V-24 熱闘…後、振り出しに戻った (-_-;
使用ケーブルは90年代ブーム期の中級品をチョイスし、加工して好みの音質に仕上げています。中央側SPにはFURUKAWA μS1とACROTEC 6N-S1030単線のW使用で、ACRO単線を導体芯部に位置させた一体構造。μS1単独ではPCOCC材の癖があり、HiFiで分解能は優れるが神経質な鋭い高域は好みではない。
6N-S1030は中低域が充実し、高域には微かに快い艶がのる。SP支配力もあって高域に癖を持つシステムにマッチします。欠陥は、単線表面が短期間で酸化膜で真っ黒に変色すること。この単線を導体芯部に位置させて一体化すると、低域が伸び、高域は癖を抑えて滑らかになります。HiFi調や神経質な高分解能でなく、さりげなくバランスした広帯域再生。μS1後継モデルはこれと似たTRI UMPH構造導体を開発しており、同じ問題意識があったか?
外側SPは高域が良く伸びて、これを活かすことで左右に広い音場を形成します。ケーブルはortofon 6NのSP用に加えてマイク用ケーブルとWです。中級価格帯のオーディオ用ケーブルは、低コストで聴感的な分解能を感じさせようとするためか、ともすると線が細く神経質と感じます。導体素材特性を吟味したW結線では電流の余裕が生まれ、この様な欠陥が軽減します。1歩間違えると低域寄りバランスとなって、重く暗い音になったりします。
一昨年あたりから耳を患い、高域聴力低下が気懸かりなことと、 ACRO単線の表面酸化がかなり進行しているので、これは取り去った方が良いのではないかと考えました。しかしその結果、何の因果か一週間ほど灼熱地獄の戯れとなってしまいました ^_^;
一体構造導体をばらして、μS1の高域の癖を緩和して音質調整しようと、端末にOrtofon8N素材を加え、従来から使用のAcrot ec 6N Yラグを取りつけて完成。結果は、何と超ハイファイになったが、高域の神経質なPCOCCの癖はむしろ強まった。使用したオーディオ用高音質ハンダの影響かも知れない。聴力が低下したのは感度であって、音の識別能は15年前と変わっていなかった。
一体化ケーブルは、一旦ばらすと後戻りは難しい。両ケーブルの長さを揃える必要があり、しかも単線は工作すると折損する。両端ハンダ部分をカットすると最低でも5〜6cmは短くなります。そこで、次善の策として、SPバナナ端子利用で複線ライン結線としました。高純度素線を巻き付けハンダ細工でバナナ端子もどきを自作。元に戻したつもりのもくろみは脆くも崩れ、エージングが進むほどに、低域が度を越えて傲然と鳴り始めた。独立複線導体の御利益か、端部に細工した高純度銅と高音質ハンダの影響か、過ぎたるは及ばざるがごとし。二度目の試みもあえなく挫折…… ^_^;
ついに決断して、『振り出しに戻る』ことにした。真夏の室温30度超、湿度65%、ハンダは地獄の工房作業!せめてもの慰みに、要所で撮影と、最後にシース化粧まで。リニューアルモデルμS1- ac ro誕生(笑) 以下説明省略、画像参照。戻ってきた爽やかに癖のない音、少しフレッシュになっていい音だ〜 ♪ 30th Aug.'12
再生のつめも最終段階、原点に戻ってSPケーブルを見直しました。90年代半ばから、音質改善と音場再生がテーマとなり、ケーブルにもこだわります。反応の良い分解能やHiFi感、あるいはどっしりしたピラミッドバランス等、導体は聴感特性を決定づける重要なパーツとなります。素線材や導体断面積、あるいはケーブル構造、近年は高周波ほど導体表面を流れるという表皮効果にヒントを得て、好みの音質に工作します。
めざす再生は、ボーカルが中央部に定位し、オケやバックバンドは横幅一杯に音場を形成すること。これが、4SP並列駆動とビヤダルパラゴン音響反射板、WAC駆動の試みに行き着きました。現状システムの原型完成が2004年、ケーブルはそれ以前から同じで、不満を感じることなく時折端子を磨いて使い続けてきました(画像1)。
画像2、μS1導体の中心にポリエチレン紐が置かれている。当時、これを不思議に思って開発者の根岸氏に質問した。太い導体を使用する場合、表皮効果の影響で低域寄りになるのでPE紐でバランスをとったとの由。
私の発想は、この紐とほぼ同径のACRO単線銅と置き換えるとどうなるか?やってみたら、云うこと無しのドンピシャ。癖のない求める音質になったのでした。