T-16 オーディオは体を使うこと厭うなかれ!
 目の前に、SAEC WE-308SXがあり、背景は知る人ぞ知る?ビヤダルパラゴンスピーカー(笑) ついでながら、初期パラゴンが幅2,630mm 重量266kgに対し、ビヤダルパラゴンは9パーツからなり幅2,460mm 重量240kgと一回り小ぶり。広帯域再生とか良い音とか、それらは機器の力で何とかなるが、”天空に舞う音”と表現した音場再生の課題とは、ボーカリストが中央に立ち、バックバンドがそれぞれの位置でストリングスを奏で、横幅も奥行きも一杯にステージイメージを創造することで、これは難しい。

 このようなリアル感のある錯覚を生じさせる再生は、定位とか位相に関わる最もつかみ所のない厄介な課題だ。機器の歪み要因とか再生空間の問題を払拭して優れた録音盤を再生すると、最後に実現します。めざして行き着いたシステムが3プレーヤーで、残念ながら2つまで到達しながら、数年前に組んだ最上級グレードPD-350+WE-308SXだけが、中央ビヤダル位置に再生音が凝縮し、音場一杯にほぐれた音響空間を形成しません。

 WE-308SXはオールステン製にルビー軸受け採用等、構造的強度と輝きの美しさはいつまでも古びることなく、同じ歳を経たWE-407/23と並べて見ると、高価格設定しても作るほどに赤字だったというエピソードも頷ける。このアームは単身赴任した町で使用されていたワンオーナー品だが、WE-407/23より設計が古いだけシビアな再現性に欠けるかと疑った。また、重量の異なる多くのカートを交換使用すると、長いウェイトの尻がプレーヤーケースにつかえたりすることがあって、サブウェイトを製作して使用していた。

 さらに、比較試聴の際プレヤー再生条件を同じにできる利点もあって、更新を決断した。そこで、付属アクセサリーの手持ちがあるWE-407/23の付属品なし、セールストークの秀逸な品を落としたが何とほとんどジャンク品^_^; 2週間ほど費やしてやっと普通のユーズドレベルまでリペアした。しかし、初の試聴で再生音場は変わらない。問題の所在は何処だ? @フォノケーブルCRAFT SX-TP150に問題(他はOrtofon 8N 1.2m & SX-TP100)。 AE-06のHighインピー受け回路に問題あり? BWE-308SXもリペアなったWE-407/23も双方性能劣化?

 他のアームと交換付け替え、あるいはフォノケーブルを他のと繋ぎ変え試験すれば、原因は解明できるが、設置スペースがぎりぎりの上、各プレーヤー重量はMin 16kg〜Max 30kg。片腕で半分持ちあげてのアーム付け替えは……^_^; その上、電源別筐体バキューム方式だから、ラック裏は3プレーヤーの電源ライン・アースライン・Vホースが錯綜しています。繋ぎ替えは、裏に潜り込んでは表に出て再生確認を繰り返し、ハムの出ない完全結線までに数日要したりします。

 まずアームに問題ないかをチェックしなければと、隣のPD-300出力Ort ofon 8Nフォノケーブルを外し、PD-350に取りつけて試聴すると綺麗に音場再生する。むしろSNも透明度も高く、アームもプレーヤーも正常だ。次に、 PD-350からのフォノケーブルを繋いでいたE-06ハイインピー端子に正常なPD-310出力ケーブルを繋いで試聴。これまた綺麗に音場再生して、 EQA回路にも問題ない。

 残るは、クラフトフォノケーブルSX-TP150! こいつが犯人であったかと、再度PD-350に取りつけて、導入当初のE-0 6のローインピー受けに戻してみた。画像4の結線図はPD-350導入初期の繋ぎ方で、後に交換試聴の利便性で、使用頻度の高いでHighインピー受けとLowと受けを入れ替えていた。今回は、再び初期と同じ繋ぎに戻したことになる。

 SX-TP150を繋いだローインピ受けで試聴開始。問題なくリアルな音場再生している。 はて、チェックの方法と繋ぎ方を、何処かで間違えたか? 3プレーヤーすべてを順に再生してみる。妙なことにどのパーツも異常なく、3系統出力すべて満足すべき音場再生がなされる。どうやら、どこか端子の緩み、あるいはアース結線の緩みがあったものか、二日間にわたるすべての端子繋ぎ換えチェックで、問題は解消したらしい。

 教訓……オーディオは金を使う前に体を使え、労働を厭うなかれ!

                                19th.Aug.'12