翌日、御来光を見るために早くに起床する。天気はまだ晴れており、遠い東の空は雲海の下が真っ赤になりつつある。しかし太陽が出るか出ないかの寸でのところでまた雲が視界を遮る。えええ!

 ただ一瞬、御来光がその雲を真っ赤に染めながら照らす光景は見たこともない景色でした。本当にこれは南アルプスに登ってよかった二つ目の景色。

 しかしながら、この日以降下山するまで天気は恵まれませんでした。

 台風と前線の影響で3000m以上の標高では雨風がまだあり、特に風が猛烈で吹き飛ばされるんじゃないかってくらいで笑ってしまうくらいでした。この日の縦走は本当に泣きそうなくらいまた雲の中登っている自分がいました。前半は体力が回復し、持ち直すかなと思いきや9時間の縦走きつかった。ザックも前日から少し軽くしてもらっていたのに、本当に自分は体力無いなと。間ノ岳まではなんとなく登ることはできたけど、農鳥岳を登る時には内心、もう登らなくてもいいんじゃない?なんて思っていました。ただ、リーダーはじめ吉川さん、清水さんのおかげで登ることができました。登っているときはもう無心。ただひたすら登り、下り、そして無事に小屋まで着くことができました。2日目の小屋は水が使い放題、そして冷たいビール、マーボー春雨言うことなしでした。山から随分下りてきたこともあって、ほっと一安心。

 3日目は下りのみということで、神田さんが言うには全然、楽だよとのこと。ああ、3日目は楽なんだと思っていたら、吉川さんに3日目も大変だよといわれる。そう、3日目の下りはここ何日もの雨で塗れていて、岩だらけの下山の道は神経を使う違った意味でのきつさ。そして標高差はさほどないとしてもその移動距離が長かった。膝はガクガクし、途中途中の簡易で渡る人のことを無視したような丸太橋がいくつもあり、渡る時にはかなり緊張する。いっそのこと、沢へ落ちて泳いで下った方が早く奈良田へ着くかなんて思いながらひたすら歩く。

 しかし、この長い山道も終わりがあって、ダムを抜け、車道に出る。山の上はあんなに雲がかかっていたのに空を見上げたら青い空。

 登山口まで下りてきた時に神田さんと握手をした瞬間、帰ってきたんだ、そしてなんだか生還してきた気分になりました。

ずっと天気悪い上に、今まで登ってきた山はなんだったんだろうって思うくらいのキツさで正直、二度と登るかと思い登っても、一瞬だけ、夕暮れ、御来光、夜の星空の絶景を見ることができると山は最高だなと。そしてきつかったと思うことも
下山して温泉に入ってビールを飲むとその事は全く忘れてしまうみたいです。

 本当に連れて行ってくださった神田さん、吉川さん、清水さんには感謝しています。そしてお世話になりました。ありがとうございました。
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富士山の左側からご来光
神秘的な夜明け
間ノ岳頂上
農鳥小屋の名物おやじと歓談
農鳥岳頂上
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