V-26 Audio My Trial 総集編U

 あるとき、地元ショップのハイエンド機器試聴で、音の粒子が天空に舞い、身を包まれるような音響体験をしました。audioに求める理想はこれだ!と、それらの装置とは較べようもないチープな環境とシステムで、イメージする理想音響を求めています。

 当時は、SPケーブル市場華やかな頃、高額モデルが覇を競い見応えのある太さと純度を謳っていました。自分も少し気張ってSPケーブル更新や、よりローコストなシェルリード線のハイグレード化を試みました。ortofonの最上級モデルを数セット入手し、カートリッジとの組みあわせで端末チップのカシメ圧着破損の憂き目も ^_^; 理想のイメージに至るには、シェルリード線もSPケーブルも導体として理屈は同じだろうと、高級リード線ビルダーから購入の機会に、自分のイメージする太いリード線の特注相談。これはさらに高額との回答、リード線もexpensiveなパーツになります。

 2009年、ついに自作しかないと、シェルリード線工作を始めました。当時の自分は、導体と云えばSPケーブルの一般概念と過去の試み以外、リード線についてはほとんど何のノウハウもなし。当初は高純度素材と高級ハンダで、高級SPケーブルのイメージで極太リード線工作、導体直径2mm超という強者も!これは低域しか出ない重い音、しかも取扱に難ありで、モニターを依頼した方から酷評を浴びました ^_^;

 導体としてロープ状撚線(twisted)は必要悪で、バラ素線では多本数の工作管理ができませんから、最も容易でローコストな手段です。ケーブルは扱う電力が大きくなるほど導体断面積(太さ)が必要ですが、太くなるほど導体の剛性が高まります。リード線の様な可撓性を求められる用途には不向きです。リード線に可撓性を求めて試みるうち、編線(weaved)がひらめきました。

 同素材を同本数構成で、編線と撚線のリード線を比較試聴し、編線は帯域と空間表現で勝りました。微かなエコー効果もあり、以降、編線に拘ってリード線試作しています。大ホールでのアクースティックライブ演奏ですら、座席位置に拘わらず好ましいプレゼンスを得るため電子的に制御した音響を付加し、ボーカリストの歌を快く聴かせるには声質の似たバックコーラスを加えます。

 撚線は、素線相互が線状に接し、電流はスパイラル状の素線束の撚りに沿って流れるだけでなく、素線間を横跳びして、あたかも迷走電流かアーク放電のように流れます。しかも、これは貴重な高域情報成分です。編線の場合は、各素線形状はS状連続となり、素線間相互は点接触、撚線で生じる問題は僅少と考えます。

 単線が良いとの見解については、自分は頷けません。かつて6N-S1030単線SPケーブルを使用して高域が伸びず、μ導体と複合して満足した体験があり(V-24)、後にこれが表皮効果と知りました。表皮効果は、高周波で云われる理論で、μーS1の設計者根岸邦夫氏からオーディオ帯域でも影響することを教示されました。高周波となるほど導体表層を流れる理論(表面からある深さをもったドーナツ状の一定の深さの範囲を流れる)ですが、理論概要は次ページを参照願います。

 単線は、大電力を扱う場合か特殊な音響マニアが愛好するかも知れません。単線は相対的に低域電流比率が大きいため、低域情報エネルギーは大でパワー感があります。音楽ジャンルとして、電気増幅による大音量、重低音、または芯のある音、ステージイメージや空気感より直接音を求める場合は、有効です。逆に高域情報をいかに伸ばすか、それは音として感知できなくともaudio帯域20kHzを超えた振動まで快さとして感知します。
 
 リード線企画の際、導体構造が周波数に及ぼす音質傾向の推定指標として、表皮効果の影響を応用します。表皮深さの面積は導体の太さによって違いますので、導体表面積を代替値とみなして以下のような簡易計算を行います。直径0.2mm素線10本束導体の例では、導体断面積(CCSA)は1/2πr2×本数で、およそ0.314mm2、導体表面積(CSA)/1mmは、6.283で、CSA/CCSA比は20.0となります。単線では、直径0.632mmで等しい導体断面積となり、導体表面積/1mmは1.985、CSA/CCSA比は6.32にしかなりません、これは、高低帯域の偏りバランス指標となり、およその音質傾向を推定できます。リード線を試作する度に、これら数値と聴感評価との相関データを蓄積し、完成形を実案登録(第3174968号)しました。                17th. Mar.'15