20、転生

ジャレッドを失った後、俺はどうやって生きていたのだろうか?後を追うように死んでいったのか、それとも虚ろな心のまま、長いときを生きていたのか・・・・不思議なことにその後の記憶は全くない。そして俺はまた雪の降る森から熱帯の島の森へと戻り、歩き続けていた。

海岸へ出た。あの洞窟があった場所の海岸、俺はまた元の所へ戻ってきてしまった。ジャレッドはどうしている?随分長い間道に迷っていた気がする。急いで洞窟の中に入るがジャレッドの姿はどこにもない。

「ジャレッド、ジャレッドー!・・・どこにいるんだー!・・・・俺はまたお前を見失ってしまうのか・・・・」

明かりを照らして下の岩を見ると、くぼみができていて、尖った石がいくつかころがっていた。その石の一つを拾って胸に当てた。

「ジャレッド、これはお前が作った物だろう。不器用なお前は石斧ひとつ満足に作れず、自分の手を傷つけてばかりいた・・・・それなのに俺のためにいろいろ作ってくれて・・・・そんなお前が大好きだった・・・・教えてくれ・・・お前は今どこにいる?・・・もう2度とお前の手を離したりはしない」

石をじっと見ていると海の中を漂う生き物が見えてきた。なんの意識も記憶も持たず、感情も、その形ですら定まっていない生き物が、長い触手を絡ませ合い、懸命に一つになろうとしていた。

「わかったよ、ジャレッド。お前が今どこにいるか。すぐそこへ行くから待っていろ。その場所を離れるんじゃないぞ!」

石をポケットに入れ、洞窟を出た。





洞窟を出て海岸を歩いていると、ジャレッドの姿はすぐに見つかった。海に向かって何か叫んでいる。すぐにでも飛び出して抱きしめたい衝動を押さえながらその後ろ姿を見守った。ただ後ろ姿を見つめているだけで温かな気持ちになった。俺は長い間あいつを求めてさまよっていたのだから・・・・





「お前の考えていることは全くわからない!なんでわざわざ自分が災難にあった場所にもう一度戻ろうとする。俺も途中で道に迷った。この島は俺達の前世の記憶と繋がっている。下手なところに行くと戻れなくなるぞ!」
「だから行くんだ!全くお前は昔から力は強いけど頭は悪いな。記憶力も俺の方がずっとあるし・・・・いいか、よく聞け、あいつが、いや前世の俺が俺達をここに呼んで幻を見せた。強い想いが今も残っているんだよ。あいつは力は弱いけど、その決意は生半端なものじゃねえ。今まで誰もやらなかったことをやろうとしたのだから・・・・あいつの想いに負けたら俺達は元の世界に戻れなくなる。だから挑戦してやるのさ」

ジャレッドはわけのわからないことを言いながらどんどん洞窟の奥へと進んでいった。足を挟んで動けなくなった場所まで来て立ち止まった。その場所で服を脱いで裸になり、脱いだ服を下に敷いた。

「おい、何もまたこんな場所で・・・・」
「ここだから意味がある。俺もお前もまだここにいる。いいか、初めての時を思い出して、その時と同じようにやってくれ!」
「初めてって1週間前のことか?」
「お前は本当に頭悪いな!言っている意味がちっともわかっていない。数万年前、マンモス狩りをしていた時のことだ」

本当にジャレッドはおかしなやつだ。俺もこいつに付き合って少しは前世とか信じるようになってきたが、全てを思い出したわけじゃない。そんな数万年前にどうやったかなんて覚えているわけがない。

「どうせお前はいろいろな相手とやりまくっているから、1週間前のことだってよく覚えてないだろう。俺は思い出した、数万年前のことをきのうのことのようにはっきり覚えている」
「そんなこと自慢になるか!大体数万年前を思い出してこんなことやるなんてやつ、聞いたこともない」
「俺達にはそれが必用だ・・・・いいか、何もせずに直接差し込め!」
「おい、ジャレッド、お前冷静になってよく考えろ。俺達は男だ。男同士の場合、自然に濡れるというわけにはいかないからいろいろやってから・・・・」
「あいつはそんなこと何も知らなかった。それが自分にとってどれほどの痛みになるかなんて考えもしなかった。ウサギしか獲れない弱虫なやつがただお前と愛し合いたい、お前を受け入れたいという想いだけで・・・それがどれくらいのものか、俺も自分の体で感じてみたい」





薄暗い洞窟の中、裸になったジャレッドは四つん這いになった。俺も服を脱ぎ、自分のものを立たせた。彼の尻をつかみ、入り口にあてがうが、そこは固く閉じられている。まわりを少しなでるだけで反応してビクッと震えた。

「おい、フェイントはやめてくれ、こっちは処刑を待っている気分なんだから一度にやってくれ」

「ギャー!・・・うわー!・・・ちょっと待て・・・ああー、やめてくれー!」

思い切って中に入れると、思ったとおりすさまじい悲鳴が洞窟にこだました。俺の方も乾いた中に入るのはかなりの痛みを伴い、思わず抜いてしまう。

「おい、どうして途中で抜くんだよ!」
「やっぱり無理だ、こっちも痛くて悲鳴をあげそうになった。少しでも濡らした方が・・・それにお前、やめてくれと・・・・」
「やめてくれと言われて途中で止めるやつがあるか!お前、処刑される時、途中で引き抜かれて何度も差し込まれた方がよっぽど大変だろう。俺が何をわめこうと構わずにやればいいだろう。俺はヴォーカルだから声がでかいだけだ。気にせず続けろ!」

「うわー!!・・・死ぬー・・・・やめてくれ!!−ああー・・・ヒイー!」

洞窟の中にまたすさまじい声が響いたが、俺はもう無視してその行為を続けた。ウサギ狩りをしていたジャレッドの方がもう少し静かに痛みに耐えていたような気もする。まあ、それを言うとまたこいつは怒るだろう。俺はロックバンドのヴォーカルだ。声がでかいのは何よりも自慢していることだと。急におかしさがこみ上げてきた。俺だってこんな乾いて固くなっている穴に入れるのはかなりの痛みがある。強くこすればこするほど、ひりひりして皮がすりむけているようだ。明日から使えなくなったら、などという心配まで頭をよぎる。いままでいろんな男とやったけど、こんなのは本当に初めてだ。俺達は何を無理してこんなことやっているのだろう。急にジャレッドの悲鳴が聞こえなくなった。

「どうした、痛みが少しおさまったか」
「ああ、楽になった、今度は前から抱いてくれ・・・あ、早く、いきそうなんだ」

俺は慌てて正面からジャレッドを抱いた。

「アー、気持ちいい・・・体が空を浮いているようだ・・・言っとくけど今ここにいるのはアメリカ人の俺じゃないからな。ウサギしか獲れない弱虫の俺が、笑っている・・・・すげえ喜んでいるよ・・・・へんなやつ・・・こんな痛い想いをしてまで・・・・ああー気持ちがいい・・・ずっとこのままでいたい・・・」
「ジャレッド、俺も喜んでいるよ。映画スターの俺じゃなくて、ずっと昔お前を失って嘆き悲しんでいた俺が笑っているよ。やっとまた会えたんだな」
「今の俺じゃない・・・・今の俺は女を愛する普通の人間だった。でも俺達は何度も生まれ変わって出会いと別れを繰り返してきた・・・俺の体も心も途切れ途切れにもそのことを覚えていて・・・・だからだ・・・俺一人ではない・・・・長い間の記憶が、今喜んでいるんだ・・・感じている。幸せを・・・・」
「愛している、ジャレッド。一緒に暮らそう。もうお前と離れて生活することなど考えられない」
「仕方がない、俺一人の体じゃないからな」
「ひねくれ者!」
「先に思い出したのは俺だぞ」
「いや、俺の方がずっと前からお前のことが気になっていた」

俺達は正面からしっかりと抱き合い、口付けを交わした。中に入れたものは動かすたびにズキズキと痛むがその痛みと体の中の熱さが心地よく感じられた。いつの間にか中はじっとりと濡れている。そして俺達は同時に果てそのまま深い眠りへと落ちていった。


                  

                                             −つづくー



後書き
 ついに20話になりました。こんなに長く続くなんて自分でも驚いています。
 2005、12、2




目次へ戻る