V-07 手強いスピーカーのセット
メインスピーカー、VICTOR SX-900 Spirit が部屋に落ちつくまでには、アクシデントがありました。異常な寒波来襲で、連日の降雪、時折吹雪といった日々が続き、幅員15m道路が対面交通不可能な一車線道路になってしまいました。ショップには1週間刻みで発送を遅らせるよう依頼していたのですが、手違いで発送された、 SX-900 Spは、哀れ厳寒の倉庫で10日あまり放置される羽目に……。
氷点下10度の外気に晒される倉庫で、風邪を引かぬか心配していました。やはり結露はひどい状態で、開封するなりエンクロージュアからもユニットのフランジからも、全身から一日中鼻水を垂らしておりました。急ぎ中からも暖めようと、換気しながら通電。冷え切って凍結したユニットは、ほとんど音らしい音になりませんが、それでも夕刻になってやっと生き返ってきたようです。
それから数日、セットをいろいろ変えながら試聴を続けました。連日の音だしは、連続通電によって中から暖めようというわけで、内部ネットワーク配線等の結露や水滴を残さないよう乾燥させるには、こうするよりありません。3日目になって、やっとこれだという音を出し始めました。
使用中のFX-9とは少し表情が違います。FX-9は、高域が明るく溌剌とした音調ですが、SX-900 Sp.は、ハイ上がり傾向が押さえられているのか、落ち着いた大人の味わいです。中域が充実してナチュラル、低域が素直に伸びています。しかし、聴き較べて感じたことは、FX-9はこれにに劣らず、再生帯域が広く感じられ、若々しい魅力があります。そこで、入れ替えで放出予定だったFX-9も残すことにしました。
SX-900 Sp.は、なかなか手強いスピーカーです。低域の出方がちょっと変わっていて、ズシーンではなく、深く沈むズシーで終わり。低域がかなり深くまで伸びていて、しかも末尾がすっと消えて、ンがないのです。
independent baseと呼ばれる、独立した木柱インシュレーター構造の専用台が付属しています。この使いこなしと、低域コントロールに苦労しました。
木柱インシュレーターにはフェルトが付属していましたが、体験上フェルトの音響効果はマイナス評価しかなく、最初から除外しました。木柱インシュレーターと床との間に、SS400鋼11mm厚、径20mmの自作インシュレーターを挟んだり、取り外したりと試行錯誤しました。結果的には、スピーカー底面と木柱インシュレーターとの間に自作インシュレーターを入れて正解。低域のバランスも整いました。
SX-900 Spiritは、背面に小さなダクト孔があるバスレフタイプで、背面に空間が必要のようです。奥行き90cmのシナ合板の上に、放射状に設置していますから背面スペースは十分です。2スピーカーは、音楽ジャンルによって使い分けます。オーケストラ曲等で、両スピーカーを並列駆動すると、違和感なく一体となって音像が散漫になることもなく音場が拡大します。
09th Feb.'06