ロード・オブ・サッカー(13)
舞台 ウルフ国に向かう貨物船とウルフ国内
登場人物 ジャレッド(大王、ヘファイスティオン)
フランシスコ(大王、バゴアス)
イーサン(戦争王、ジャック・バレンタイン刑事)
コリン(大王、アレキサンダー)
ジョナサン(大王、カッサンドロス)
ジャレッドは夢中になってボールを蹴り、その部屋にそっと入ってきた人間には全く気がつかなかった。音も立てず、扉の前に積み上げられた樽をそっとずらし、相手にはけっしてわからぬように身をひそめる、昔特殊警察養成機関で訓練を受けたイーサンにはわけのないことであった。プロサッカー選手になり、ウルフ国代表にまで選ばれた今は、ほとんど選手として試合中心の生活をしているが、特殊警察官としての任務が切れたわけではない。監督以外誰にも話してはいないが、選手としての姿があるからこそ調べられる事を密かに調査している。ジャレッドはまったく気がつかないが、フランシスコの鋭い聴覚はイーサンの微かな足音を捉えた。
「ジャレッドさん、誰かそこにいます」
ジャレッドはボールを手に取った。人の気配がする。ニコラスとは別人のようだ。
「そこに誰かいるのか!」
「大声を出すな!見つかって困るのはお前達の方だろう」
イーサンが二人の前に姿を現した。手には拳銃を持っているが下におろし、彼らには向けていない。
「弾は入っているのか」
「もちろんだ、だがやたらに使ったりはしない」
「俺を撃ったら世界中の人間から恨まれるぞ」
「そのようだな。いい足をしている。100年に1人現われるかどうかの幻の天才ストライカー、ジャレッドはお前か?」
「よその国の人間も少しは俺の名前を知っているのか」
「ジャレッドさん、ウルフ国代表の一人、イーサン選手ですよ」
「ウルフ国の選手か・・・・なぜ拳銃など持ってこんな貨物船に乗り込んできた」
「お前たちこそなぜゴート国の人間がウルフ国行きの貨物船などに乗っている。しかもこんな地下室に・・・ジャレッドとそっちはお前の彼女か・・・」
「僕は男・・・・いやどっちでもないですけど・・・僕はジャレッドさんのその・・・あの・・・恋人とかじゃないです。ただ一緒にこの船に・・・」
「一緒にウルフ国へ密航しようとしたわけか・・・ニコラス、お前たちにはユーリと名乗っているかもしれないが、あいつはどこへ行った!どうせあいつが手引きをしたのだろう?」
「僕達をどうする気ですか?捕まってゴート国に送り返されたら、密航は国家を裏切る重大な犯罪、みせしめのため、公開処刑にされてしまいます。お願いです、どうかそれだけは・・・・」
「そんなわけねえだろう。いつの時代の話だ。捕まってもお前らなんて2,3日牢に入れられるぐらいですぐ釈放されるさ。もっとも密航でも犯罪者になってしまえばもう二度とプロサッカー選手にはなれないかもしれないが・・・・おい、何をする・・・」
ジャレッドはいきなり手に持っていたボールを蹴り、イーサンの手にあてて拳銃を床に落とした。すばやくその拳銃を手に取り足元にボールを置いた。
「これさえ手に入れれば怖いものはない。俺の球は角度によってはあごの骨を折るぐらいの威力はある。さあ、言え!お前は何者だ!なんのためにここへ来た!俺達をどうしようとしている!ユーリ、いやニコラスはどこへ行った!早く答えろ!」
「大した足の力だジャレッド。俺は今まで拳銃を落とされたことなど一度もなかった。だがそんなにたくさんの質問に、今すぐは答えられない」
「それならば、ただ一つの質問をする。俺はサッカーを続けることができるのか?」
「サッカーが唯一の質問か?」
「そうだ。サッカーができるかできないか、それが俺にとって唯一のことだ。もし捕えられ明日殺されるとわかっていても、最後の瞬間までボールを蹴り続ける・・・俺にとってサッカーはただひとつの夢や希望で命でもある・・・」
「約束しよう。お前はサッカーを続けられる。例え何があってもこの足を神が見捨てるはずがない。お前は神に選ばれた人間だ。さあ、銃を降ろせ・・・お前に使えるような物ではない・・・」
「俺はサッカーができるんだな!」
「ああ、約束しよう」
ジャレッドは拳銃をイーサンに渡した。
「俺はサッカー選手でもあるが、ウルフ国の特殊警察隊にも属している。この貨物船で密輸が行われるという情報が入ったから忍びこんでみたのにそれらしき品はどこにもなく、お前ら二人の密航者を見つけただけだ。ニコラスはどこへいったか・・・あいつが密輸に手を染めていることは知っている・・・だが証拠がなくてちっとも捕まえられない」
「だって彼はウルフ国代表選手では・・・」
「代表に選ばれたって裏で何をやっているか・・・ウルフ国はそういう国だ・・・・お前達のようにゴーと国で羊や山羊に囲まれてぬくぬくと生きてきた人間にはわからないだろうが・・・」
「密輸なんてそんな・・・・ニコラスさんが捕まったら僕達どうなるんですか?」
「安心しろ、密航した人間を捕まえるのは俺の仕事じゃない。無事ウルフ国に入れるよう俺が手配してやる」
「でも、ニコラスさんは・・・」
「おそらくこの船には乗ってはいない・・・お前らだけを乗せて別の船に・・・くそっ・・・偽の情報を流してその間に別の船に行ったな・・またやられたか・・・・」
「前にもあったのか・・・」
「あいつは密輸と変装の天才だ・・・どこにでも姿を現し、けっしてしっぽを掴ませたりはしない。そういうやつだ。今まで稼いだ金を何に使っていたのか・・・財産はひたすら隠し、サッカーのプレーヤーとしては一流で・・・まったくわけがわからん」
「俺はどこかであの彼に会っているような気が・・・」
「ああ、そうだろう・・・あいつは変装の名人だしゴート国でもウルフ国でもどこにでも出没する。おっと、もうそろそろ点検の時間だ。お前らこんなことをして遊んでないで、早くもとに戻して隠れていろ。後で食料を持ってきてやる」
「サッカーは遊びではない」
「陸に上がったらいくらでもやらせてやる」
「お前を信用していいんだな!約束だぞ!」
「大声を出すな!まったく密航者としての自覚がないやつらだ」
「おい、フランシスコ、お前ぼーっとしてないで、さっさと樽を片付けろよ」
「僕、こんな重いもの持てません」
「しょうがないやつらだ」
イーサンも渋々仲間に加わって樽を片付け始めた。というよりもジャレッドとフランシスコはただ立っているだけで樽を実際に動かすのはイーサンだけであった。サッカーをやるためにならどんなことでもするジャレッドは、サッカーをやるという目的がない仕事はまったくやる気が出ない。
「すごいな、コリン、ああー、いい、もう少し奥へ・・・アアー・・・・フウーー」
「ジョナ、そんなに感じているのか・・・いじっぱりなお前がこんなになるとは・・・いいよ・・・お前は最高だ・・・」
「アアー・・・・ハー・・・・俺はおかしいのか・・・女を抱くよりもお前とこうしているほうが遥かに・・・」
「俺も同じだ・・・・お前ほどぴったりあう相手は男にも女にも・・・ウワー・・・そんなに締め付けるな・・・もうイキそうになる」
「イッてもいいぜ」
「そうは思ってないだろう・・・お前の体はこんなに喜んでいるぜ・・・・ウワッーそんなにいいのか・・・おい・・・もっと突いて欲しいのかよ・・・大丈夫か明日の試合・・・・」
「明日はオフだろう・・・だから俺たちこうやってわざわざホテルまで・・・・宿舎と違って声を殺さなくていいし、最高だぜ・・・」
「もっと欲しいか・・・ひくひく震えているじゃないか・・・そんなに俺が好きか・・・ジョナ・・・・」
「ああ、愛している・・・・子供の頃からずっと・・・・お前だけを見ていた」
突然ホテルのベッドの脇にある、電話が鳴った。
「夜遅く申し訳ありません。コリン様、どうしてもお会いしたいと言うお客様が3名フロントに来ておりますので・・・・」
「誰だ、プライベートな時間は邪魔されたくない。さっさと追い返せ」
「俺だ、コリン、イーサンだ。お楽しみのトコ、邪魔して悪かったな」
「明日はオフだろう。さっさと帰れ!用件は明日にしてくれ」
「そうは行かない。お前に会わせたいやつがいる。フランシスコとジャレッドだ」
「ジャレッドってあのゴート国のジャレッドか?」
「ああそうだ」
「ゴート国の人間がなんでこんなところにいるんだよ」
「詳しい理由は後から話す。お前の部屋まで行ってもいいか?」
「待て、あと30分、いや1時間待て」
「1時間あとだな、OK,こいつらになんか食べさせておくよ。じゃあな」
コリンが受話器を置くとその手元をジョナサンはじっと見ていた。
「誰からの電話だ・・・・」
「イーサンだ。ジャレッドが一緒にいるらしい」
「ジャレッドって、あのゴート国の・・・なんでそいつがここにいるんだ」
「よくわからねえ、まあ、来るのは1時間後だ。それまでゆっくり楽しもうぜ。なんだお前、すっかり渇いているじゃないか。もう一度クリームを・・・」
「いい、そのままでやれ・・・・」
「これじゃ、お互い痛い思いをする」
「俺は痛いほうが好きだ。思いっきりやってくれ・・・・」
「そうか、それなら遠慮なく・・・・」
コリンはジョナサンの滑らかな腰に手をあて、力を入れて突き刺した。呻き声がもれるが気にせず激しく腰を突き動かした。さっきまでとはまるで違うが今はこれを続けるしかない。渇いた皮膚にこすりあわされひりひりと痛んで涙がこぼれそうになった。
「ジョナ、何を心配しているんだよ・・・俺が愛しているのはお前だけだ。お前も俺だけ、そうだろう」
「たったそれだけか!もっと激しくやれ・・・俺はお前の愛など欲しくはない・・・お前の熱い欲望だけが欲しい・・・お前の熱さ、激しさを受け止められるのはこの俺だけだ!」
呻き声をあげながらもジョナサンは懸命に意識を正常に保とうとしていた。今ここで意識を手放したならば、俺の負けで何もかも失うことになる、そんな気がした。必死に耐える彼の目からも涙が溢れた・・・俺は何をこんなにムキになっているのだろうか・・・・・
−つづくー
後書き
いよいよ亡命してコリンに会いに来ますが、タイミングが悪すぎたようです。ニコラスとイーサンは副業もいろいろやっている、という設定です。
2006、6、1
目次へ戻る