久しぶりに弓の話です。押手肩を手術してから2年が経過しました。術後半年頃から、早く以前のように弓を引きたいと、巻藁前で筋力強化に励んでいますが、矢数をかけると肩から首筋にかけてしこりが残ります。リハビリ時に聞いた話しでは、手術をすると完治しても元の状態より脆弱となるそうで、十分なケアが必要です。

 昨年末のこと、かなり筋力がついてきたのに気をよくして、19kgの弓を射込んでみました。ふと、押し手に何かいやな違和感を感じて、当日はそこで終了しました。その数時間後、肩板断裂と全くよく似た違和感と痛みが次第に強まってきました……。

 そのまま数日間湿布と安静を続け、弓にはしばらく手をかけないことにして、audioのコーナーを立ち上げ、レコードを聴く毎日を暮らしていました。この措置がよかったのか、幸いなことに、今は痛みの再発もなく40射ほどは引けるようになり、復活の兆しがみえ始めました。

 しかも、やっと胸が割れるような離れが出はじめたようです。甲乙一手の矢が、狙い通り水平に深々と立つようになりました。しばらく練習を休むと矢どころが前になることは、多くの射手が経験しますが、昨年夏から使用した巻藁でも実証されました。静養期間を除く実質200日間ほどの間、毎日同じ狙いで引き続けた矢所の変化が、巻藁にはっきりと示されています。

 再開当初は、弱弓にもかかわらず弓に負けて、矢は狙いよりかなり前につきました。その後、矢所はやや後方へと移動したものの、狙いとはずれたまま進歩はなく、巻藁の一点に深い穴を穿ちました。的前では、狙いを後ろにずらす心苦しさがありました。

 悩みの時から不意に抜けだし、狙い通りの位置に矢が深く立つようになったのはつい最近、手術から丁度2年が経っていました。精一杯の引き分けで、弓力と筋力との力のバランスの末に生まれる離れの不思議です。

 さて、ここでMoon考案の巻藁台をご紹介します。どこの道場でも、巻藁台の下に落ちる藁くずが厄介なのを見てましたので、新築住宅の巻藁道場には一工夫し、図面を見た大工さんも興味を持って作成してくれました。

 スライド式のトレイ付きです。画像は20射ほどの後に藁くずが溜まった様子ですが、トレイはチリトリのようになっていますから、後始末は至極簡単です。普段の収納状態では、全くトレイの存在はわかりません。

 実用新案の申請を考慮中ですが、Freeで公開致します。弓具店様が販売用に、ご希望があればBBSに書き込みください。

 ちなみに、矢は自作で、事故で路端に落ちていたトビの手羽を利用しました。巻藁の狙いの前方には、200日間で深い穴が穿たれていますから、ここに付くと矢羽まで大部分潜り込んでしまい、そのたびに羽が疵つきます。巻藁前方に貼られているのは、札弓連の年間行事予定表です。