時代とともに変遷するオーディオの流れを振り返り、今はなき懐かしのメーカーにも触れました。しかし、残されたユーザーは不幸です。そんな思いをあるWebサイトに書き込みました。
Moon : 最近MCカートリッジで思うことですが、使用年数が経過するに従って次第に心配になるのは針交 換のこと、まあ償却年限が終わったといえばそれまでですが、何となく愛着があって再度針交換してみたい
お気に入りの場合はできるだけ使用せずにしまっておいて、現行機種で針交換可能なのを聴いてます。
消滅したメーカーはやむを得ないとしても、まだオーディオ製品を販売中のメーカーの場合、退職技術者
を雇用するなどで、サービスとしてやるべきと思います。Y社さん、たくさんの貴社製のカートリッジを使用し
てるのに……
同様の声が上がりました。
Res : どのブランドというわけではないのですが、D…やS…など、素晴らしい製品を作っていたブランドが 次々に消えていったわけですが、当時の優秀な技術者のみなさんは、もちろんご存命だったりします。
こうした方々に再度復活の場を与えて、たとえば「超D……」などの新ブランドで、単なる懐古趣味では ない新しいサウンドを創造し、またこれをキット化するなどして市場に提供すれば、われわれ団塊の世代
はもちろん、幅広いオーディオファンの支持を集めると思うのですが。
Moon : 全く同感です。私の場合、CDよりアナログレコードを聴きますが、Y社製カートリッジを愛用してい ますが、平成14年頃で針交換を止めたとか、惜しくて普段は使えません。
ぜひ退職技術者なんかの雇用でサービスとしてやるべきと。技術者が健在で、かつ冶具のメンテが可能
な時間は残り少ないと、このコーナーで訴えてます。
Res : ありがとうございます。なんとかひとつの運動といいますか、これは新たに会社を作っても十分ビジネス になるのではないかと思っているくらいです。このままだとせっかくの日本のオーディオ財産が、まるでウーファー のエッジが劣化するのと同じように風化していってしまいますよね。
退職された各社の技術者のみなさんが集まる、オフ会のようなものをスタートさせるのが良いでしょうか?
Moon : コストと採算性からいって、新会社構想は難しいと思います。既存音響メーカーや生産終了した
メーカーと関わりのある共通サービス事業として、共通資産として専門冶具と加工場(かこうば)の提供を求
め、そこに登録制のようなシステムで旧技術者との連絡システムを作る。
故障修理やメンテの希望は、多くの場合ユーザーから各音響メーカーに行くはずです。既に生産終了し
ていても何らかの関わりと責任はありますから、そこが新たな外部システムとの橋渡しを担って貰います。
シルバーセンターのようなシステムが考えられないものでしょうか。メーカーと新システムとは、直接の雇用関 係ではなく、メーカーの良心としてアフターサービスの観点から、場所と生産に使用していた専門冶具の提 供、およびユーザーと技術者の連絡システムをメーカーが担う(生産中止メーカーは、このシステムによるア
フターサービス提供を義務づける。たとえ義務づけなくても、その様なシステムがあれば、良心的メーカーな
ら、ここにサービスを委託するはず。)
たとえ優れた技術者でも、新規開発には膨大な費用を伴うことで、生産中止したメーカーから独立した 優れた技術者であっても、その技術を生かした製品をもってしても、企業としての存続は立ち行かないこと が多いように思います。
以上の様な新システムは、ネット時代では合意と世論形成が比較的容易ですから、そこで合意された声 をメーカーに向けることで現実可能に思われます。あるいは、このようなシステムができ、そのメーカー横断的 リタイア技術者集団の中から「超ブランド」が誕生する可能性は十分考えられます。このような構想に賛同できたら、この構想をオーディオ関連HPにどんどん拡げてみましょう 。
14th May.'05
こんな書き込みから何年か過ぎ、DL-1000Aの奇妙な損傷で、ラウンデールリサーチの案浦さんとであうき っかけとなりました。2011年末現在、団塊世代の大量退職者がひとつの文化を共有する背景の中で、FRはイケダブランドに引き継がれ、AUDIOCRAFT退職が、マイソニックラボ、Ortofonから派生したゾノトーンと、部分的に個人技術者によって引き継ぎ手が現れました。一代限りなのか、さらに発展しうるのか、興味あるところです。
YAMAHA DIATONE、PIONEER、TEAC等有力メーカーにも、従来ブランドや新ブランドでオーディオ回帰兆候があります。しかし、それらはハイエンドな、庶民の手に届かない趣味の世界を作ろうとしています。これは早晩失敗するでしょう。多くの真のファンは、中古市場に逃げ出しています。私も、それがこれからのPoorman's Audioの王道と感じて、良い音で鳴らすこととメンテの技術を極めたい(笑)
Dec..2011