コリントスの誘惑(4)
レオニダス 48歳
ディリオス 43歳
アルテミス(隊長) 51歳
背に触れる石の台は冷たく、恐怖心を募らせる。目隠しをされているとどんな小さな音にも敏感になってしまう。手足は固く縛られ、全く動かすことができない。石の床を打つ鞭の音が響き、ディリオスは反射的に体をそらした。体の中心に熱が集まるのだが背中はゾクゾクするほど冷たい。
「スパルタ人は鞭に慣れているようだな」
「音だけでこれほど反応するとは・・・・」
「ううー・・・」
男達の手がディリオスの中心部に触れ、固さを確かめた。口を厚い布で覆われ、思うように声を出せない。
「外してやれ、せっかくの声が聞こえないのは残念だ」
「大声で叫ばないか」
「いくら叫んでもここは地下の拷問部屋、外に声は聞こえない」
ディリオスの口を覆った布が外された。
「もったいぶらずにさっさとやれ。どうせ目的は一つだろう」
「ハハハハ、さすがはスパルタ人、まだ元気がいい」
「言っておくが、私などどれほど暴行を加えようとたいして楽しめないぞ」
「それはどうかな。おい、もっと足を広げさせろ」
「やめろ!・・・・ああー・・・・」
足につけられた紐は一度固定した場所から解かれ、さらに高い位置になる場所に縛り付けられた。ディリオスの下半身は完全に宙に浮き、恥ずかしい場所がさらに露にされた。目隠しをされているディリオスにも、自分の体がどのような状態で男達の目の前に曝されているかはっきりわかった。足首が腰の重みで締め付けられ、キリキリと痛んだ。
「この格好では苦しい。どうせ快楽を得たいのだろう。それならばこっちも楽な格好にしてくれ」
「そうはいかない。勇猛と名高いスパルタ人の参謀がどのような呻き声を上げるか、じっくり聞かせてもらうぞ」
「体に傷をつけないと言ったはずだ。私に傷をつければ、レオニダス王はけっしてお前達を許さない。このままでは足首にもあざが残る」
「お前は本当によく気がつく男だ。スパルタ人とは思えない。よくわかった、見える場所には傷つけないようにしよう」
足首の紐のところに布を挟まれ、少し楽になった。だが、露で屈辱的な格好をされていることに変わりはない。目隠しをされているので、次に何をされるかわからない恐怖もある。
「うわああー・・・ぎゃああー・・・やめろー!・・・・あああー」
後腔にすさまじい痛みを感じ、ディリオスは狂ったように叫び声を上げた。高く持ち上げられた尻の周りを数人の男に押さえられ、穴から熱い油をゆっくり注ぎ込まれていた。
「ふふふ、スパルタ人でもこういう拷問は苦手なようだな。もっと続けようか」
「やめてくれ!頼む・・・・この通りだ」
ディリオスの声は擦れ、目に涙が浮かんだ。恐怖と激痛に理性はなくなっていた。
「ああー・・・・うわあー・・・・お願いだ、やめてくれ・・・」
また別の激痛に襲われ、呻き声を上げた。
「ははは、さっきの油が効いたのか、お前の体はこんな太い棒すらやすやすと飲み込んでいく。どうだ?あのレオニダス王とどちらが固くて気持ちよい」
「ああー・・・・ひいいー・・・・たのむ・・・・うわあああー・・・・」
ディリオスは狂ったように暴れ、叫び続けた。高く持ち上げられた尻の穴に今度は棒のようなものを差し込まれているというのがはっきりわかった。暴れれば余計体の内部を傷つけるとわかってはいるが、体の内部を摩擦する激痛は理性も意識も飛ばしていた。何人もの男達は笑いながらある者はディリオスの顔を覗き込み、またある者は執拗に棒を動かして奥へ奥へと浸入させた。普通の男ならすぐ気絶したであろうが、スパルタ人は痛みに慣れ、激痛の中でも意識を失わず戦えるよう日頃から訓練されている。ディリオスもまた、体の奥から大量の血を流し、声が擦れるほど絶叫してもまだ意識を失わずにいた。
「もういいだろう。さすがはスパルタ人、だが、これ以上やって死なれては困る。棒を抜いてやれ」
男の声にほっとしたディリオスは体の力を抜いた。彼は意識を失っていた。
また、激しい痛みで目が覚めた。目の前の男の顔が見える。手足を動かすこともできた。だが、体は強い力で押さえられ、まさに男の暴行を受けている最中だった。ディリオスには慣れたその行為も、熱した油と棒で痛めつけられたディリオスの後腔には拷問と同じである。ほんの少し中で動かされるだけで激しく痛み、傷口から血が流れた。
「ああー・・・・うわあー・・・・」
「もう何もしていない。それでも泣くのか。勇敢なスパルタ人がさっきから許しをこうたり、泣き叫んだり・・・」
「お願いだ、もうやめてくれ・・・・自分でもどうなるか・・・」
「ふふふ、泣き顔がまたなんとそそることか、このまま帰すのが惜しいくらいだ。いっそうのこと奴隷として手元に置き、生涯弄んでみたいものだ」
「こいつは奴隷市場で高い値段になるぞ」
「スパルタ人は奴隷になどならない。敵に捕えられるくらいなら潔く死を選ぶ」
「ほほう、まだそんなことを言っている。もう一度油を塗って棒を入れてみようか」
「ああー・・・ひいいいー・・・・」
拷問じみたことなどしなくても、傷ついたディリオスは後ろからのしかかる男が少し動いただけで叫び声を上げていた。
「もうやめろ。それよりせっかくいい声で泣くんだぜ。楽しませてもらおう」
「おい、穴は充分広がっているか」
「いや、驚いて普通の男よりももっと締め付けてくる」
「血が出ているぞ」
「ちょうどいい、滑りがよくなって・・・・」
「早く終わらせろ。もう夜が明けるぞ」
「まて、ああ・・・・これはいい、最高だ」
「声が聞こえなくなったけど、また気絶したのか。死なせるんじゃないぞ」
「とんでもない、意識はしっかりしているぞ」
「スパルタ人は我慢強い」
「ハハハハ、これだけ強いスパルタ人の王が同盟を率いるのさ、ペルシャだって蹴散らせてくれるさ」
「もし負けたとしても責任は全部スパルタにある。生き残った兵士は奴隷にして山分けすればいい」
「どっちにしろ、俺達に損はない」
「なんだ、また気絶したのか」
「そこをどけ、俺が起こしてやる」
男達の陵辱を受け、ディリオスは何度意識を失っただろうか。長い夜が明け、ようやく解放された時にはもう歩くのもやっとであった。
「ディリオス、コリントスの女はよかったか。お前が戻ってきたらもう一度抱きたいと思っていたのだが、なかなか来ないから寝てしまった」
「遅くなってもうしわけございません」
ディリオスはすっかり日が昇る頃、身支度を整えてスパルタ人が与えられた宿舎へと向かった。
「ディリオス、お前がいつまでたっても戻って来ないから、陛下は今日の会議をどうしようかと心配して・・・」
「隊長にまでご心配かけて、本当にもうしわけございませんでした」
「まあ、よいではないか。よく考えればディリオスももう40を過ぎた。こいつにはスパルタ1の女を与えようと考え過ぎていたかもしれない。今度のことで女に目覚めたのなら、それはめでたいことだ」
「それもそうだ。早くディリオスを結婚させねば・・・うちのアスティノスの結婚よりもそっちを先に・・・」
「陛下、私の結婚についての話よりもまずは今日の会議について話しましょう。同盟はほとんど成立したも同じです。後はそれぞれの国でどれだけの軍隊と資金を出してもらえるかが話題の中心になります。これはギリシャ全体の問題なのですから、どの国も傍観者ではいられないでしょう。けっしてスパルタだけに任せればいいというものではありません」
「そうだな、ディリオス。またお前に任せるぞ」
「はい、では陛下、私の考えた案をご覧になってください」
長い時間暴行を受け、フラフラになった体で一睡もせずにディリオスは会議でレオニダスが言うべき意見をまとめて草稿を書いていた。この会議をきちんと終わらせなければならない、ディリオスには強い使命感があった。
「いやあ、ディリオス、お前のおかげで会議は無事終わった。スパルタの望みどおりの結果になった。みな疲れているようだし、今日はもう1日コリントスに泊まろうではないか」
「いえ、陛下。少しでも早くスパルタに戻り、会議の結果を伝えなければいけません。スパルタが先頭に立ってペルシャと戦うのです。スパルタ軍の訓練法もまた変えなければなりませんし・・・・」
「そう固いこと言うな。コリントスを出ればしばらく大きな街はない。野宿になってしまうぞ。せっかくお前も女との経験を楽しんだのだし、もう1泊ぐらい」
「お願いです。どうかここを今すぐにたってください。急がなければせっかくの同盟が台無しに・・・」
「ディリオス、そう急がなくとも・・・・」
「急いでください。お願いです」
ディリオスは必死でレオニダスに頼み込んだ。昨日の夜自分に暴行を加えた男達はみな何食わぬ顔で会議に出席し、ディリオスの方をチラチラと見ていた。またここに泊まれば何をされるかわからないし、それを避けようと本当のことをレオニダスに話せば同盟はメチャクチャになってしまう。最善の方法は一刻も早くコリントスを出ることだけだった。
「すみません、陛下、ちょっとアスティノスのことで気になることが、私のわがままですができるだけ早く出発してもらえませんか」
「隊長の頼みならしかたがないな。すぐにコリントスを出よう」
ディリオスはほっとため息をついた。体の中心に激しい痛みを感じるが、これは自分一人の秘密にして我慢すればいい。これぐらいの痛みで誰かに悟られてはスパルタ人とは言えない。そう自分に言い聞かせて馬に飛び乗った。馬が少し跳ねただけでも痛めつけられた尻は飛び上がるほど痛く、血が出ているのではないかと心配になる。
「私は酷い怪我をしている。頼むからゆっくり穏やかに歩いてくれ」
そうつぶやいて軽く馬の首を叩いた。レオニダスがじっと自分の方を見ていることには少しも気付かずに・・・・
−つづくー
後書き
どれだけ酷いことをされようともスパルタの将来を冷静に考えて秘密にしてしまおうと考えるディリオス、でも後になってその後遺症が出てきそうです。そうなった時にレオニダス王がちゃんと気がついてうまくフォローをしてくれればいいのですけど・・・
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