これこそ太郎君には 想像もつかない話だね

高い高いビルディングばかりがぎっしり立ち並んでいる「ニウヨーク」の下町 ブロードウェー
なんだよ 谷底のような道の真中 ぞろぞろ隙間もなく並んで走っているのは自動車、
道の南側に蟻のようにゴタゴタしているのは 身動きもできない程の人出のところなんだが
画にはかけないね、難しくって・・・
御父さんもこのむらがりの中にいるんだがとても見つからないよ
この道の下は地下鉄道が縦横無尽に走っている

これはラコニヤ丸 横浜で乗った船より6千トン大きいんだよ
お父さんはこれに乗り込んで イギリスのリバプールに渡る
外国人はあっさりしているので 見送り人なんて至って少ない
「テープ」を投げるものなんか 絶対にありやしない
しかし別れが惜しいってのか あちこちに泣いているものが
多いには驚かされる

太西洋
とても無事平穏な航海
「随分平穏じゃないか
これから思うと
来る時の太平洋は
ひどかったな」