太郎君へ 3月4日 ワシントンに於いて 父より

これは お父さんが数の子をわざわざ取り寄せて それだけむしゃむしゃ やらかしているところです

 とてもとてもうまいな 一ト丼くらい 訳なく平らげてしまうな 「正月にはいい数の子でもお送りしましょう」なんて太郎君のお母さんはお口振舞だけだったが

これはお友達を連れて「ドライブ」したある
時の出来事
「止まっているところへぶつけるなんて
不都合の奴だ よっぱらいか何かだろう
おい栗林君 損害賠償 出させろ出させろ
「やい、こら どうしたってんだ!
信号が見えないのか?」
巡査さん 「うん大した損害じゃなさそうだから
勘弁してやりなさい」

あっ止まらない!
遂々ぶっつけた
日本人だ

御父さんは何時も
遅く迄 勉強しているのだよ

「これを3月中に終わらないと
とても忙しくなってしまうぞ
「5月、6月は ロンドン パリ
ベルリンか そして7月は
日本と ああ 嬉しい嬉しい
「太郎君は大きくなったかな
お母さんは洋子に
まだ乳を呑ましているなんて
やせたんじゃないかな
洋子はお父さん初めて見る時
どんな顔をするか知ら・・・