U-02 Audio Maker Impression
  国内オーディオメーカーの数々と栄枯盛衰、時代とともに変遷するオーディオの流れを振り返ると、そのオーディオ製品から受ける印象を通じて、メーカーのポリシーを感じます。あこがれのハイエンドから手頃な製品まで、試聴したり手元において愛用して、そこで感じたまま、独断と偏見の評価となります。もし、メーカーの方がご覧になっても、お怒りにならず虚心坦懐に受け取っていただけたら幸いです。

TRIO (KENWOOD)
 明瞭で弾力に富んだ溌剌とした音。かつては通信機とAMPが主力で、特にTUNERでは絶対の信頼と高性能を誇り、オーディオ専門メーカーとして気合いが入っていました。KENWOOD になって以降、次第に普及型システムコンポ中心にシフトしたようで、この戦略が成功か失敗か、いずれにしてもわが国オーディオの栄枯盛衰の移り変わりを映しているような気がします。個人的には、TUNER, AMP, ADP, SPを愛用しました。

日本COLOMBIA (DENON)
 重厚で安定感のあるピラミッドバランス基調、低域の重量感が音楽性に深く関わるとの信念があるようです。NHKとの通信機・録音機の共同開発で培った技術力と底力は侮りがたく、作りは堅牢で故障が少なく、機器への信頼感は高いものがあります。個人的には、AMP, ADP,CASSETTE DECK等で長いつきあいとなっており、 CDPは2代にわたり愛用中です。

日本VICTOR
 わが国の家庭に、ステレオといわれる音響製品を普及したことでは最も貢献したメーカー。音楽性と新技術とのバランスがよく、快い美音を奏でます。おそらく測定器の判定より、試聴による音の練り上げを重視しているのでしょう。何をとっても、製品の作りと仕上げの美しさは特筆もので、コストのかけすぎかも。飛び抜けた評判の製品が少ないのは、誰もが親しむブランドをマニアが敬遠したか。個人的にはSPを愛用中です。

LUXMAN
 オーディオと聞くと、時に鋭く鋭角的な音をも連想しますが、LAXと聞くとほのかにエコーを感じるなめらかな音とパッション、温度感のある癒しの音を連想します。TUBE AMP, A-class AMPで評判をとった製品群のイメージは、そのまま現在の製品にも引き継がれています。こだわりの強いメーカーで、それだけに評判をとる超一流品をだしたり全く評価されなかったり、気まぐれな時代トレンドに翻弄されています。ただ一つの欠点は、奇をてらったとしか思えないデザインが多く、それがユーティリティの悪化につがったりします。個人的にはAMP, ADP、フォノイクォライザー、カートリッジを愛用中。

ACCUPHASE
 下手に評価するとファンに叱責されそうです。創設以来、誠実な姿勢で製品を開発し、ユーザーとの絆を大切にしながら、確固たるハイエンドの世界を築いています。音は低級SPと組み合わせても、きまじめで正確に鳴るだけで面白くありません。やはりタンノイあたりが妥当でしょう。デザインは秀逸です。個人的にはAM Pを愛用しましたが、購入時は二重箱になっていて、これが何度かの運搬にも耐えて役立ちます。修理後の丁寧な添書等、ユーザーとの絆を大切にする姿勢が、現代では希有の価値感となっています。

PIONEER
 軽快感のある、張り出しの良い、明るい音調。EXCLUSIVEは、友人宅でのホーン型SPの試聴体験がありますが、やはり同じ傾向の良い音でした。個人的には過去にSP, CDPを利用しました。ハイエンドTADブランドSPを試聴して、その一線を越えた音はさすがに底力を感じました。

YAMAHA
 歪みのない透明な美音はYAMAHA Beautyの世界、独自の世界です。一世を風靡し、伝説となったNS-1000Mはじめ、良かれ悪しかれベリリウムがヤマハオーディオの世界を作り、今やそのこだわりが自縄自縛となっているようにも感じます。音楽性をもった底力からすれば、他方面への展開も可能に思われます。個人的にはリファレンスカートリッジとして、YAMA HAを愛用しています。

SONY
 最近は製品の信頼度低下で芳しくない噂もありますが、かつてはあこがれのブランドでした。個人的には
『ソニーの甘い音』で一世を風靡したトランジスターラジオは2代にわたり、カセットデンスケ使用も。現在は、C ASSETTE DECKの最終モデルとTUNERを愛用。音楽性にも優れた音質で、故障も少ないです。

TEACは、オープンリール全盛期に愛用しましたが、故障が多く、それ以後のつきあいはありません。現在はどうなのでしょうか。その他使用したことのあるのは、audiotechnica, Stax, CORAL,等。MITSUBISHI(DIATO
NE)は、ボロンの採用や、無響室での試験とか測定機器を駆使してSPを開発する技術重視のメーカー。しかし、最高のデータをもってしても、音楽を聴くには疲れる音響機器もありというのが本音です。

SANSUI, ONKYOは、独自のカラーを主張するメーカーですが、試聴や使用体験が少なく、評価できず申し訳ありません。今はなき懐かしのメーカー、CORAL, FR, SATIN, GRACE, ニート等も思いで深いです。やはり、時代トレンドに乗れず、総合展開できなかったのが命取りとなったのでしょうか。
                                                   03ed Mar.'05