世界でもっとも有名な戦場写真といわれる一枚の写真があります。
AP報道員ジョー・ローゼンタール撮影の「擂鉢山に星条旗を掲げる6人の兵士」です
のちにピュリッツアー賞を受けたこの写真が撮られた場所は、硫黄島の擂鉢山でした。
輝かしい勝利の映像がAP通信の写真として世界中に伝送されました。
ポールを押し立てて国旗を掲揚している6人の映像は、2月25日、日曜日の朝、
数百万のアメリカ人が同様にその映像に釘付けになりました。

のちの人々がケネディ大統領の死を忘れなかったように、その写真を見たとき自分がどこにいたか、人々はいつまでも覚えていました。
敵国の領土に国旗を立てる行為は、勝利と占領の宣言です。
硫黄島のすさまじい戦闘の様子をニュースで逐一知っていた米国民はこの写真を見て
多大な損害と犠牲の末にもたらされた勝利に熱狂しました。

国旗掲揚の写真は勝利と希望のしるしとなり、4年前に敗北と恐怖のしるしとなったパール・ハーバーで沈んでいく船の写真とは対極の存在になりました。
1945年7月11日に発売された
 硫黄島の3セント切手
 1億5000万枚以上売れました
一種のイコンとなったこの写真は切手になり、また戦後には巨大なブロンズ像としてワシントンのアーリントン国立共同墓地の横に建立されました。



軍戦勝記念壁画
 硫黄島の北部部落付近の岩壁に掘られた壁画です
撮影 平成7年(1995年) 宇野 昌史

2006年8月20日 この写真でピュリツァー賞を受賞して、アメリカ人に勇気を与えた
AP通信カメラマン「ジョー・ローゼンタール」氏は、94歳で亡くなりました。
ご冥福をお祈り申し上げます。
年末公開の映画を見ることが出来なかったのが、残念でなりません。