I Was Born To
Love You
〜貴方を守るために〜
3.
雨が上がったのは翌日だった。
ジョンはファラミアとボロミアをドル・アムロスまで送ってくれた。
ドル・アムロスでは執政家の子息二人が戻ってこなかった事が
ちょっとした騒ぎになっていたらしい。
それでもイムラヒルはボロミアとファラミアの無事な姿を見て
「無事で良かった。」と頭を撫でてくれた。
ボロミアはミナス・ティリスでは日々の勉強や教練と予定があった。
その日のうちに馬車に乗ってミナス・ティリスに戻ることになった。
「ごめんよ、ファラミア・・・私のせいで散々な休暇にしてしまって・・・」
ボロミアがすまなそうに言った。
「いいえ、兄上と一緒でしたから。」
ファラミアは笑顔で答えた。
ボロミアと一日中共に居られるだけで楽しかった。
ボロミアがファラミアの様子が少しおかしいのに気付いたのは帰りの
馬車の中だった。
島を出た頃からしきりに咳をしていたのは気になっていた。
だが、それでも元気そうだったので安心していた。
だが、馬車に乗ってしばらくしてから次第に大人しくなった。
酷く顔色が悪い。
「ファラミアどうした?」
「気分が悪い・・・馬車、止めて下さい。」
馬車が止まるとすぐにファラミアはふらふらと外に出ると嘔吐していた。
「ファラミア?大丈夫か?」
ボロミアは駆け寄ると背中を優しく擦った。
「ごめんなさい・・・」
ファラミアは眼に涙を溜めて蹲っていた。
「大丈夫だよ。気にするな。」
ファラミアの背中を撫でながら言った。
馬車の御者が心配そうに様子を伺っていた。
「すまない。ファラミアが気分が悪いと言っている。しばらく休みたい。」
ボロミアが御者に言った。
御者はすぐに水筒を渡してくれた。
「口を濯いで。」
ボロミアの言葉にファラミアが頷いた。
(無理もない・・・)
ボートでドル・アムロスに戻ると食事をして一休みしてすぐに馬車に揺られた。
小さなファラミアにはきつかったのだ。
「ごめんなさい。早く戻らないといけないのに・・・」
ファラミアが涙を浮べた眼でボロミアを見た。
「そんなこと気にしなくていいんだ。おいで・・・少し横になるといい。」
ボロミアはファラミアを抱き上げると馬車に戻り自分の膝枕にファラミアの
頭を乗せて寝かせた。
「まだ吐きたいか?」
ファラミアは首を横に振った。
何気なく触った額が微かに熱かった。
間もなくファラミアは眠ってしまった。
ボロミアは御者に「ゆっくり静かに馬車を走らせるように」と言って再び馬車を
走り出させた。
馬車がミナス・ティリスに着いたのは既に夜中だった。
ファラミアは一度吐いたら落ち着いたらしく、帰りの馬車はずっと眠っていた。
時折咳をしていたが、それでも眠りを妨げるほどではなかった。
だが、身体に触ると馬車に乗ったときより明らかに熱かった。
「熱があるな・・・」
なんだか起こすのが可哀相で、ボロミアはファラミアを抱き上げた。
「ボロミア!」
その声にはっとして振り向くと父デネソールが迎えに出ていた。
「父上・・・」
「大丈夫だったか?心配したぞ。執政家の嫡男に万が一のことがあったらと
肝を冷やしたぞ。」
そう言ったデネソールがボロミアに抱かれて眠っているファラミアを見て明白に
眉を顰めた。
「ファラミア、着いたぞ。」
ボロミアがファラミアに優しく声をかけた。
ファラミアは眠そうに目を開けたが、父が傍らに居るのに気付いて、ファラミアは
慌ててボロミアの腕から滑り下りた。
「まったく・・・ボロミアに何かあったらどうするのだ。」
デネソールが明白にファラミアを責める口調で言った。
「申し訳ありません。」
ファラミアの肩が震えた。
「父上・・・ファラミアのせいではありません。ファラミアは・・・」
そう言い掛けたボロミアの手を引いたのはファラミアだった。
「兄上・・・ごめんなさい。」
気の毒なくらい悄然としてボロミアに向かってそう言った。
「ファラミア・・・」
「今日はもう休みます。」
ファラミアは精一杯の笑顔でそう言うとデネソールとボロミアにペコリと
頭を下げて、それから部屋に向かって歩いていった。
「ボロミア・・・大丈夫だったか?」
デネソールがボロミアの肩を抱いた。
「私も失礼します。」
ボロミアは父の手をそっと肩から外して言った。
「しばらく留守にしていたのだ。父のお茶に付き合ってくれるな?」
デネソールが優しい口調で言った。
ファラミアが心配だった。
だが、ここでファラミアのことを口にすればデネソールが機嫌を損ねるのは
解っていた。
ファラミアが辛く当たられるのも経験で解っていた。
何より、ボロミアには優しい父なのだ。
(どうして・・・)
どうして自分と同じようにファラミアを愛してくれないのだろう・・・
そのことが哀しかった。
ファラミアの震える肩が眼に焼き付いていた。
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三回目です。
やっとミナス・ティリスに戻ってきました。
ファラミアはまたまた受難ですけど・・・
今日はサイト開始から丁度半年めです。
区切りの日に、初めの頃から通ってくださっていたNIMA様の
サイトの相互リンク記念リクをアップするというのも何かの縁ですね。
NIMA様、これからもよろしくお願いします。
2005.03.20. Jeroen