太郎君へ 大西洋上「ラコニヤ」丸にて(航海第4日目のひまの時) 父より

これは御父さんが自動車を売ろうとする
ある外交官の人に 自動車の運転を
教えているところ
「ちょっとらくのようで むずかしいですな
左足のゆるめ方が どうもまだ
工合悪いですな・・・」「ああそこをそんなに
しては駄目駄目駄目 そうそうそうなんだよ
あ、僕は軍人で 言葉がどうも乱暴ですからね

太郎君達にやる御土産を買っているところ
「太郎君にはこれと、あれか?洋子には
何だろうな? お母さんは御土産なぞ
いらないというだがな・・欠のおふくろへは?
とても大変だ もう印ばかりにしておこうか?
「これは如何です?あれは如何です?
ベラベラベラベラ

出発前の荷ごしらいに働いているところ
もうこれで 大丈夫だろうが
ああ腹が空いた 空いた 空いた

夜遅く迄報告などを書いているところ
「これで大概はは終わったが もう又2時か?
太郎君へ手紙も遠のいたが 
今夜はもう止りー」