勇猛果敢な戦士として知られるスパルタ星人、意外なことですがスパルタ教育では軍事訓練

以外に歌と踊りが必須科目でした。集団行動に役立ち、仲間意識を高めるという理由からです。



クセルクセス率いる100万のペルシャ星人と戦うために、レオニダス率いる300人のスパルタ星

人がホットゲートと呼ばれる岩山と海に囲まれた狭い道にやってきました。ここをペルシャ星人

との決戦の舞台にする覚悟です。



「みんな、今夜はおおいに飲んで騒ぐがよい!明日の夜は地獄で晩餐会だ!」

「おー!、おー!、おー!」

スパルタ星人のレオニダス王が叫べば、皆、エールで答えます。宴の時には、子供の頃スパ

ルタ式に覚えさせられた歌と踊りが自然に出てきます。期待の星人、若いアスティノスとステリ

オスの踊りはそれはそれは見事なものでした。



若い2人が踊った後は、レオニダス王の出番です。明日は地獄にいるかもしれないので、一世

一代の素晴らしい踊りを見せて後世の語り草にしなければなりません。焚き火の前の空いた

スペースに王が躍り出ればそれだけで周囲は盛り上がります。赤いマントを翻し、皮のパンツ

1枚で隆々たる筋肉を見せ、力強く踊る王の姿にスパルタ星人は皆涙を流します。

「ああ、これぞわれらがスパルタ星人の王、我々はこの王のために喜んで戦って死を迎え、栄

光の時を分かち合おう」

激しく踊る王の汗は見ているスパルタ星人の顔にもかかり、興奮を掻き立てます。もう我慢で

きないと立ち上がったのはレオニダスの長年の恋人ディリオス、男ですが、王妃ゴルゴよりも

王との関係は遥かに長いのです。肩にかけた赤いマントをスカートのように腰に巻いて結べば、

貫禄のでてきた腹やたくましい太腿が隠れて可憐な娘のように見える、なんてことはありませ

んが、そこはディリオス@デイジー、どれほど意外でもその人物になりきって納得させてしまう

天性の演技力がありますので、王の前に歩み出て少し腰を動かしただけで、スパルタ星人の

間からため息が漏れ、生唾を飲み込む音がします。可憐な(?)恋人の出現に気をよくしたレ

オニダス王、さらに激しく、男らしさをアピールします。頭の後ろで揺れる王のみつあみがカワイ

イとふと思ったステリオス、でもそんなことを口にすれば他の星人から一斉攻撃を受けるので黙

っています。ディリオスは王に流し目を送り、たくましい足をマントの間からチラリと見せて誘惑

するように踊ります。スパルタ星人達は足踏みし、盛り上がっていると見せかけて余計なことを

考えないよう我慢します。我慢強さはスパルタ星人の最も大切な美徳ですから・・・



さて、レオニダス王とディリオスの踊りで盛り上がっている中、さらに盛り上げようと飛び出した

星人が1人いました。スパルタ軍の隊長です。ここでは悪役として、可憐な恋人ディリオスをさ

らう役を演じます。まず、ディリオスの前で盛んに男らしさをアピールする踊り、それを見た息子

アスティノス

「と、とうちゃん、じゃなくて父上・・・・これじゃ僕は恥ずかしくてスパルタ星に帰れない」

「息子よ、何を恥ずかしがっておる。明日の夜は地獄で晩餐会じゃ。恥ずかしがることなど何

もない」

そうはいってもまだ若く女の肌のぬくもりも知らないアスティノス、真っ赤になっていました。

それを隣で見ていたステリオスは、彼もなんてかわいいのだろうと、最後を共にするのは

王様とアスティノス、どちらがいいのかとうっとり考えていました。



「おおー!我らが隊長は素晴らしい!」

「あのディリオスを軽々と持ち上げたぞ」

なんと、隊長はディリオスを持ち上げ、強引に奪おうとしているのです。もちろんかなり貫禄

のあるディリオス、持つのは楽ではありませんが、日頃鍛えているスパルタ星人、重くても

顔には出さず涼しい顔で行うのです。



「待て、隊長!この王に逆らって彼を盗み出すとはいい度胸をしている」

本気なのか演技なのか、どちらにしろレオニダスの声には迫力があります。スパルタ星人

の歓声も最高潮に・・・王様と隊長の一騎打ちが始まるのです。真っ赤になって目を固く瞑っ

ているアスティノスのことなど、ステリオス以外は誰も気にしていません。そして、近くにもう

1人とんでもない侵入者がいたことにも・・・・



ペルシャ星人の王、クセルクセスはこっそりスパルタ星人の宴を見ていました。そして、足を

震わせ、部下に抱えられながらその場を離れました。夜が明ける前、クセルクセスは全将軍

に命令を出しました。

「すぐにペルシャ星に引き上げる!あのレオニダスとかいう王が率いるスパルタ星人、わが

ペルシャ星人の常識を遥かに超えている。あんな連中と戦って勝ち目はない」



後の歴史書によると、ギリシャに攻め入ったペルシャ星人は、ホットゲートでのクセルクセス

王の急病により全軍が撤退を余儀なくされたと書かれています。なんでもクセルクセス王は

高熱でその後1ヶ月もうなされて苦しんだそうです。他方スパルタ星人はホットゲートでペル

シャ星人を待つこと1週間、毎晩徹夜で宴を繰り返して騒いでいましたが、いつまでたっても

敵が攻めてこないのでしかたなく国へ帰って平和に暮らし、また次の敵に備えて軍事訓練と

歌と踊りの訓練に励みました。



                                   ーつづくー


後書き
 暑さとストレスで朦朧とした頭で書いたギャグですので、続くかどうかは未定です。ディリオスファンの方、ゴメンナサイの内容ですみません。

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スパルタ星人の宴(1)