境港から能登小木
島根半島地蔵崎
妖怪村を発見
地蔵崎は何十回も通っているがここに水木繁先生のゲゲゲの鬼太郎に出てくる妖怪に似た岩があることを発見した、この海域は暗岩や定置網が設置されていた近寄れないので気が付かなかったのだが。
これはあくまでも私の私見だが、水木先生もこの岩をヒントに妖怪を、
ねずみ男、子泣き爺、砂かけ婆、等など、キャラクターが並んでいる。
16:00 右舷のきれいな景色は今も続いている。新緑の緑が気持ちいい、岩の色も様々、
大岩壁、針峰、ルンゼ、小谷、船に座って自動で風景が変わっていく、飽きることがない。
地図を調べると「北長門国立公園」と記してある。萩港沖の繁盛した島は「大島」だった。
天気予報では雨が近づいているらしい、雨に捕まる前に島根半島を越えようということになり
須佐港に寄らず、船を先に進める。
18:00 高山岬を過ぎる、朝から続いていた美しい風景の山並みがこの岬で突然終わった。
海岸が奥へ引き、山は消え町並みが見え始めた。ここまで有った風景、北長門国定公園、
真に大したものです、楽しませていただきました。
晩ご飯は買ってきた弁当なので、楽して済んだ、艇長はアルコール消毒をしながらゆっくり
時間をかけてやられます。波0.2m 風見正面、6.3kt,このまま静かな海が続いて欲しい
ものです。
22:00 海上保安庁巡視船らしき船が右舷後方から来て真横やや下で同走する。20分程
して先へ行った。赤色左舷灯が船首に有るので普通の船とは違う。電灯の点きかたも
何か変な印象、赤外線スコープで調べて行ったんじゃないか。などと冗談交じりで話した。
暗い海に青白い光の塊が辺りに光り、灯篭流しの中にいるようだ。夜光虫が波で擦れて
光るのだろうか、幻想的でした。23:30寝た。
2017 H29 5/6(土)
温泉津港沖(島根県)→境港泊
6:30 起床。周期の長いローリング、夜走り艇長は朝食が終わって、パイロットハウスで
一休み中。自分も朝食を急いで用意、例のレトルト梅粥、パックご飯の残り、ソーセージ
たくあん、麦茶。美味しく食べれる、仕上げは新グロモントドリンク。この位のゆれなら
船酔いに耐えれるようだ。雨は止んでいる。
N35°33.473’ E132°56.479’ 西4m 波1.3m 6.3kt
明るい部分も有るが全天雲、雨雲は海まで下がり右手の島根半島がこま切れに見えている。
8:25 右横に島根原子力発電所が見える。高い煙突が2本、薄い水色に塗られた大きな
壁も有る、右には村が山の斜面に沿って有り、右に続く岩はゆるい角度で海に向かい、
最後は三つの島になり海に入ってゆく。
10:20 島根半島沖1nmを進んでいる。雨雲が海まで下がって霞のようにけぶっている。
スクリュウに絡んだ藻を外す。クローズホールド、メインセールで機走、5.6kt .
突き出した島に白い灯台が立っている、定置網の浮きも有る。山の稜線にはレーダードーム
やアンテナが立っている。
ここが七類港の入り口であることを聞く。中に入るとびっくりするほど立派な港だと聞かされる。
が見た所、島は有っても港が有ると思えない、どこにそんな港が有るのか不思議だった。
わからないまま進んでいってから振り向くと、白いドームのようなものが奥に見えた、
けっこうでかい。一緒に鋭い針のように尖ったものも有る。周りが美しい自然でその差に少し
異様な感じがした。特に尖った険は恐ろしく感じた。人間ならではのものだ。
そこに七類港があるのだろうだろうと思いながら過ぎる。
11:35 島根半島が終わる地蔵埼を回り込むと陸が遠のき、美保湾は靄がかかりいっそう
深く見えた。霞か雲か、少し左にしばらく忘れていた高い山の影がある。
これが山というものだ、自身に念を押す。すぐに艇長から、「大山の山や」と教えられる。
山陰の雄「大山」有名な山です、初めてお目にかかりました。
美保湾に入ると一気に境港が見えてきた。メインセールを下ろす。
すぐ近くなった右手の道路に沿って港をまたぐ橋を目指して進む、赤色浮標bQとbSを過ぎる。
水路状の港に近づくと、何とした事か昨日、萩港外にいたフランスの客船が接岸していました。
夜中に追い越して行ったのです、早いものです。
着岸場所を探しながら水路を行く、見物する景色が両岸に有って首を振るのに忙しい。
フェリー乗り場を過ぎた公園の先に廃船が有った、12:50それに横抱きして舫う。
水路を行きかう船の引き波で揺れるが外海に比べれば天国だ。
すぐに風呂と昼食に出る。とてもいい天気、少し歩くと境港駅だ、大きなビルがあり、鬼太郎ロード
も近く、おまけにGWなので大賑わいだ、そんなところで食堂に入りマグロ丼と しめサバ、
ビールが旨い。
風呂はフェリー乗り場のビルの4階に、いいのがある。どれも勝手の分かっている艇長のお勧め指南。
エレベーターで上がった風呂は壁がネオパリエ大理石で円筒の浴場は清潔そうで気持ちがいい。
のぞき窓のように切られたサッシからはフェリーの様子が丸見え、対岸も水路も見える。
ちょうどフェリー「しろしま丸」が出航する始終が見れた。いい風呂です。天国です。
風呂が終わると、艇長から鬼太郎観光を薦められる。艇長は船に帰り睡眠不足を充足する。
レンタル自転車で鬼太郎ロードを眺め鬼太郎資料館に入る。ガードマンが整理にでていて
とても賑わっていた。16:30に船に帰ると艇長の友人が来訪、あれやこれやの情報交換。
終わったところでコインランドリーまで乗せてもらう。その帰りにスーパーで買い物をして船で
晩めしにする。弁当、トビウオとぶりの刺身、イワシの煮付け、ビールにワイン。
ゆっくりじっくり食べる。
2017 H29 5/7(日)
境港→丹後半島の遥か沖(境港〜猿山岬間の40%)
8:15 出航、晴れ。境港から一気に能登半島の猿山岬を目指す最短の航路を取る。
艇長はこれを熟知していて、船は少なく島もなく魚も少なく、何も無い。沿岸を行くより良い。
これで決まりです。
天気情報は、能登沖風警報が出て波は3m〜2.5mとなっている。先が思いやられるが
艇長さんにとっては序の口なのです。
水路岩壁に「絆洋丸北九州」のセメント運搬船が、ガントリークレーンの前にもコンテナ船が
いる、沖待ち船も4隻いた。
8:50 ポートタックのクォータリー、波1m、うねり大。晴れて空は青いが周りはどこを見ても
薄い水蒸気でかすみ、大山もスカイラインだけが高く浮かんでいる。
10:05 コクピットの天井に縛ったラジオが全国の黄砂のニュースを報じている。
前から霞んでいるのが多かったのは黄砂の仕業だったのだ。この現実に興ざめする。
が、これも現代風情かなと思ってみる。
12:30 カレーライスと野菜サラダの昼食、アルコール消毒もやる。昼食後イルカが近くに
来た。でかいやつだ、左舷に二頭並んで一緒に走った。
15:00 7時方位からうねりが来て、右舷で膨れて山になり離れてゆく。船もこれに合わせて
ローリングする。小さな白波も出たり消えたり、こんな沖に海鳥が飛んでいる、数十羽いる。
ミズナギドリのようだ、垂直旋回して翼端が海面を撫でるように飛ぶ。波に突っ込まないで
上手いものだ。ところで魚をくわえたのを見た事がない、飛んでばかりでは腹が減る。
それと、こんな沖で時化た時はどうやっているんだろう、カモメは堤防の影に避難している
ようだが、誰か教えてください。
日が暮れて寄ってくる波の高さが大きくなってきた、大きいやつに乗せられると右舷から
ザーーッと音を出してヒール計は30度を超した辺りでしばし止まる。
陸から随分と離れた、ローリングだけの海が暮れていった。
2017 H29 5/8(月)
丹後半島の遥か沖(境港〜猿山岬間の40%)→輪島港泊
7:30 ジブを半分出す、続いてステースルも半分だす。ローリングが小さくなったようだ。
昨日からの追い波の高さがしだいに低くなってきたように見える、夜中は大変だった。
床の食料ダンボール箱が床を滑り左右の壁にぶち当たる、ペットボトル水8本入りは
ズシンと音をたてる。無防備だった食器かごは大きな音をたてて床に散らばったようだ。
前室で寝ていたが、手の施しがない事。と都合のいいように考え、そのまま寝てしまった。
今、食器群は全てシンク水槽に詰め込まれている。
艇長様、後始末対応しなくてすみませんでした。
昨日、ロングキール艇は追い波にも強い話を聞かせてもらった。艇長は回航仕事で
いろんな艇種に乗ってきているので真実味ある。この船がフィンキール艇だったら
この程度では済まなかった事だろうと想像して、このロングキール艇に感謝した。
感謝と言えば、この時間はGWも終わり巷では仕事が始まっている事だろう、この場に
居られることにも感謝する。
見れば、朝日の中に今日も元気に鳥が飛んでいる、強い鳥達だ。
16:00 陸の見えない海だけをの中を随分進んできた、陸が待ち遠しい。そんな時
正面に大きな白い船が右手方向へ行く。北海道へ行ってるフェリーだと艇長が言う。
思わず携帯電話を出して通信可能域に入ったのかをみる、が相変わらず圏外のまま。
16:50 1時方向に陸影を見る。富来 志賀町方面だろうか山のスカイラインだけが
薄ーく見えて来た、陸を見たら口元がほころんだ。
17:30 能登半島の上は青空でその下は雲が層になって埋め白い。その層の
上に雲と同じ白い色の月が有る。ほとんど満月に近い丸さだ。今夜は月明かりの
航海になりそうだ。見えている陸の影が近づき大きくなってきた。
18:50 遂に猿山岬灯台を右舷正横にかわした。海面から上4分が岩、そこから上は
木々に覆われ、灯台は7分目辺りに白くポツンと海を向いている。
この能登半島に取り付いたことで長かった航海も最終章に入った感がする。
岬を回り少ししたら風が正面から来る。ジブとメインセールを仕舞う。月は黄砂のせいで
超ぼんやりと黄色い、空と海は月明かりで見えその中間の陸は黒いシルエットになって
帯のように続く。海岸と思しき所に飛び飛びに灯りが有る、漁村だ。黒い中を車のライトが
動くのも良く分かる。
21:00 輪島港に着岸。明日、九十九湾に着いてから帰りの事など総合的に考えて
今晩は輪島に入る事になった。大きな漁港の東の端のプレジャーボートポンツーンに
舫った。先客のヨットが2艇いた。内側にニュージーランドの艇、外側に東京の艇。
共に40ft位の大きな艇だった。ニュージーランド艇は若いカップルで外側に着岸するとき
飛び出してきてロープを引いてくれた。
晩めしを食べに町へ出る、朝市通りに出てすぐに食堂が見つかり天津麺とキムチラーメンを
注文、ビールで消毒。美味しかったです。
石張りのきれいな朝市通りを歩いて帰り、マリンタウンで歯磨きトイレ、心静かに寝た。
輪島は大きな町だ。猿山岬を過ぎて暗くなると、輪島市辺りの上空が赤い。沖から見ても
明るく光る町はここだけで、先にも後ろにも黒い陸が続いていた。
黄昏の猿山岬、境港からダイレクト
禄剛崎
2017 H29 5/9(火)
輪島港→母港の九十九湾へ帰港。
5:00 起床 すぐに出る。この停泊地は漁船の引き波で揺れて評判が悪いらしい、なぜか今回は
静かだった。輪島を出ると山がまた始まる、稜線に自衛隊のレーダードームが見える。島根半島
にも有った、この地から日本海の上空を監視しているのだ。ちょうど北朝鮮が盛んにロケットを
日本海に向けて打っているので両基地とも緊迫している事だろう。
左舷には七ツ島が見える、小島が6つ読める。かねてからこの島巡りをしたいと思っていたので
見え具合が分かって良かった。
6:20 風が強まる、南東5m 波0.6m メインセールのみ。太陽は黄砂でぼやけて弱々しい。
朝食の雑炊を炊いている時に、リールが鳴った、2台とも釣れている。上げたら「ふくらぎ」だった。
50cm位で立派なやつ。さっそく艇長が頭を落とし腹も出す、自分がラップして冷蔵庫へ入れる。
「ふくらぎ」は富山県の呼び名で、他県では「つばす」と呼ぶそうです。
7:40 煙る緑の山の稜線に9基の風力発電機が回っている、その左下に谷をまたぐ大きな
コンクリートの橋。人間は上手にいろんな物を作っていくものだ、すごい動物だ。
波風更に強まる。
9:30 禄剛崎灯台に来た。右から続いていた山は低く平らになり海で終わるその手前に
白い灯台が建っている。背後は飯田湾へ続く山があり又高みを増している。
回り込んで九十九湾へ向かうと灯台の下に赤灯台と右へ続く防波堤が有る、狼煙漁港だ。
大きな港。、窓の無い高い建物は製氷棟だろう。
ランプの宿もすぐ先に有る。正面少し左には姫島岩礁帯の灯台がヨットのマストのように見える。
10:30 長手崎灯台を通過、海に突き出してスーッと立った白い灯台。
波0.6m アビーム 6kt。
飯田湾の南端を目指す、湾内の蛸島、珠洲市、軍艦島が小さく見えている。
南端に近づくとひとりでに小木港の赤灯台の有る防波堤が見えてくる、帰る九十九湾口の
左横手になる。
遂に遥々沖縄からここへ帰ってきました。最後は少々あっけなく終わりそうです。
12:25 firstwave号は静かな九十九湾のお決まりの場所にお決まりの舫いロープで
つなぎ終りました。
静かな空気、木々は入り組んだ海面まで茂り、しっとりした海。九十九湾です。
後始末をして、迎えに来ていただいた車に乗せて頂き津幡駅まで送っていただいた。
17:51発の列車に乗り家に帰る。帰宅時間帯なもので学生さんが多く、スマホとおしゃべりで
相変わらず平和な日本を感じました
ホームポート九十九湾蓬莱島
宜野湾〜能登九十九湾約1000マイル10日間の航海は終わった、沖縄は梅雨入りしたらしい好天気に恵まれ雨を避けながら時には大きくコース変更気ままな航海は無事終了した。
同乗されたNさんにはただ走るだけの航海で観光地も素通り申し訳なかったと思って反省してます。