ロード・オブ・サッカー(28)

舞台 ウルフ国立サッカー競技場にある宿舎

登場人物 F.W ジャレッド(大王ヘファイスティオン、戦争王ヴィタリー)
            ブラッド(木馬アキレウス)
       M.F コリン(大王アレキサンダー)
            ジョナサン(大王カッサンドロス)
            エリック(木馬ヘクトル)
            エリオット(大王プトレマイオス)
       D.F  ニコラス(戦争王ユーリ)
            イーサン(戦争王バレンタイン刑事)
            フェレ(悪教育エンリケ)
            ダニエル(悪教育マノロ神父)
       キーパー ヴァルキルマー(大王フィリッポス王)
       監督  オリバー(大王監督)
       チアガール フランシスコ(大王バゴアス)
               カマラ(悪教育パキート)
       ゴート国チアガール ガエル(悪教育フアン、アンヘル、サハラ)

ワールドカップの予選は明日に迫った。普段の練習などは選手の自主性に任せているウルフ国のオリバー監督であったが、さすがに予選前日にあせりを感じ、キャプテンのコリンを呼び出した。

「最初の対戦相手はジャッカル国ですね」
「ジャッカルの選手は背が低く、ずば抜けてうまい選手はいないが、チームワークはよい。何よりも決して諦めない粘り強さがあの国の選手にはある。ジャレッドの様子はどうだ?」
「本人は出たがっていますが、俺は出すつもりはありません。あいつの場合は怪我をしたとか頑張ればいいなどという状態ではありません。下手すれば命にかかわります。それに予選といえども国際試合、大勢の観客の前で倒れて病気のことが知られれば、二度と大会に出られなくなります」
「だが、明日の試合で負ければ、今年のワールドカップは終わりだ」
「ジャッカル国相手でウルフ国が負けるとでも・・・・」
「そうは思ってないさ。だが、ジャレッドが出場しないとなると、誰をフォワードにする?」
「ジョナがいいと思います」
「幼馴染を活躍させてやるか?」
「いえ、エリックを前に出してはブラッドとまったく協力しません。エリオットは守りは強くても、自分から攻撃をしかけるのは苦手です。ジョナならば攻撃力もあります」
「お前とのコンビネーションも抜群だ。いいだろう、ジョナサンを前に出そう。そしてディフェンダーにも問題がある。ゴート国へ行ったガエルとフェレ、ダニエルの間にはよほど何か事情があったに違いない。フェレはダニエルの方を見ようともしない」
「彼をミッドに移しましょう。フェレもプロの選手、表立って何か言うことはありませんが、心の中にはよほど深いものを抱えているに違いありません」
「ニコラスとイーサンの間だって穏やかではないだろう」
「彼のサイドビジネスに関して、イーサンが調べているようですね。でも、彼らもプロの選手です。一度競技場に出てしまえば、そんなことは気にしないでしょう」
「コリン、ウルフ国は本当に予選を通過できるのかね」
「間違いなく決勝戦まで行きます。でなければゴート国がわざわざスパイを送って寄こした意味がなくなります」
「ガエルのことか。彼も昔はよい子だった。それなのにゴート国へ行き、自分の国の情報まで売るようになってしまった」
「彼はもうウルフ人ではありません。ゴート人です。自分を受け入れ、生きられるようにしてくれた国こそが祖国です。ジャレッドとフランシスコは今では立派なウルフ人です」
「コリン、お前もいつか亡命するだろうか。自分の実力を生かせる国へ・・・・」
「俺はウルフ人です。ウルフ人の、オオカミの血が流れています。たとえ最後の一人になっても俺はこの国でサッカーを続け、できなくなればサッカーを捨てます。ウルフ人であることを捨てることは決してありません」
「そうか、明日の試合頼んだぞ」





コリンは宿舎のジョナサンの部屋に向かった。ジャレッドはまだ入院している。フランシスコ達は明日の試合に備えて用具の点検などで忙しいだろう。明日の朝ポジションは正式に監督の口から発表されるであろうが、その前に自分からジョナに言っておきたかった。ノックもせずに部屋へ入ると、ジョナサンはベッドの上にいた。足元に白い包帯が見える。コリンは息を呑んだ。

「おい、ジョナ!お前まさか足を痛めたのか!」

びっくりするほどの大声でコリンは叫んでいた。

「なんだ、コリン、いきなり入ってきて、大声出すなよ。監督との話は終わったのか?」
「終わった。お前のポジションが変わるから、伝えようと思って、だけどその足のこと、監督に話してないだろう」
「ああ、これか。包帯ぐらいで驚くな。ただの肉離れさ。一度やるとくせになって何度も繰り返す。そう大げさなものではない」
「病院へ行ったのか?試合出られるのか?」
「人に言われなくても、自分の体のことは自分が一番よくわかる。俺、あのジャレッドの代わりにフォワードへ行くんだろう。だったらなおさら都合がいい。この足じゃ、あんまり走れないかもしれないが、球を蹴るのは大丈夫だ」
「お前、左が利き足だろう。左をやられているのか。なんで早めに言わないんだよ。ちょっと今から病院へ行こう。俺もついていってやる」
「その必要はない。俺はこの足で充分球は蹴れる。ただの肉離れと言っただろう」
「ただの肉離れではないかもしれないだろう。なぜ、病院へ行かない」
「俺は医者とかスポーツトレーナーといった種類の人間は嫌いだからね。体をいじり回されて、とやかく言われたくないんだ」
「おい、そんな深刻な状態なのか?」
「そんな真剣な顔するなよ。俺の足だ、お前に関係ない」

コリンはしなやかなバネを使ってベッドに飛び乗り、オオカミが獲物を襲うようにジョナサンが伸ばしていた足に飛びついた。ジョナサンが顔をしかめ、低い呻き声を漏らした。コリンの大きな手が、ジョナサンの頬を何度も激しく打った。

「この足はお前だけのものではない。俺の足でもある。お前がそんな顔をするなんてよほど痛むのだろう。どうして何も言わなかった」
「言えば交代させられるだろう。俺ぐらいの選手は補欠でいくらでもいる」
「予選で1回や2回休んだからどうなる?それで選手として終わりか?そうじゃないだろう。怪我をしたら早く治す、その方がよほどいい結果が出る」
「コリン、お前は今まで一度も大きな怪我や病気をしてないだろう。自分が他のヤツより劣っていると感じたこともない。ジュニアチームの時から天才と騒がれ、常にキャプテンを任されてきた。自分が外される恐怖など感じたことがない。俺は違う。運良くお前と同じチームに入れても、俺と同じレベルのヤツはいくらでもいる。引きずり落とされたくなかったら、死にもの狂いでやるしかない」
「ジョナ、お前が死にもの狂いで・・・・」

ジョナサンの言葉はコリンには意外だった。彼は人前ではいつも涼しい顔をして練習し、汗をかいてもすぐに拭って見苦しい姿など見せたことがなかった。

「俺はお前と同じチームに入り、一緒に試合に出るために必死だった。フォワードへ行きたいと思っても、他に才能があるヤツがいくらでもいた。やっとチャンスがまわってきた。誰にも渡さない」
「ジョナ」
「コリン、話は終わりだ。俺の足がそんなに気になるなら、ケツに注射でも打ってくれ。思いっきり太いのをな」
「そんなもので治るのか」
「俺には一番効き目がある」
「明日の試合が終わったら、引きずってでもお前を病院に連れていくからな」
「どうせなら抱きかかえて連れていってくれ、今の俺はお前よりかなり軽くなっているぜ」
「ジョナ、スポーツ選手が体を大事にしないでどうする」
「食欲がなくなった。いろいろあったからな」
「しっかり食べてくれよ。手首なんか、おい、俺の指がまわるほど細くなっているじゃないか」
「はは、しっかり押さえられていいだろう」





コリンは服を脱ぎ、ジョナサンの服も脱がした。裸にしてみると、前から細かった彼がいっそう細い体になっているのがよくわかった。

「ウルフの男ではないみたいだぞ。こんなに痩せて」
「ゴート人の二人はもっと細かった。ジャレッド、それからあのフランシスコ・・・」
「お前はゴート人ではなくウルフ人だろう」
「ゴートの男のように細く、美しかったらもっと愛されるかもしれない」
「何を言っている、俺はお前を愛している。昔からずっと・・・・」
「コリン、お前は本当に罪な男だぜ。そう言われるのが一人だけでないとわかっていながら、俺はお前の言葉で体が崩れる」
「楽な格好をしていろ、ジョナ。お前は俺の前ですらプライドを崩さず、誇り高いままでいる。ああ、ジョナ、お前は今自分がどんな格好をしているかわかるか。男を受け入れようとうずくまり、ケツだけ高く突き出しているのに、こんなに誇り高い顔をしているとは・・・」

コリンはジョナサンの顔を傾け、唇を近づけた。舌を差込み、喘ぎ声が漏れても、その声さえも彼の場合は意識を保ち、決して崩れるような声は出さない。コリンは指先をツバで濡らし、そっとジョナサンの穴に差し込んだ。顔をずらしてシーツに埋め、微かな喘ぎ声が漏れた。

「ジョナ、お前は本当に強情な男だ。こんなに喜びながらも、しっかりプライドは保っている」
「早くお前の球をゴールに入れてくれ」
「そうあせるな。充分広げなければ、お前のゴールはきつ過ぎる」
「ああ、コリン、早く・・・・」

ジョナサンは自分から腰をゆすった。中に差し込まれた指が体の内壁にぶつかり、痺れるような快感を味わった。コリンは指を抜き、自分のものを入り口にあてがった。穴の中心から少しずれて押し込もうとすると、そこに何があるか感じた体がビクンと反応した。覚悟を決めて目を閉じ、息を殺した体のほんのわずかはずれた場所にぶつければ、そのたびにため息と喘ぎ声が漏れた。

「何やっているんだ、しっかりゴールを決めろよ」
「ジョナ、お前のゴールは最高だ。すぐにシュートを決めるのは惜しい」
「そんなこと考えていると、敵に球を奪われるぞ」
「誰にも奪わせない。俺の球はお前のゴールにだけ入れる」
「それは嘘だろう。わかっている、お前が何人もの男を同時に愛せることぐらい。でも今はお前の球は俺だけのものだ。ゴールが破れるほど強くシュートしてくれ。そうすればお前を恨み、忘れられるかもしれない」
「ジョナ、お前を愛している。俺にすべてを任せて身をゆだねろ」

コリンは自分のものを押し付けていた場所に顔を近づけ、舌を出した。ヒクヒクと震えているその場所を舐め、穴を押し広げて舌を差し込めば、違う感触に体はまたビクンと反応した。

「まったくお前は余計なことばかり」
「ジョナ、お前を愛している。その言葉に嘘はない」
「俺だって、お前がいたから、お前を目標にしてたからここまで来れた」
「一緒に行こう、ジョナ、決勝戦まで・・・・だけど、お前の本当のゴールはここにはない。遥か遠くにある。その場所に一緒に行くのは俺なのか、それとも他のヤツなのか、俺にはわからない」

顔を離し、再び自分のものを入り口に押し当てた。コリンは息を止めた。ゴールのチャンスはそう多くはない。足の間にある球の感触を確かめ、勢いよく中へと蹴りこんだ。今度ばかりはプライドを捨てたジョナサンの悲鳴が聞こえた。整った顔は歪み、口元から唾液がこぼれた。コリンは激しく腰を動かした。鋭い悲鳴に彼の口を押さえると、指を噛まれた。手先の痛みと少し流れた血がコリンの体に流れるオオカミの血を目覚めさせた。ジョナサンもまた同じオオカミの血を引くと言われるウルフ人、二人ははげしく体を絡ませあい、獣の唸り声を響かせてベッドの上をころがりまわった。





朝日が昇る頃、ジョナサンが先に目を覚まして手早く服を着た。

「コリン、起きろ。もう朝練の時間になるぞ」
「ああ、ジョナ、足は大丈夫か?」
「少し痛むが、ケツほど酷くはない。そこで蹴ることはないだろうから、いいだろう」
「別にケツは反則にならないさ。やるやつがいないだけで・・・・サッカー選手はホモが多いから、そんなとこ突き出してボールを飛ばしたら気になって試合どころじゃなくなるだろうけど」
「俺はフォワードでいいのか」
「もちろんだ、しっかり俺の球を受け取ってくれ」
「俺はお前以外のヤツの球は受け取らないぞ」
「そう言うなよ。同じチームメイトだろう。誰の球でもしっかり受け取れ」
「わかった、受け取って蹴ることはする。だけど、中に入れるのはお前の球だけだ」

ジョナサンが歯を見せて笑った。コリンは彼の笑顔を見るだけで無性にうれしくなった。ジャッカル国との予選、負けることなど決してないだろう。


                                                  −つづくー



後書き
  久しぶりに書いた「ロード・オブ・サッカー」、ジョナサンがサッカー監督を演じた映画を見てすぐのためか、すっかりコリジョナの話になってしまいました。それにしてもサッカーは足元に球を入れるとか、ゴールに球を蹴るなど、想像力をかきたててくれる場面が多いです(普通の人はサッカーを見てもそんなこと考えないかもしれない)
2007、6、5


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