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まず、知っていただきたいのが「たとえ発起人が一人で、その方一人が取締役となり、もちろん株主も一人であったとしても、発起人と会社は別の人である」ということです。
次に、発起人として、設立後の会社に金銭等を請求するために欠かせない、大前提についてお話します。まず、発起人の行為を設立後の会社に帰属させるためには
- 当該会社のためにすることを示し(顕名)
- 有効な法律行為(有効性)
をすることが必要です。
以上を踏まえた上で、本題に入ります。
1、 まず、定款の作成・認証など、全ての株式会社の設立にとって必要不可欠な定型的な行為(会社の設立を直接の目的とする行為)に関しては、定款の記載の有無に関わらず、発起人は成立後の会社に費用の償還を求める事ができます。
2、 次に、設立事務所の賃料や、設立事務のための従業員雇用に関する給料などを発起人が支払っていた時などに関しては、全ての会社にとって必要な行為ではないのですが、場合によっては、その会社にとっては必要な行為に該当します。そのような場合においては、会社は定款で定めた範囲内に関しては、設立後は会社の債務になるのであります。よって、発起人は定款に定められた金額の範囲内で会社に費用の請求をすることができます。
3、 そして、その次に問題になるのが、『財産引き受け』の問題です。財産引き受けとはたとえば、「会社が成立したら当該工場を買い受ける」など、会社設立後において、迅速に事業活動を開始できるようにするための行為であります。しかし、発起人は会社設立前において、設立後の会社に関する権限を持っていない為、原則的にこのような契約の効果は会社には帰属しません。しかしながら、定款に予め法定事項を記載しておくことによって、設立後の会社に効果を帰属させることができます。よって、定款に法定事項が記載されているときにおいては、発起人は当該財産引き受け契約から生じる債務の支払い義務を免れます。(設問の趣旨とは少し違いますが、一応ここに載せておきます。)なお、財産引受けの旨が定款に記載されていない場合において、後に会社が当該財産引き受け契約に関して追認する事も考えられますが、当該追認はできないとするのが判例です。
4、 最後に、上記3(財産引受け)にも該当しない行為によって生じた債権債務に関しては、定款に例え記載されていたとしても、設立後の会社に効果帰属することはなく、発起人はたとえ債務負担していたとしても、その負担を会社に対して請求することはできません。たとえば、発起人が広告代理店に対し、会社が設立する旨のの宣伝広告を依頼したとして、当該広告に関する報酬は、設立後の会社には請求することはできず、発起人が当該債務を負担しなければならない可能性が極めて高くなります。
このように、すべて発起人の行為が、成立後の会社に帰属するわけではなく、発起人は当然には会社に支払いを求める事はできません。
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