

セロンはディリオスの足を縛った布をさらに固く締めなおした。肉丘を押し広げ、後腔の位置を確かめた。ディリオスの足はガタガタ震えていたが、うっすら赤く染まったその穴だけは別の生き物のようにピクピク動いている。セロンは近くにあった短剣を鞘をつけたまま握り締めた。鞘に覆われていてもその先は鋭く尖り、男根よりも遥かに固く長い。

「あまり大声を出されては困る」
「何をするのですか?」
「お前はこの短剣を俺の首に突きつけた。これをレオニダスの代わりにお前の体に刺したらどうなるかな」
「やめてください!お願いです。どうか命だけは助けてください」
「誇り高いスパルタ人が命乞いをするのか」
「もう一度あの人に・・・・無事を確認するまで・・・・どうか、命だけは助けてください。お願いです。もう一度会わせてください」

ディリオスは泣きじゃくって懇願した。もう一度会わせて欲しい、命だけは・・・・それが誰のことを言っているのかはすぐにわかる。セロンの胸に激しい憎悪が湧き上がった。ディリオスの口を布でしっかり覆い、もう一度短剣を後腔の入り口に押し付けた。

「うわあああー・・・・ぎゃああー・・・・・あああ・・・・」

鞘がついているとはいえ、尖った短剣を差し込まれ、ディリオスは絶叫し縛られた手足を激しく動かした。真っ赤な血が体内から流れた。セロンは短剣を引き抜き、血がべっとりついた穴の中に自分自身をねじ込んだ。ぬるぬるとした血と締め付ける強い力がかってない快感と興奮をセロンに与えた。口を布で覆われていても、ディリオスの叫び声ははっきり聞こえた。セロンは腰を激しく打ちつけた。足元もベッドも真っ赤に染まり、いつの間にかディリオスのモノは精液を吐き出して小さく萎えていた。泣き叫ぶ声は次第に弱々しくなり、ディリオスは意識を失った。

「これぐらいで気絶するとは・・・・レオニダスはよっぽど優しく扱ったようだ。だが、俺はレオニダスとは違う。フフ、安心しろ。殺したりはしない。できるだけ苦痛を長引かせるのが俺のやり方だ。フフ、意識はなくしていても血はまだ流れている。もっともっと血を流してやる。これがスパルタだ。弱い者はとことんやられ、強い者だけが生き残る。覚えているがいい。

セロンは立ち上がり、皮のベルトを手に持った。ディリオスはまだ意識を失っている。まだ傷跡の残る背中にベルトを激しく打ち下ろした。

「ああー・・・・やめて・・・・お願い・・・・命だけは・・・・」

意識を取り戻したディリオスが叫び声を上げた。手を握り締め、体をよじりながら必死に痛みに耐えた。だが、その小さな体をセロンはベルトで打ち続けた。何がそこまでさせているのか、セロン自身にもわからなくなっていた。再びディリオスの声が途切れ、意識を失った時には、背中も腰も血で真っ赤に染まっていた。


                                     −つづくー




後書き
 セロン、ひどい人間ですが、ディリオスを苦しめることで自分が成人の儀式で向き合わなければいけない試練から目をそらそうともしているわけです。抵抗できずに毒牙にかかって必死に命乞いするディリオスがかわいそうです(書いたのは自分だけど)
2007、7、26




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