V-10 フォノイコ導入、二系統入力で相互干渉
Musikfest AE506Nは、全段FET無帰還CR型、DENONモデルの優れたイメージが重なります。Musikfest EQAは、ヘッドアンプ内蔵型MC専用モデルが先行し、MMにも対応できるよう、二段電源スイッチでヘッドアンプ部を分離可能としたのがAE506Nです。私のはスイッチとヘッドアンプを省略したMM専用機、型番名は AE506MMです。
昇圧トランスはMICRO MT-500。セット当初、予想外の落とし穴が待っていました。 MT-500には、ハイインピーとローインピーそれぞれ専用入力端子がありますが、切り替えSWはなく、2基のプレーヤーを繋ぐと二回路の信号が並列入力されます。
演奏中に使用していない側のカートリッジを外したところハウリングが発生したことがあって、使用していない側のカートリッジがショートピンの役割をすると考えていましたが……。
なんと、帯域は狭くメタリックな音! 質問とアドバイスとを相互メールでやり取りしながら、4日間悪戦苦闘。忍耐強くアドバイスを続けていただいたMusikfest 徳久誠一氏は、技術者であると同時に素晴らしいお人柄です。私の我がままにも拘わらず、最後までご指導いただきました。
スペースファクター優先でプリメイン使用も、高度なフォノイコ性能を求めるのは無理と判断し、外付けフォノイクォライザーを導入を決断しました。ターゲットは、かつてDENONで体験した良質CR型です。WebでリサーチしてM usikfest AE506を見つけました。試聴なしの不安はあるものの、HPの解説コメントからは高い技術を感じさせ、造りの良さと高い性能がうかがわれます。
メールで質問。「AE506NはフォノアンプでMC優先のようだが、トランスを介したニュアンスを生かしたい。MM受け専用で使用できるか。また、MM専用としてヘッドアンプを省略し、スイッチを一段とするオーダーメードは可能か、価格はどうなるか。」丁寧な回答がありました。以下、要約です。
「MC/MMの切換えは初段FETのゲイン切換えによる。MM専用とした場合は、信号通過接点を1箇所減らすことができる。周波数特性 Energy flatのときは介在接点なしとなる。MM専用機作成は、せっかく問い合わせいただいたので同価格とします。」
MM専用機のオーダーメード依頼と、気がかりな点を質問。「スペース不足をカバーすべく横倒しセットしたい。問題はないか。問題あれば後方空間にセットし、AE506の操作はスイッチ付き別電源としたいが……。」
回答は、「横倒しでは、機器および音質に対し若干の悪影響がある。アンプ電源部が完全LR分離となので、横倒しでは左右チャンネル温度不均衡で、半導体や電解コンデンサが影響を受け、左右不一致となる。次第にアンプ部の応答にも左右の不一致が生じ、音像のシャープネス等が低下の恐れあり。何とか場所を確保して、水平かつ安定に設置する方策をとっていただきたい。スイッチ付き電源は、漏電ブレーカー内蔵タイプなどコイルが用いられていると音質を劣化させる。シンプルな構造が良い。設置は他の機器の電源トランスから離すように。ハムを拾わなくても、微妙に音質が劣化します。」
ついにお手上げ状態となって、返品の意向を伝えました。すっかり落ち込みながら、寄せられたメッセージに目を通して……「エージングも必要で、結論は焦らずに……」、「どのようなオーディオ製品・楽器の名器も一朝一夕で使いこなせるものとは、考えておりません。ましてや、今回は弊社の意図を反映しない、ステップアップトランスを介在しています……」 。トランスを前提にしていない!この言葉はトランスに起因する問題を想起させ、もしや2系統入力が相互干渉か! 高感度であればあるほど、強い影響があるかも知れない……!
ハイインピー系カートリッジラインをMT-500 とAE506MM に繋ぎ、一方のローインピー系ケーブルは取り外してL-540アンプのMC端子受けのシンプルな結線としました。結果、新システムから、中島みゆきが微妙に震えながら歌う「雪」、20年ぶりに聞くことが出来ました! 曲を変え、低域まで良く伸びた、豊かに拡がる繊細なハーモニーに心ゆくまで浸りました。
スペースファクターばかり考えてガラクタを詰め込む悪習、反省です。回路はシンプル・イズ・ベスト。理想のシステムとは音源からスピーカーまで、1系統一回路。接点端子は最小、それがベストです。
4th.Nov.'06