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法人格否認の法理と言う言葉、商法を勉強したことのある方であれば、一度は耳にしたことのある言葉ではないでしょうか。
起業するにあたって(特に一人で会社を設立する場合)、このような、判例上の法理があるんだなと言うことを、頭の隅に入れておいてもよろしいかと思います。とくに、昨年会社法が施行されてからというもの、たとえば株式会社においては、一人だけで会社を所持そして運営できるようになりました。ということは、登記をするだけで勝手に法人格が付与される(準則主義)の会社法制度上、実体は個人事業主であるにも関わらず、登記をするだけで株式会社の有限責任というメリットを手に入れてしまうことができるわけで。当該株式会社制度の濫用を招く恐れがあります。最低資本金制度が撤廃されたことも、当該制度の濫用に拍車をかける一要因となる可能性もあります。よって、当該法理は、これからいっそう注目を浴びる可能性を捨て切れません。
法人格否認の法理とは、『法人とその背後にいる人の間にある形式的独立性を貫くと、不当な結果となる場合に、その問題となる特定の(当該法律と第三者間の)法律関係につき法人格を否定し、会社とその背後にある社員を同一視させ、背後にいる人にも責任を負わせようとする理論』であると、一般的に定義されています。
そもそも、法人という人格は、私達自然人と違い、政策的な目的で付与された人格であります。であるからして、当該法人格が、法律の適用を免れる為に濫用されたり、全くの形骸化したものである時には、その法人格を否認されたとしても、不相当ではないのであります。
ちなみに、法人格否認の法理により、訴えが起こされる場合は、原告側(否認の法理を主張する側)が、立証責任を負うことになります。そして、それが容易でないとされていますが、一般の書証と違い会社の商業帳簿に関しては、裁判所の職権で提出命令をくだされてしまいます(原則、書証の申立ては、当事者(原告・被告)の申立てによって行われます)。
ちなみに、法人格否認の法理を適用されない為には、
- 取締役会を開く
- 株主総会を開く
- 名前だけの役員を置かない
- 公私混同をしない
- 役員を兼任する親子会社を作る時には十分注意する(債権隠しをしない)
- 会計規準にのっとった会計をする
- 資本を充実させる
- 会社利益を必要以上に搾取しない
ことなどに注意をする必要があります。
また、たとえば債権者を害する目的で、財産隠匿のために会社を設立した場合。会社設立取消しの訴え(株式会社には認められていません)や詐害行為取消し訴訟を提起される事も考えられます。そのなかで、法人格否認は、最終手段として使われる事が多いです。
ちなみに、法人格否認の法理が適用されたとしても、会社の存在全てを否定されるわけではありません。背後にいる会社所有者(株主)単独で、もしくは会社と連帯して債務を履行する義務が課されます。
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