犬の壊死性髄膜脳炎(パグ脳炎)の病態解析
もう1つだけ記載させて下さい。
非化膿性壊死性髄膜脳炎 (Necrotizing Meningoencephalitis)
パグ脳炎 (Pug dog encephalitis)
カラー遺伝子による危険な交配とは全く違いますが、致死率が非常に高く、治療法もなく、成すすべなく死んでゆく恐ろしい病に付いて紹介します。
パグの発症が多い為に「パグ脳炎」と名付けられておりますが、ヨークシャー・テリアやパピヨン、マルチーズ、シー・ズー、フレンチブルドッグ、ポメラニアン、チワワ、ペキニーズにも発症が確認されております。
突然倒れたり、痙攣を起こしたりと言った水頭症や癲癇の様な症状を起こしたり、性格が変わったり、四脚に麻痺状態が起こったり、原因不明の白血球増加や金切声、盲目、意味の無い旋廻、失禁、傾斜を起こします…
発症年齢も非常に若く7〜8ヶ月から5才程度(7才の発症例もございます)まで。
突然発症し、数日から数週間で亡くなってしまいます。
原因は解明されておらず「遺伝」、「ウイルス」、「自己免疫疾患」ではないかと言われております。
限られた犬種だけに発症する為、遺伝的素因が関与されていると推測されるる方も多くおられます。
ただし、血縁関係のない同居犬同士が相次ぎ発症するケースも見られますので環境的素因が関与されている可能性も否定は出来ません。
ウイルスによる感染症である可能性すら捨て切れません。
どの様にしても、原因が分からない限り、決定的に防ぐ手段もない恐ろしい病であることに変わりはありません。
専門の設備が整った大学病院等で脳髄液検査やMRI検査を受けないと正式な見解は得られません。
ステロイド(脳の炎症を抑える)や免疫抑制剤、抗生物質(免疫力低下による感染を抑える)やフェノバール(癲癇発作を抑える)による治療が一般的ですが、緩和的治療であり、現代医学では完治することはありません。
悲惨な病です。
原因も治療法も解明されておりません。
私達は遺伝の可能性も高いと考えておりますので、パグ脳炎を発症した血統は問答無用に一切排除するべきと思います。
又、感染してしまった子には可哀想で申し訳ないのですが、該当犬種の飼育者とワンコは発症したワンコに「近寄らない」「犬具、毛布、該当犬に触らない」など心掛けて下さい。
わずかな可能性でも有るのなら、細心の注意を払い、危険から身を避けるべきです。
大切な我が子を守るのは、彼方の義務なのですから。
2008.4/21
パグ脳炎に関しての国内第一人者である東京大学の松木准直章教授より、
- 4.17付「犬の壊死性髄膜脳炎(パグ脳炎)の病態解析」と言うレポートがアップされております。
ご興味のある方、パグ脳炎を研究している方など是非ご拝読下さい。
2008.10/28