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2012年10月4日
中教審答申 教員の修士レベル化
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今日の朝日新聞の13面 「修士はいい先生の条件なのか」
というテーマで、元文科副大臣・民主党議員の鈴木寛さんと、100マス計算の陰山英男
さん(大阪府教育委員長)の話が載っていました。
 
 
私は、世の中いろいろな免許がありますが、教員免許ほどあてにならないものはないと
思っています。実際、教員免許がなくても、うまく教える人はけっこういるのです。
ゲストティーチャーに来ていただいた一般の方が、子どもの心をつかみ本当にうまく指導
している姿も見ますし、保護者の中でも 「先生になってほしい」 と思える関わり方の人も
います。
また中学校では、その教科の免許を持っていない先生が教えて「無免許教師」として新聞
に載ることがありますが、実はその「無免許」の先生の方が教え方がうまいという実態も
ないことはないのです。
 
私は教員免許状を軽く見ているのではありません。教員免許はプロ教師として必要で
あり、免許を持っていることに自信と誇りを持つことが大事だと思っています。
 
でも、中教審の委員さんたちは、本気で
「教員の資質向上には、大学院までの修士レベルが必要」 と思っているのでしょうか。
私はこれを聞いて正直、笑ってしまいます。失礼な言い方ですが、「アホちゃうか」って 
思ってしまいます。
 
私が学校現場にいた26年間、そしてそのあとの7年間、たくさんの教員を見てきまし
たが、大学院を出た先生がみんな 「いい先生」 になっているという実感は、申し訳ない
ですが、ありません。 
「現場の先生方100人に聞きました。 大学院を出た先生がいい先生になっていると
思う人?」 という質問をしたら、「そう思う!」って答える人はわずかだと思いますね。
 
もちろん大学院を出た先生で素晴らしい先生もたくさんいますが、
4年制を出た先生でも素晴らしい先生は山ほどいますし、短大卒業の先生でもいっぱい
います。また、どこの大学卒業かも関係ないのです。東大卒だから、素晴らしいとは限ら
ないし、保護者から尊敬されるとは限らないのです。
要は、免許の種類や大学の優劣ではないのです。
その人の人間性、社会性、そして愛情、優しさ、熱意等です。それが指導力に現れます。
 
大学院での勉強は大事です。私も30歳の頃、もう一度大学院で勉強し直したいと強く
思ったことがありました。教員は一生勉強し続けていかなければなりません。
その意味でも大学院は、現職教員のレベルアップにつながると思います。
だからといって大学での教員養成を4年+2年(修士)にしたら、教員の資質向上にな
ると思っている委員さんには「ほんまにそう思っているんですか」 って聞きたくなります。
 
 
ここに興味深い調査があります。
2010年に、国立教育政策研究所が、全国の教育委員会が「優秀教員」として推薦し
た教員を対象に実施した調査によると、
その教員が一番影響を受けたものは何かと問うと、
 1位  校内での優秀な教員との出会い 40.4%
 2位  校外での優秀な教員との出会い 15.2%
 3位  教科等の研究会での活動      7.2%
 4位  校内での授業研究           6.7%
 5位  在任校での研究指定         4.9% 
 
という順で、圧倒的に同じ学校の中で、先輩教員などから影響を受けた割合が高いこと
がわかります。
教育ジャーナリストの斉藤剛史さんはこう言います。
 
「教員の資質向上のために、教員養成課程の改善や研修の充実などはもちろん重要です。しかし、先輩・後輩や同僚同士が良好なコミュニケーションを取りながら、互いに高め合う環境から、優秀な教員が生まれるという事実を見落としてはなりません。教員に対する社会の目は厳しくなる一方ですが、教員間のコミュニケーションさえ満足に取れないほどの多忙化は、教員全体の質の低下につながるかもしれません。人間が人間を教える教育という仕事において、その教員を育てるのも教員であるという視点も必要なのではないでしょうか」
 
 

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Posted by naka602 at 13:07 | TrackBack (0)
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