2010年の春、景気浮揚策としてエコポイント制度が継続することになり、家電量販店の決算折り込みちらしに釣られました。 家族内TVチャンネル権第3位の私、好きな自然紀行や洋画は地デジで多く、SPの間に設置のパーソナルユース28型ブラウン管TVでは見られなかったのです。

 SP後方への出入り自由な32型液晶とすればメンテは容易、音にも良いだろうとの浅はかな思いは裏切られました。横幅の広い
ブラウン管は打診音が綺麗で、両側方向のRが音響的には良かったようで、液晶となって左右と奥行き方向の音場バランスが失われました。

 液晶パネル下部のTV台はシナ合板製で、レコードラックを兼ねています。これを、パラゴンをイメージしたデザインでRのある木製反射板で蔽い、音場を整えようともくろみました。材質は堅めのナラ材、採寸、裁断、そして難関はほぞ組加工で、36mm程の厚手の反射板ベースに20mm程の深さでRのついた溝を彫り込む、またまたノミと金槌の木工作業です。

 横に大きく拡げようか、TV下部を蔽うだけにしようか迷いました。バッフルから回り込む音を前方に反射拡散するのが目的ですが、同時にSP後方からのバスレス効果も意図して、少し隙間のできる大きさとしました。反射板ベースにはアジャスター付きキャスターで、僅かに仰角セットして壁面との平行面をキャンセルしました。外観はパラゴンならぬビヤダルか ^_^; しかも定在波と不要振動が発生するようで音に濁りが乗ります(画像1)。

 定在波対策として、良質ウール綿吸音材を探したのですが得られず、やむなく建材用グラスウールを敷き詰め、共鳴振動のダンプは、鉛インゴットで抑えることにしました。手持ちの3kg程を反射板裏面下部にセットし、ネット検索の錘資材店で、1個500gの小型鉛インゴットの在庫すべてを買い叩き、これを登山用の強力のコンロで熔解して前方左右各1.5〜2kg程。これで、音が澄んで、左右と奥行きの広がりと一体感がでました(画像2)。

 反射板の隙間から垣間見えるグラスウールの棘は、触れるとチカチカします。気管支疾患の持病に良くないだろうと、無数の小孔のあるポリ袋のままセットしました。さらに、反射板裏面をブチルでダンプすることも考えましたが、効果より、むしろべたつく弊害の方が大きかろうと、これはパスしました。
V-20 ビヤダル・パラゴン音響反射板

 これらの対策で問題点8割方解決しましたが、以前の開放感のある明るさから、低域寄りの温和しい方向にバランスが変ったようです。SP後方に敷きつめたグラスウールの影響かも知れません。音場は一体となり、フルオーケストラのトュッティではスケール感が増すものの、低域よりにシフトしたことで分離能が低下します。後はセットの詰めと手をつけましたが、中央音像の定位と左右の広がりとの両立が難しい。最良のバランス点はSP中心軸間隔120c mあたりらしいが、4SPの合成音場調整は至難で、なかなか最良点に収まりません。

 SX-900 Spiritと手製SPベースの合計は70kg程度ですが、静止摩擦はバカになりません。大きく動かすよりむしろmm単位の移動が難しい。掌で横からドンドン叩いてずらしていたら手首が痛くなり、足の裏で蹴ることにした。1cm程度動かしてはレコードをかけ、ヒアリング位置で音像が揺れないか確認。時には寄りすぎて中央で低音が爆発的に大きくなったり、そこでまた、足蹴り……^_^;

 部屋全体の整音のため、不要物を一掃することにして手始めにディスクトップPC他、サブシステム周辺をすっきりしました。さらに新兵器登場、野蚕絹で作ったというオーガンジーなる薄絹で液晶画面を蔽ってみました。絹は全帯域にわたって音の吸収が大きいようで、ピークが消失します。これで液晶画面だけを蔽って、下部はビヤダルパラゴン反射板の裏に落とし込んでみました(画像3)。湾曲した反射板の裏面空間と、TV台兼用レコードラックで生じる共鳴と定在波が抑えられ、明るく軽やかな前方反射音響となっていい感じです♪

 さて、成果は? 深夜になって音を絞ったとき、明らかな音質差が出ました。 微少音量に絞っても遠近感と奧でかすれるような弦がしっかり出ます。音場の透明感とかSNとか、そのあたりが向上したようです。どの対策が効いた結果なのか、薄絹効果か、ビヤダルパラゴンのせいか、グラスウールによる定在波対策効果か、あるいは部屋の不要物を放出して、空間容積増が寄与したか?
                                                   01st Apr. '10