V-04 オーディオと感性、組合わせの妙

 オーディオの楽しみは、音の饗宴に喜びを感じることだけではありません。懐具合と相談しながら、よりよい音響と癒しの場を求めます。音の饗宴に癒され、五官が満足する感性の世界です。耳で聴き、目でみて、触れて、においを嗅いで? ま、とにかくその存在そのものが快くなければなりません。いくら高性能のスペックでも、機器を前にしてほっとする癒しを感じなければ落第です。音であれ、デザインであれ、カラーであれ、重量感であれ、可動部の感触であれ、それらすべてが感性に快いなら満点です。

 愛機を選択する基準は人さまざまです。音質、性能、デザイン、カラー、大きさ、重量、ブランド、価格等々多様です。たとえばカラーにしても、Mcintosh やSansuiならいざ知らず、一時期ほとんどのモデルがブラック一辺倒になりました。趣味の品であるにもかかわらず、なぜこうも没個性なのでしょう。私は、ブラックが好きになれず旧カラー製品でしたが、いつのまにか周りも皆シャンパンゴールドに戻っていました。

 これ見よがしに、スイッチがごちゃごちゃとついたデザインも嫌いです。一度も使わないスイッチ類ばかりで、ユーザビリティとしても戸惑うだけです。これらをシーリングポケットに隠すと、デザインだけでなく操作もシンプルになって向上します。この点、Accuphaseのデザインは見事と言うほかありません。

 音だけなら、金銭に任せて評論家の激賞するものを集めたならまず間違いはないでしょうが、当人の感性にとってそれが最良のものかどうかは疑問です。自分の感性を信じるより、たぶんに評論家の発言に曳きずられる気がします。私は、自分の感性をたよりに快さを求めます。

 感性が養われるのは、環境と成長過程のhistoryにあり、あるいはトラウマになって、受け入れ難くなくなるものだってあります。イスラエルにとってのワーグナーは、まさしくその事例でしょう。私の時代は、フルトベングラーの後を継いだカラヤン・ベルリンフィルの全盛期と重なりますから、主要なクラシック曲はドイツグラモフォン盤で、高音域が不足気味で低音域が重厚ないわゆるピラミッドバランスになじんでいました。

 音質は好みによって異なることはもちろん、スペックとは関係しません。スペックとして表示された特性、周波数レンジや歪み率と、聴感上の音のリアル感や好ましさは別物で、私は測定機器より聴感を重視します。聴感上の厚み、肉声感、生々しさです。ハイクォリティには物量投入も必要ですが、価格とクォリティは次第に乖離します。リファレンス機器の設置や結線をつめるほど、繋いだ機器の個性が現れますが、難しいのは、機器固有の音なのか組み合わせによる結果なのかの判定です。

 組み合わせの面白さを、最近の体験しました。チューナー接続は、エアーチェックに備えてメーンシステムに加えて、TRIO KT-1100→LUX L-540→ Victor FX9でした。レコード主体のシステムで、アコースティックな音にチューンしています。これで聴く限り、FMの時代は終わったと判断していました。録音したくなるようなソースもなくなり、深夜のBGM用サブシステムKT-11 00→ Accuphase E-305→ KENWOOD LS-11ESにつなぎ変えました。すると、驚くほど音が生き生きとして、硬さのない厚みのある実在感はまだまだ立派なオーディオソースです。 はてな?
 
  音響機器とは、何をもって評価すべきなのか?原音信号には、楽器からでた直接音と、演奏(録音)会場の反響音である間接音が収められています。これらの音をピックアップし、増幅されてSPから放射されるまでに付加される音は、すべて雑音です。これをゼロに近づけることがSN向上であり、音響技術展開の歴史です。

 ところが、LUX L-540には、きわめて微かなエコーが付帯するように感じます。アンプに付帯音は不良評価とされますが、濁りがないと音楽がリッチに聞こえます。小さな部屋が、響きの良い演奏会場になるのです。オーディオとは音の饗宴、豊かな音を愉しむことです。コンマ何秒かの残響時間は、ライブホールの音響としても重要です。一方、深夜に聴くMin音量条件では、付帯音や濁りなく通る音質が快いのは、聴くことに集中する緊張が避けられるからでしょうか。歪みがあろうがなかろうが、感性のすべてが身をゆだねる音の饗宴、これこそオーディオです。
                                      10th.Jan.'05原文、Dec. 2012加筆
FMチューナーが加わった深夜用サブシステム

 両アンプともクォリティはほぼ同等、同年代、同価格帯の製品です。LUXアンプはきわめて微かなエコーの様な付帯音を感じますが、濁りがないのでクラシックで好ましい響きとなります。フォノ系のクォリティはL UXが上なので、これをメーンシステムとしています。

 SPはいずれもハード系カーボン繊維振動板ですが、クォリティとしては大差。にも拘わらずらず、FM放送が新鮮に聴こえるのか?小口径がFM周波数特性にマッチするのか、端子によってアンプ回路のできが違うのか、Accuのライン増幅系が優れているのか、あるいは、少し離れて聴くメーンシステムと、ごく間近で聴く夜間用サブシステムの違いなのか?
FMチューナーが加わった深夜用サブシステム