後継者(2)
            ステリオス 19歳
            アスティノス 15歳
            レオニダス 43歳
            ディリオス 38歳
             隊長 46歳

「そうじゃない、アスティノス、もっと体をひねって右側を狙え!」

アスティノスは成人の儀式を終えてスパルタに戻ってきたステリオスから個人指導を受けていた。皆と一緒に行う通常の訓練以外に行われる個人指導は夕方から始められ、深夜にまで及んだ。訓練所の宿舎から少し離れた森の中、わずかな月明かりの下でもステリオスの動きが鈍ることはまったくない。むしろ暗闇に近いほど彼の体は自由に動き、高く舞い上がった。若いアスティノスを翻弄してぎりぎりまでねばり、その攻撃をヒラリとかわしてしまうのである。アスティノスの体からは汗が滴り落ちた。呼吸も乱れ、ステリオスの動きが見えない。

「アー・・・・・痛い!」
「何をしている!剣はそこだ。早く取れ!」

練習用に刃を折ってあるステリオスの剣がアスティノスの右腕を打ち、彼の剣は手から落ちた。腕に激しい痛みが走り、血が滲み出したきた。

「待ってください、血が出て・・・・」
「それぐらい大したことない。続けろ!」
「無理です・・・・」
「仕方ないな。じゃあそこに座れ」

今にも泣き出しそうなアスティノスの顔を見て、ステリオスも練習を続けることをあきらめた。スパルタの少年のならわしにより坊主頭で腰布だけを身につけているアスティノスは15歳という年齢よりかなり年下、12,3歳くらいにしか見えない。父である隊長とは似ても似つかない整った顔は泣きそうになるとなお幼く見える。

「いいか、敵はお前が怪我をしたからと言って、待ってはくれないぞ」
「わかっています」

言いながらステリオスは自分の白い衣服の端を引き裂いてアスティノスの腕に巻いた。

「血はすぐに止まる。落ち着いたら続きをやろう」
「今日はもうこれくらいで・・・・」
「そういうわけにはいかない。お前をしっかり鍛えるように隊長から言われている」
「しっかり鍛える・・・・・」

アスティノスは消え入りそうな声でつぶやいた。同じ言葉を父や教官から何度言われたであろう。隊長の子であるために周りの子と同じレベルにできるくらいでは誰も認めてなどくれない。もっと力を出せ、もっと強くならなければ隊長として後を継がせるわけにはいかない、そう言われ続けてきた。

「僕は別に父のように隊長にならなくても・・・・」
「うぬぼれるな!このままではお前は隊長どころか一人前の戦士にすらなれない」
「でも僕はみんなと同じくらいにはできています。毎日夜遅くまで訓練しなくても・・・・朝はみんなと一緒に起こされるのだし・・・・」

アスティノスは不満をはっきり口にした。

「みんなと同じ、それで満足するのか。俺はお前と同じ年の時、夜こっそり森へ行って1人で訓練をした。走ったり飛び上がったり木によじ登ったり、自分で考えたあらゆる訓練を自分に課していた」
「僕はあなたのように特別な才能を持ってはいません。1人で訓練を行うなんて信じられない・・・・」
「確かにお前は才能はない。だが、今しっかり訓練をして強くならなければ、とても隊長の跡継ぎになどなれない」
「跡継ぎになんかなれなくてもいい!下に弟は何人もいるし、父は僕よりもあなたの方がよほど気に入っている。実の子である僕よりもあなたを跡継ぎにしたいとまで言っている。父に頼まれたなら、こんな夜遅くまでやらなくても適当にごまかしてくれればいいじゃないか!あなただって朝早くから一緒の訓練に出ているのだし、これ以上父の機嫌を取らなくても・・・・あ、いた・・・・」

ステリオスの手はアスティノスの頬を激しく打っていた。

「俺は隊長の機嫌を取るためだけにお前に教えているんじゃない!今のままではお前、成人の儀式で戻ってこれないぞ!」
「それならそれでいい。僕はもう疲れた。どうせりっぱな戦士になれるわけでもないし・・・・」
「戦士になれないならどうやって生きる!女のようにケツを振って生きていくのか!」
「あ、ちょっと待って・・・・何を・・・・」





ステリオスの動きは目にも止まらないほど素早い。あっと言う間に小柄なアスティノスの体は草の上に仰向けに押し倒され、腕に巻いていた布や革紐などで手足を縛られていた。

「いやだ、やめて・・・・やめてください」

アスティノスも暴れたが、手足を広げられて縛った紐が木の枝や幹に括り付けられ、まったく身動きができない。そしてステリオスは彼の腰布をゆっくりほどいた。あまりの恥ずかしさにアスティノスの顔は真っ赤に染まった。ステリオスの手は彼の大切な部分を強く握った。

「お前も初めてか。隊長の息子ともなれば、下手に手を出したら後が恐いからな」

スパルタでは男同士直接の挿入行為は禁じられていたが、それ以外の方法で互いに欲望を満たすことは認められていた。訓練所にいる少年のほとんどが個人指導と称して年上の者に連れ出され、ほとんどの体験を済ませていた。だが、いろいろなことをやっても挿入行為だけはほとんどの者が避けている。昔、そうやって男を受け入れた者は広場で鞭打たれ、焼印を押されるという決まりがあった。レオニダスが王になってからそれは禁止されたが、それでも男を受け入れたということが皆に知られれば長い間軽蔑され、蔑まれることに変わりはない。唯一の例外としてディリオスがレオニダス王の愛人であることは口に出して言わなくても皆が知っていることであったが、それは相手が王であり、またディリオス自身がスパルタ人としては類稀な教養と知識を身につけ、常日頃から王を助けているので誰も彼を蔑んだりはしない。

「顔に似合わず立派なモノを持っているじゃないか。もう固くなった」

そのような経験のないアスティノスは身動きできない状態で刺激されればすぐに反応してしまった。

「やめてください。こんなこともし父に知られたら・・・・・」
「ハハハハ・・・・そんなに隊長が恐いのか。だが、お前のここはより強い刺激を欲しがっているぞ」
「お願いです・・・・こんなことしたら、僕はもうスパルタで生きていけません」
「安心しろ。俺だって隊長に睨まれたくはない。体を楽にしろ・・・・・もっといいことをしてやる」
「あああー・・・・・ひいいいー・・・・やめて・・・・」

アスティノスの後腔に指が差し込まれた。たった1本であったが、未知の鋭い痛みと感覚に彼は体をのけぞらせ、悲鳴を上げた。

「思ったとおり、お前は女のようにケツを振って生きる方がお似合いかもしれない。指だけでこんなに強く締め付けるなんて、ああ、たまらない。ああー・・・・ハハハ・・・・お前も感じているのか。ジットリ滲み出てきているぜ」
「お願いです。どうかそれ以上は・・・・やめて・・・・」

敏感な体の先から液体が滲み出しているのをアスティノスは感じた。初めての体験は抑制することができない。

「ああ・・・・ああん・・・・やめて・・・・」

口からは嬌声が漏れた。どれほど歯を食いしばっても、異様な感覚に体は勝手に反応する。

「いいことを教えてやろうか。俺も初めてだ。だからどうなるかわからない」
「ど、どうして・・・・あなたが・・・・」
「みんな俺を恐れていたんだろう」

ほとんどの少年は訓練所にいる間に経験してしまうのだが、ステリオスがそのような誘いを年上の者から受けたことは一度もなかった。誰よりもすばしっこく力の強い彼のこと、下手に欲望を刺激して逆に自分が組み伏せられてしまったら大変と、誰もが用心していたのである。

「だからって僕を・・・・ああ・・・・やめて・・・・おかしくなりそう」
「おかしくなればいい。お前は本当に感じやすい。戦士になるより男の相手をしていた方がよっぽどいい」
「いやだ・・・・やめて・・・・ああ・・・・」

アスティノスはもう泣き出していた。まだ成長しきってない少年の体に初めて触れたステリオスの欲望も頂点に達していた。だが彼は自分の皮でできたパンツだけは下ろさずにいた。泣いているアスティノスがたまらなくいとおしく思え、その頬とそこだけ別人のようにそそり立っている男のシンボルの先に口付けをした。続けて今度は後腔から指を引き抜き、両手で包んでしごくと、手のひらはすぐにネットリした粘液で濡れた。ステリオスは両手を近くの小川で洗い、布に水をひたしてアスティノスの体をぬぐうと、手足の戒めを解いて自由にした。





「これで終わりだ。いつまでも泣くな」
「終わり・・・・僕はもう・・・・」
「安心しろ。今入れたのは指だけだ。だけど次にお前が隙を見せたら、今度は本当に入れる」
「隙を見せたら・・・・」

座っているアスティノスは自分の下を見た。腰布は取られ何もつけてない。触れられた手の感触、指を入れられた痛みがまだ体に残っている。顔が熱くなった。ステリノスの手が腰布を握り、アスティノスの前を隠した。だが、すぐにまたその手をどけ、自分の体を近づけて彼を抱きしめた。

「お前はかわいい、アスティノス。だが、スパルタの男はかわいいだけでは生きられない。強くなれ。俺はどんな手段を使ってもお前を強くする」
「どんな手段を使っても・・・・」
「隙があればお前を襲う。だから俺に隙を見せるな」
「だったら個人指導を別の人に・・・・」
「そんなことできるわけがない。お前を男にするのが俺なら、俺が男になるのもお前しかいない」
「どうしてそんなこと決めるのですか」
「隊長に頼まれた」
「父は僕があなたの相手をすることなど望んでいません」
「そう思ったら俺に隙を見せるな。個人指導は続けるからな」
「はい」
「なんかイヤそうな顔だな」
「そうですよ。だってさっきだって無理やり僕を縛ってあんなこと・・・・」
「いい声していた。慣れれば快感になる」
「僕はイヤです。そんなことをして蔑まれたくはありません」
「油断しなければいい。ほら、しっかり結んでおいたぞ」
「あ・・・・・」

アスティノスの腰布はいつのまにかきちんと結ばれていた。

「もう戻って寝ろ。明日も朝は早い。フラフラしていたら俺まで責任取らされる」
「は、はい」
「早く行け」

立ち上がって歩こうとしたが、体の後ろがまだズキズキ痛む。大事なところが気になってつい手を伸ばした。

「アスティノス!スパルタ人は散歩は禁じられている。いついかなる時でも走って行動しろ!」
「は、はい」

慌てて走り出したアスティノスの後姿をステリノスは笑いながら見送った。

「アスティノス、あいつを一人前の戦士にするのが俺の使命だ。だから、お前の出番はまだ先になる」

皮のパンツの上からもはっきりわかるほどそそりたってしまった自分のモノを、彼は自分でしごいて慰めることにした。




                                        −つづくー



後書き
 スパルタでは年上の若者が訓練所の少年を個人指導するということもあったそうです。個人指導、なんていいシチュエーションなのでしょう。うらやましい環境です。そんな中で最後の一線だけは越えてはいけないというタブーがあったら、これはもうかえってそそられてしまいました。
2007、7、5




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